プラハ国立劇場の来日公演、モーツァルト作曲歌劇『フィガロの結婚』を観てきた。会場はびわ湖ホール。2019年1月13日。
どんなレベルの劇場なのか全くわからないけれど、びわ湖ホールに来てくれるというので、チケットを買った。正直言って全く期待していなかった。
でも、結果的にすごく良かった。指揮、管弦楽、歌手はすばらしい。演出もまあ問題なし。合唱はちと弱いか。大変満足した公演。
以下メンバー表だけど、しわしわになってしまった(笑 失礼。
歌手は、ケルビーノが最高で、スザンナ、フィガロ、伯爵が続き、端役に至るまでみなさん軽やかにかつしっかり歌ってくださる。伯爵夫人の声質が私にはもう一つ合わなかったけれど、テクニックは全く問題ない。
『フィガロの結婚』はご存じのとおり声のアンサンブルが重要だから、出演者みなさんの声が整っていることが必要条件だけど、それは十分に満足していた。素晴らしい歌の競演。
この歌の競演を支え、煽ったのが指揮。モーツァルトを流れるように歌わせ、そしてダイナミックに響かせてくれた。こんなに快調でテンポのよい音楽で楽しめるとは、なんという快楽。オケも、木管が目立ったものの、弦もしっかり頑張っていた。弦五部は6-5-4-3-2。コンパクトでよくまとまっていたと思う。
演出は、温室風の建物の枠組みを据えて、各幕ごとに舞台上にパーツをそろえ、ダンサーがパーツを使っていろんなことをやる。パーツは一幕は壁、二幕はカーテン(鹿も?)、三幕はクジャク、四幕は木。
一幕で伯爵が壁の絵になって隠れたのと、三幕でクジャクが焼かれてでてきたのには笑った。また、一幕ではクジャク、二幕では伯爵夫人が着るドレスが舞台サイドの倉庫に置かれていた。
また、照明が印象的だった。下からの柔らかい光は、ろうそくの明かりを想起させて、出演者が浮かび上がるようだった。
そういう演出も楽しみながら、流麗な音楽で歌の競演がこれでもかと続く。たまらないね。映画『アマデウス』でモーツァルトが「不要な音符は一つもありません」と答えたのがしみじみと思い出された。
幕が下りて、大喝采。いや、すばらしい!
ところで、スザンナ役が東洋系の顔に見えたので、配役表を見た。ユキコ・キンジョウとあったので、日本人か!と思って、ググったら、HPがあった。
http://www.yukikokinjo.com/jp/
プラハ国立劇場で専属歌手をしていらっしゃるとのこと。ヨーロッパで活躍するのは大変だと思います。これからもがんばってください。
ということで、事前の期待のなさ感とは次元の異なる大変楽しい公演で、とても気持ちよく帰宅できた。新年早々いいオペラを存分に楽しめた。こんな公演が身近に楽しめるプラハは、街並みだけではなく、ほんとにいいところなんだなと思った。また行きたいな、プラハ。