びわ湖ホール・オペラへの招待、モーツァルト『魔笛』の公演に行ってきた。会場はびわ湖ホール中ホール、2021年1月28,29日。
オペラへの招待は、びわ湖ホール声楽アンサンブルとそのOB,OGが中心で安価に楽しめるオペラ公演。今年はGOTOイベントになってさらにお安くなった。
今回の公演はモーツァルトの『魔笛』。大変人気のあるオペラだが、今回は日本語歌唱、日本語セリフでの上演。字幕もある。
出演者等は以下。
指揮者は阪哲朗さん。
日本語台本・演出は中村敬一さん。
管弦楽は大阪交響楽団。
配役は以下の写真で。
初日はJRに遅れが発生し、オケのメンバーが一部ぎりぎりで到着したことや、お客さんの遅れなどを配慮し、当初予定のなかったという館長さんの挨拶があった。そこで、1年ぶりのびわ湖ホールでのオペラ上演であることを告げられ、なんとも感慨深いものがあった。
さて、公演だが、舞台は、舞台中央に階段があって、背景が場に合わせて変化するというもの。絵本のような絵柄が次から次へとめくられていく。
ちなみに、歌手は舞台の前端から5m以上離れたところで歌う。観客はもとよりオケともしっかり距離を取っているとのこと。歌い方も相対して歌うことをしないとか、合唱も距離を取って歌うとかの感染対策をしっかりとっていた。
そういう対策を取っているにもかかわらず自然な感じで物語が進んでいく。
日本語歌詞については、使う言葉を工夫してイントネーション等に違和感はほとんどなかった。これは凄いことだと思う。
次に歌手の感想。
夜の女王は、初日の𦚰阪法子さんは声量こそ少ないものの高音の装飾音は完璧で、とてもよかった。一方、二日目の森谷真理さんの分厚い声には圧倒された。テクニックも最高。もう貫禄やね。
また、三人の童子が、初日も二日目も澄み切った声で大変良かった。やっぱりこの役は少年少女合唱に限る。この声で聴けて大満足。
タミーノは、清水徹太郎さんはとても立派で、山本康寛さんはやわらか。どちらも大変すばらしい。
パミーナは、船越亜弥さんも溝越美詩さんもどちらもりりしく真の通った歌だった。
ザラストロは、初日の松森治さんが大健闘。高貴な声で役にぴったり。二日目の片桐直樹さんもまずまず。
パパゲーノは、初日の迎肇聡さんのはじけっぷりがすばらしい。二日目の平欣史さんもよかった。
3人の次女は、歌もよかったけど、なまめかしい演技が光った。
モノスタトスは、両日とも歌とともに演技が卓越。役を完全に自分のものとしていた感じがした。
他の方々も大変良く声が出ていて、聴きごたえのあるオペラになった。
一方、阪さんの指揮は、テンポが弾んでさわやか、自然にモーツァルトの世界にいざなう。このオペラを聴くには最高のもの。いい指揮でいいオペラを観られるのはとてもうれしい。管弦楽も健闘。
私にとっても、簡素とはいえ1年ぶりの舞台上演のオペラ。よい指揮によい歌。管弦楽もまずまず。演技もすばらしい。よいモーツァルト、よいオペラを堪能した。この値段でこのクオリティのオペラを楽しめるなんてなんとすばらしいことかと思う。
去年はあまり舞台の上演のオペラに接することができず残念だったが、今年は少しでも多くのオペラを楽しめるように願っている。