オペラへの招待 J・シュトラウス2世『こうもり』の感想 びわ湖ホール 2020年1月10日 |   kinuzabuの日々・・・

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びわ湖ホールでJ.シュトラウス2世作曲、オペレッタ『こうもり』を観てきた。会場はびわ湖ホール中ホール、2020年1月10日。

 


今回から2日から4日公演になったオペラへの招待シリーズ。今年は『こうもり』で、日本語歌唱、日本語字幕だそうな。日本語歌唱は苦手。それにしてもロザリンデがなんと森谷真理さん。豪華だ。


序曲から秋山さんの棒がビシビシと動き、日本センチュリー響のオケもしっかり鳴らす。音の活きがいい。最初からこれかよ!

幕が開いて、宮城さんのアルフレードが全開で、平尾さんのアデーレが美しくて、森谷さんのロザリンデがさすがの貫禄で、声の饗宴。たまらんね。

二塚さんのアイゼンシュタインと蔦谷さんのブリント博士が現れて、さらににぎやかに。二塚さんの声は明るく響きわたるよいテノールだ。

市川さんのファルケ博士が大変深く輝く声で登場し、声の威力にたじろいだ。こんな声のひとがいたなんて、びっくり。体格もいいので舞台栄えがする。

山下さんのフランクも優しそうな刑務所所長でいい

演出は中村敬一さん。今回の舞台は日本語セリフ、日本語歌唱に、踊りが混ざる。セリフを語って歌って演技して踊れるオペラ歌手が必要。舞台でしっかり語れる人は少ない印象なので、踊りも含め今回の舞台は歌手にとって結構ハードル高そう。

それでも皆さん難なくこなしているように見えるのがすごい。

音楽も快調。そう感じるのは、アリアでだんだんテンポが早くなっていくこともあるのだろう。


二幕も気持ちよく始まり、藤居さんのオルロフスキーは青年ぽい声が響く。ただ舞台は舞踏会にしては人数がちょっと寂しいかな。

アデーレの歌はとても美しく、装飾音が次から次に決まった。

でも圧巻はチャールダッシュ!森谷さんの迫力満点の歌。周りの男性陣も踊って場を盛り上げる。この歌を聴けて本当に幸せ。

合唱もジーンときて、大変良かった!


三幕は林さんのフロッシュ登場から。サンタルチアのギャグは大爆笑。会場が盛大な拍手が出た。すごくプレッシャーがあっただろうけど、これだけ会場を沸かせたら大成功だよね。

アデーレのアリアも美しさ炸裂。もうちょっと声量はほしいけど、素晴らしい技巧。

最後はみんなで踊りながら合唱で幕。


いや大変素晴らしかった。なめてましたね。ここまでやってくれるとは思っていませんでした。


歌手は皆さんよかった。森谷さんや二塚さんがいいのは分かっていたけれど、ファルケの市川さんとか、アデーレの平尾さんもいい。このシリーズのいいところはびわ湖ホール声楽アンサンブルのメンバーの生きのいい人を聴けることだと思う。

秋山さんの指揮もビシビシと締まり、指揮棒がうなって見えた。秋山さんのイメージが変わったわあ。オケもしっかりついていっていい音で楽しませてくれた。

演出は、舞台の骨格を作って、あとは小道具で場面を作るパターン。これで十分。物語は歌と歌手が作る。

日本語歌詞については、何言っているかわからず字幕を見るので、ドイツ語でも同じと、否定的。でも、今回の日本語歌詞はとてもうまくできていて、抑揚など不自然さをほとんど感じなかった。これだったら日本語でもいいかとも思う。入門時のハードルも日本語歌唱だと低くなるかも。


以上、上質のオペラを格安で楽しめた。このレベルのオペラを楽しく上演してくれるびわ湖ホールの存在はとても頼もしい。来年は『魔笛』らしい。また期待しています。