大阪国際フェスティバル 歌劇『泥棒かささぎ』の感想 フェスティバルホール 園田隆一郎指揮 |   kinuzabuの日々・・・

  kinuzabuの日々・・・

      徒然なるままに日々のこと、考えていることを書き連ねる

大阪国際フェスティバル ロッシーニ作曲歌劇『泥棒かささぎ』の公演に行ってきた。会場はフェスティバルホール、2022年8月9日。

 

延期前のチラシ。

 

以下は配役


昨年の公演のはずだったが1年延期されてやっと実現した公演。ロッシーニのオペラでも『泥棒かささぎ』を観るのは初めて。演奏会形式なのは残念だが、演技もあるらしい。

ところで、題名になっている「かささぎ」という鳥は、日本では佐賀県とその周辺だけに多くいて、ヨーロッパでは広い地域で生息している。佐賀県では、電柱とかに大きな巣を作って話題になる。巣材が多岐にわたり、いろんなものを拾ってきて巣を作る。そういう習性がこのオペラを成立させる。

あらすじは書いたら長くなったので省略。


序曲は有名。テンポよく快調に飛ばす。指揮とオケがとてもいい感じ。

最初に舞台に現れた福原寿美枝さんの一声が、会場にすみやかに広がる。あ、これはいい公演になるなという予感。

1幕はとても快調で、いい雰囲気が続く。ロッシーニっていいよね。

歌手もとてもいい。ニネッタの老田裕子さんは華やかな声で技巧もばっちり。一方、重いところもしっかりしていていい声を聴けた。

ジャンネットの小堀勇介さんもひたむきな伸びる声。

ニネッタの父の青山貴さんはさすがの貫禄。声量豊かで深い声で表情が豊か。どんな役を聴いてもすばらしい。

ルチーアの福原寿美枝さんは声量豊かで張りがあり、このホールでの響かせ方を熟知している印象。

小間物商・看守の二役の清原邦仁さんは、よく響く深い声で、特に小間物商の存在感が抜群でとてもよかった。

代官の伊藤貴之さんは、明るい声が広く響いていた。

どの歌手もフェスの会場の広さに全く影響を受けないみずみずしい声を披露してくれたと思う。10人も役がいるのに抜けがない。


指揮の園田隆一郎さんもいつもながら快調な隅々まで見通した指揮。オケからロッシーニの歌をしっかり引き出していた。すばらしい!

オケの大阪交響楽団は、園田さんにとことんついていき、存在感が抜群、とてもよかった。


演奏や歌手はいいところばっかりなのだが、作品的に筋が暗くて、それとともに音楽も気分も暗くなって、重苦しさで存分に楽しめなかった。最後はハッピーエンドだけれど、最後の最後のどんでん返しじゃなくて、もっと長いハッピーが欲しかったかな。

曲のせいだから、公演が悪いわけじゃないけれど、私的にはロッシーニは楽しく勢いのある音楽で楽しみたいものなのかもしれない。