フランチェスコ・メーリ テノール・リサイタルの感想 びわ湖ホール 2021年2月11日 |   kinuzabuの日々・・・

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フランチェスコ・メーリ テノール・リサイタルに行ってきた。会場はびわ湖ホール、2021年2月11日。



今が旬のテノール、フランチェスコ・メーリがびわ湖ホールにやってきた。感染症対策による外国人入国制限が始まる前に無事日本に入国、まずは東京で『トスカ』の後、リサイタルを3か所で、そのうちの1つが今回のびわ湖。


この公演の曲目は以下。

 

ピアノ伴奏は浅野菜生子さん。

 


前半は歌曲等。

一曲目からドカンと来た。美しく伸びる声。繊細で正確。聴いていて大変心地よい。このレベルの歌が聴けるというのは大変うれしい。

そして、プログラムが進むにつれて、声の伸びと迫力が増し、前半最後のトスティでは繊細な響きとがっつりした迫力が合わさって、痺れるような快感を味わえた。


後半はオペラアリア。

しっかり声が出ていて、前半同様、超ハイレベルの歌を楽しめた。すばらしい。でも、もっとはじけてくれてもいいかも。


アンコールはなんと6曲も歌ってくれた。客席もスタンディングオベーション。

クルティス:忘れな草
トスティ:暁は光から闇をへだて
ドニゼッティ:歌劇『愛の妙薬』より「人知れぬ涙」
トスティ:可愛い口もと
レオンカヴァッロ:マッティナータ
レハール:歌劇『微笑みの国』より「君こそわが心のすべて」

一番うれしかったのは、「人知れぬ涙」を歌ってくれたこと。繊細で感情豊かに、そして太いボディのある声で歌い上げる。どうしてもパヴァロッティの実演と比較してしまうこの曲だけど、メーリの歌もとても頼もしく美しかった。

また、最後のレハールもよかった。ホールからの帰り道ではこの曲を鼻歌で歌いながら帰った。

 

 

大興奮のなか、公演が終わった。メーリは本当に素晴らしかった。どこかカレーラスの雰囲気を思い起こさせる歌でもあった。このレベルになると、もう別世界やね。一方、浅野さんのピアノもよかった。


歌以外で印象に残ったのは、アンコールの各曲を歌い終わった後、会場の割れんばかりの拍手の音を、目を閉じてじっと聞いているような姿。歌って拍手を浴びる、そういう機会が感染症の影響で遠ざかっていたからなのかも、勝手にそんなことを思った。


 

それにしてもすばらしいテノールの歌を存分に味わえて本当によかった。次はオペラかな。とにかくまた来日してびわ湖ホールに来てほしいと強く思った。