ヨナス・カウフマン ジャパンツアー2018の感想 フェスティバルホール 2018年1月4日 |   kinuzabuの日々・・・

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ヨナス・カウフマンのジャパンツアー2018の初日大阪公演に行ってきた。会場はフェスティバルホール。



フルオーケストラをバックにオペラアリアを歌う。指揮はヨッヘン・リーダー、管弦楽は日本センチュリー交響楽団。私の持っていたチラシには指揮者の名前がどこにもなかった。

ところで、私は別にカウフマンのファンでもなんでもないが、以前絶頂期のヴィリャソンを聴いて以来、評判の歌手の歌は聴いておくべきだと思っている。それで今回のコンサートに行った。

チケットは、カウフマンが来日したという情報を得てから購入した。戻り券があったのか、B席の空席があったので思わずゲット。3階の6列目20番台。

 

客の入りは、チケット購入時でキャパの4割程度か?当日は、少なくとも3階A席は最前列以外ほとんど人がいなかった。

曲目は、最初の管弦楽がベッリーニ作曲歌劇『ノルマ』序曲に変更。さすがにショスタコはないよね。

序曲のオケはなかなかよかった。

 


で、本人の登場を待つ。本当に出てくるのかという心配をよそに、拍子抜けするほど軽々と舞台に現れ、ああ、キャンセルなしで声を聴けるんだとなんか感慨深かった。

肝心の歌は、歌劇『トスカ』の『妙なる調和』では甘い声で安心させてくれた。ほっとした。でも、歌劇『アイーダ』の『清きアイーダ』、歌劇『カルメン』の『お前に投げたこの花を』はもう一つ弱い。さすがに今日は東京に向けて安全運転かな。

でも前半最後の歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』の『母さん、あの酒は強いね』は甘く、迫力があってよかった。これを聴きたかったんだよ。


後半、悪くはないけれど、どれも安全運転気味に聴こえてちょっと残念という感じ。歌劇『アンドレア・シェニエ』の『ある日、青空を眺めて』、歌劇『トゥーランドット』の『誰も寝てはならぬ』は期待していただけにもっと攻めてほしかった。


とまあ、本編の歌は、まあこんなものか、仕方ないよなという感じだったけれど、アンコールが素晴らしかった。

まず、歌劇『トスカ』の『星は光ぬ』。ウィーンの舞台でアンコールまでしたというこの歌は、本当に悲しく、清らかで美しい。迫力も満点。素晴らしい!

二曲目の『勿忘草』はおいといて、三曲目の喜歌劇『微笑みの国』の『君は我が心のすべて』がもう最高。甘く、力強く、会場中を歌の渦に巻き込むようなすごい歌だった。実力の限りを歌い切ったのかはわからないけれど、この歌を聴けただけれもう幸せいっぱい。


指揮とオケは、よかったと思ったけれど、オケの音と声が被る時に、オケの音が大きすぎて、声がかき消されることがしばしば。この辺は何とかしてほしかった。というか、本当はこのオケの音を突き抜ける迫力ある声が欲しかった、というのはぜいたくが過ぎるかもしれない。

まあ、安全運転と感じたけれど、席が3階6列だったから、席のせいもあるかもしれない。一階前方に陣取っていらっしゃる方々はスタンディングオベーションだったし。当然ながら客席は女性が多かった。

 

最後に、ステージマナーについて。歌い終わると、その度に笑顔でいろんな方向を向いて礼をして手を合わせて感謝を示す。何度も、繰り返すその姿を見て、「なにわのあきんど」か!と思った(笑)。商人(kaufmann)やけど(笑)。また、歌い終わり舞台袖に下がる度に、舞台に向かって一礼していた。何に敬意を表していたのか、ほんとに礼をしていたのかわからないけれど、好感度高し。


ということで、全体的には、本編は安全運転で、アンコールで本領発揮というところか。まあ、こういうリサイタルもよくあるよね。カウフマンの実力を味わえたかどうかはわからないけれど、また聴きたい人だとは思った。今度はぜひオペラの舞台で!