メシアン作曲歌劇『アッシジの聖フランチェスコ』の感想 びわ湖ホール 2017年11月23日 |   kinuzabuの日々・・・

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びわ子「みなさーん、こんにちわー!」

おおつ「みなさん、こんにちは。今日はびわ湖ホールでのメシアンの大作歌劇『アッシジの聖フランチェスコ』の公演に来ています」

 

 

おおつ「主な配役等は以下です。

指揮:シルヴァン・カンブルラン

天使:エメーケ・バラート

聖フランチェスコ:ヴァンサン・ル・テクシエ

管弦楽;読売日響交響楽団

合唱:新国立劇場合唱団

    びわ湖ホール声楽アンサンブル」

 


びわ子「今日は、演奏会形式って書いてあるけど」

おおつ「はい。最近は舞台上演がない演奏会形式も増えてます。費用の問題もありますが、今回はピットに入りきれないというのもあるかもしれませんね。舞台上は楽器で埋め尽くされています」

びわ子「ふーん、舞台上に何人乗るの?」

おおつ「ウィキペディアによるとだいたいオケが110人、合唱は記載がありません。今回、オケは100人ちょっと、合唱は200人ぐらいのようです」

びわ子「すごいな、舞台が壊れるんちゃうか。で、筋はどんなん?」

おおつ「えっと、超ざっくりいうと、第1幕では、フランチェスコが重い皮膚病患者の病気を治す奇跡を起こします。第2幕では、鳥に説教をします。第3幕では、体に聖痕が現れ、天国へ旅立ちます」

びわ子「ほんま、ざっくりやな。で、これどのぐらいの時間のオペラなん?」

おおつ「休憩2回70分はさんで、合計5時間半です。第2幕だけで2時間です」

びわ子「ひょ、ひょえー、そのざっくりした筋でその時間かい!耐えられるかな」

おおつ「話の細かいところは字幕を見てくださいね。それでは公演に行きましょう」



(全3幕8景を聴きました)



おおつ「いかがでしたか?」

びわ子「木琴のねえちゃん、木琴をたたく前に腕まくりしてたな」

おおつ「シロフォンなどの木琴類はこの曲では大変重要ですからね、気合を入れていたんでしょう。って、そういう話じゃなくて!」

びわ子「いろいろすごかったけど、第2幕のひょーんっ鳴っている楽器の音が夢のようにきれいやったわ」

おおつ「天使が奏でるビオールの響き、かすかなオンドマルトノの音がしーんとした会場に響き渡って、大変美しかったですね。ずっと続いてほしいと思いました。他に面白いところはありましたか」

びわ子「第2幕の鳥の合唱やな。いろんな音がして目が回るようやったわ」

おおつ「鳥への説教をするのに鳥が集まってきたのでしょうか?豊饒な音がこれでもかと鳴り響き、圧巻でしたね」

びわ子「3幕最後は大きな音をよう伸ばしたな」

おおつ「すごかったですね。楽器、合唱が強音を響かせて、音の洪水、これが極めて長く続く。私はキリスト者ではありませんが、天上界への旅立ちの偉大さを味あわせてくれたように思いました。圧倒的で言葉もありません」

びわ子「音楽は、他にも面白かったよな」

おおつ「第1幕の奇跡の場面は、ジーンときました。1幕最後も奇跡を祝うような音楽が続き晴れやかで美しかったです。聴きどころは他にもいっぱいありましたが、おなかいっぱいです」

びわ子「なんか、ごまかしてるな。ところで見た目はどやった?木琴はおもしろかったよな」

おおつ「はい。特に木琴類の3人がすばらしかった。最初に言った通り大変重要な楽器になりますが、その鋭いパッセージを3人ともぴったり合わせて気持ち良く聞かせてくれました。木琴類の方々が構えると次にどんな音が来るのか、とても楽しみでした。あと、木琴類と同じパッセージをピッコロも吹いてましたね。楽器の使い方が面白かった」

びわ子「打楽器がたくさんあったな」

おおつ「もうそれは数えきれないぐらい。どこで何が鳴っているのか、確認するのも楽しかった」

びわ子「木管の人も多かったな」

おおつ「曲の指定通りのようなので、こんなものなのでしょう。コントラバスクラリネットという巨大な楽器を初めて見ました」

びわ子「ところで、びよーんと鳴ってた音は、その音戸丸って殿様?」

おおつ「オンドマルトノです。たぶん。いろんなところで効果的に鳴ってました。特に第3幕では、3つのオンドマルトノを使って立体的な音場を構成しました。もちろん、第2幕の天使のビオールの響きも大変美しかったです。呼吸をするのもはばかられるように思いました」

びわ子「なんか電子音響もつかってなかった?どっかのおばちゃんの携帯が鳴っているのかと思った」

おおつ「電子音響と、3つあるオンドマルトノとの共演でした。4階席ではおっしゃる通り電子音響の音が小さくて、やや中途半端に感じたところもありました」

びわ子「歌手はどやねん?フランチェスコの人はよかったで」

おおつ「聖フランチェスコのル・テクシエはすばらしかったですね。最初から最後まで舞台に出ずっぱりなのに、最後まで衰えることなく高貴な声が響き渡る。最高のフランチェスコでした。この人なくしてこのオペラはあり得なかったかもしれません」

びわ子「天使の人はどう?」

おおつ「天使役のバラートも美しい声を存分に聴かせてくれました。第1幕はヴィブラートが気になりましたが、第2幕以降は最高でした」

びわ子「ほかにも兄弟がいっぱい出ててきた」

おおつ「みなさん立派で、不満に思う人はいませんでした。いい歌手を集めてくれたと思います」

びわ子「指揮とかオケとか合唱とかは?」

おおつ「オケは凄かったですね。迫力もあるし、外れることもないし、指揮によく付いて行って、メシアンの音楽世界をよく構築できていたんじゃないかと思います。指揮のカンブルランは、悪くはなかったですが、もう少しキレがほしいと思うところがありました。合唱は、まあ、こんなものかな」

びわ子「音楽はだいたいよかったよな。でも、長かったよー」

おおつ「息つかせない音楽はすばらしかったですけど、ワーグナーのように、終わってもまだまだ聴きたいという麻薬みたいなものはなかったですね。でもこの長さがあってこそ、メシアンの作る世界があったのかなとも思いました」

びわ子「どういうこと?」

おおつ「いろんな場面でいろんな音楽が流れて、聴く人に曲に対する音楽観を作り出します。さらに音楽が続いて、その音楽観を大きく広げていきます。そんな中で決めの音楽が流れ、その受容の体験が極めて印象深いものになっていくのではないかと思うわけです」

びわ子「長いから、極一部のわかりやすい音楽がより印象深くなるってことやな」

おおつ「うっ、違うと思いたい。でも、全体的にしっかりした音楽だったと思います。ところで、この公演で一番印象に残ったことは何ですか?」

びわ子「そりゃもちろん木琴よ。あれは迫力あった」

おおつ「そうですね。やっぱり木琴類ですよね。中央後方に3台並べて、視覚的にもカッコいい。楽器を見る楽しみは演奏会形式ならではです」

びわ子「演奏会形式のオペラもいいもんやな」

おおつ「そうです。演奏会形式なら比較的簡単に公演ができますから、安価に楽しめます。だからまたオペラに行きましょう!」

びわ子「そうだねー。またオペラに行きましょーねー!舞台でも演奏会でもどっちでもいいけど」