ワーグナー作曲楽劇『ジークフリート』公演の感想 びわ湖ホール 2019年3月2,3日 |   kinuzabuの日々・・・

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      徒然なるままに日々のこと、考えていることを書き連ねる

先に、長いので要約を

1.京響が最後まで緊張を保ってすばらしい管弦楽を聴かせてくれた
2.沼尻さんの指揮はよく練られてとても楽しめた
3.歌手は2日目のヴォータンと両日のアルベリヒを除き、満足
4.演出は現実と映像の融合が進化していた

では、以下に感想を書きます。

 

 




びわ子「みなさーん!こんにちわー」

おおつ「みなさん、こんにちは。今日はびわ湖ホールプロデュースオペラ、ワーグナー作曲『ニーベルングの指輪』の第二夜、『ジークフリート』の公演に来ています」

びわ子「去年の続きだよね。ねーちゃんが岩場で丸焼けになったんだっけ?」

おおつ「全然違いますね。今回の3幕で出てくるブリュンヒルデがそんなことになっていたら話が続きません!」

びわ子「今日はどんな話なん?」

おおつ「それを書いていたら、ただでさえ長いこのブログがいっぱいになるので、プログラムを読んでください!」

びわ子「はーい!で、今日の見どころはどこ?」

おおつ「個人的に好きなのは、一幕のジークフリートがノートゥングの剣を鍛える場面と、3幕のブリュンヒルデが目覚める場面ですね」

びわ子「丸焼けになった人が出てくるんやな」

おおつ「なってません!とにかく席へ行きましょう」
 

 





(3月2日と3日の公演を観ました)


 

 



おおつ「いかがでしたか?」

びわ子「なっがいオペラやな。やる方は大変やけど、聴くほうもかなわんわ。疲れるし、おしり痛いし」

おおつ「そうですね。でも、その長さがあるから、最後の美しさに痺れるのかもしれません」

びわ子「結局今日のは、おにーちゃんが成長して、敵を倒してお宝をゲットして、奥さんをたたき起こして捕まえる、ってそれだけやんか。なんでこんなに長いんや!」

おおつ「でも、3幕で炎に囲まれながら、シルエットで岩山へ現れるジークフリートはかっこよくなかったですか。今回の舞台は、あそこに頂点を持って行ったような気がします」

びわ子「あれはきれいだったよ、じんわりきちゃった。オケも凄かったし」

おおつ「京都市交響楽団の管弦楽はすばらしかったですよね。どこをとっても完璧。助っ人もいらして、パワーアップしてた感じです」

びわ子「パワーアップしてたのか、オケピットも2段になってパワーアップしてたな。それにしてもすごかった」

おおつ「これだけ長いオペラを高い集中力で緩むことなく聞かせてくれました。大変すばらしい。特に2日目は神がかってました」

びわ子「指揮もよかったよな。1幕の幕切れは早くて早くてくらくらしたわ」

おおつ「沼尻竜典さんの指揮、1幕幕切れは早かったですね。びっくりしました。でも、全体的には、たっぷり聞かせてくれたところも多く、よく練られた音楽だったと思います。二日目の3幕なんて、もうすごくて、京響の美しい管弦楽と相まって、感極まって涙が出ました。ホントにすばらしかった」


びわ子「歌手はどうだった?主役のおにーちゃん、1日目の人はよく声が出てたけど、二日目の人もよかった」

おおつ「1日目のクリスティアン・フランツはよく声が出てました。演技もよく動いてましたね。二日目のクリスティアン・フォイクトもなかなか。ただ演技が単調でもっと暴れてほしい。実は私、『ジークフリート』の実演で第一幕に満足したことが一度もなく、主役の声量に不満なのですが、今回も同じ。こんなもんなのですかね?」

びわ子「さて?おにーちゃんを育てた人も二日ともよかった」

おおつ「ミーメは1日目のトルステン・ホフマン、2日目の高橋淳さん、ともにすばらしかったです。まあ、もっと声に妬みみたいなものが欲しいですが、ちょっと贅沢ですか。悪役がよいと主役が引き立つというか」

びわ子「文句ばっかり言っちゃああかんで。槍持った人、1日目はド迫力だったのに、2日目は優しかったな」

おおつ「さすらい人の1日目の青山貴さん、これまで以上に声を強くしましたね。さらに成長している。こんな人が日本にいて歌ってくれるなんて、大変ありがたいことです。2日目のユルゲン・リンは、優しいですが、歌の切れ目で声が弱く聞こえました。2日目はちょっと残念かな」

びわ子「3幕のおねーちゃんはどやねん。二人ともよかったで」

おおつ「ブリュンヒルデ、1日目の池田香織さんは、最初、声が思っていたより弱くて、あれ、こんな人だっけと思いました。最初の声は期待していたんですけどね。でもだんだん良くなって、ジークフリート牧歌や最後の二重唱はすばらしかった。2日目のステファニー・ミュターは最初から声が出ていて、最後まで大変良かった」

びわ子「他はどうじゃ?」

おおつ「森の小鳥役の吉川日奈子さんがかわいく美しい声で大変すばらしかったです。あと、エルダは竹本節子さん、八木寿子さん二人とも深い声で満足。一方、アルベリヒは二日とも欲求不満。ファフナーはよくわかりません」


びわ子「演出はどういう趣旨なんかい?映像を各所に使っていたみたいやけど」

おおつ「これまでの、『ラインの黄金』、『ワルキューレ』と同じく、シーンや音楽に合わせて映像を紗幕や背景に投影していました。でも技術的にはさらに進化していて、ファフナーの大蛇は現実か映像かわからないくらいでしたし、先ほど申し上げた3幕の炎の岩山へジークフリートが現れるシーンも極めて美しかった。現実と映像の融合で、これぞびわ湖のリングや!というシーンをいくつも作り出していたと思います」

びわ子「印象に残っているシーンって、炎の岩山以外にもあるんかい?」

 

おおつ「あまりいい意味ではないのですが、二日目、3幕最後のジークフリート牧歌が始まる前、岩山の横に二人が立ちます。そのシーンが、1950~60年台のバイロイトやバイエルンの写真と似ているように思いました。どんな時代の演出をやっているのか、ちょっとめまいがしました」

びわ子「いいところと悪いところがあったわけやね。まあそんなもんやで」

おおつ「はい。今回の公演は、音楽と舞台が融合したすばらしい公演だったと思います」



びわ子「やっと終わったな。来年はなに?」

おおつ「『神々のたそがれ』ですね。これで『ニーベルンクの指輪』も終わりです。さらに長いオペラです」

びわ子「今日より長いのか、なんやねん一体!おしりが持たんぞ」

おおつ「頑張ってください。劇場内はみんな一心同体です」

びわ子「みんなお尻が痛くても、ワーグナーのオペラを観に来るんだな。じゃあ、わたしもまた行くぞ!」

おおつ「そうです!ですから、またワーグナーのオペラを観に行きましょうね」

びわ子「観に行きましょうねー。次は座布団用意したほうがええやろか・・・」