イーヴォ・ポゴレリッチのピアノリサイタルに行ってきた。会場は大阪のザ・シンフォニーホール、2020年2月15日。
ポゴレリッチのピアノを聴くのは2018年12月以来。今年も関西に来てくれた!
一曲目は、バッハのイギリス組曲第3番。
厳かに進行し、格調の高い音楽が響く。それがサラバンドで急にゆっくりになり、バッハからポゴレリッチの濃厚な世界にいざなう。でもガボットからはまた格調高い音楽に戻ったような気がする。
二曲目は、ベートーヴェンのピアノソナタ第11番。
音が太く重めだが、メロディを淡々と奏でていく。心にじわじわとしみてくるようなそんな印象。
休憩後の三曲目は、ショパンの舟歌
右手の高音のきらめきが素晴らしく美しい。ピアノとは思えない左手の重低音もやってくるので、音の衝撃にめまいがした。
四曲目は、ショパンの前奏曲。
すみません、これは舟歌ほどの感銘は受けなかったです。
そして五曲目、ラヴェルの夜のガスパール。
高音の激しい輝きと、低音のずっしりした重低音が次から次に嵐を巻き起こすので、翻弄されてふらふら。淡々と弾いているように見えるのに、出てくる音はたくましく太く、宝石のようにまぶしく輝く。そして輝いては消え、輝いては消える。
どれだけ音の塊を身に受けたかわからないが、このままずっと聴き続けたいと思った。果てしなく感じていたい。
最後の音が唐突に消えて、大喝采。終わってしまった。なんてすばらしい時間だったんだろう。
これまで何度かポゴレリッチを聴いたが、今回が一番感銘が深いものだった。輝いてはじけて消える高音とどこまでも深い重低音。そして太い音。これらを存分に受け取り、味わい、感じることができた。
違和感があったのは、ホールの音響かな。2018年の来日の時はあまり感じなかったけれど、今回は、残響が気になった。自慢の残響2秒は、ポゴレリッチの破壊力には合わなかったのかもしれない。
今年も関西に来てくれてとてもうれしかった。また次もぜひ関西へ来てください。