びわ子「みなさーん、こんばんわー!」
おおつ「みなさん、こんばんは。今日は、びわ湖ホールにベッリーニ作曲の歌劇『ノルマ』を観に来ています」
びわ子「なんかすごいよ、今日のチケット完売だってー」
おおつ「主役を歌うマリエッラ・デヴィーアが、これを最後に日本のオペラ公演から引退するそうでで、その点で話題になってますね」
びわ子「へーそれが理由か。ところで、今日のオペラはどんな筋なの?」
おおつ「ローマ人に支配されたガリア人の巫女の長ノルマは、実はローマ軍の総督とできてて、子供も二人もいるんです。その総督が他の巫女にも手を出して、その巫女がノルマに相談する。でも相手がノルマの愛する人で、当然ノルマは激怒。ガリア人もローマ軍を攻めるぞ!といきり立っているところで、ノルマが『裏切り者がいる』と叫びます。そして『それは私』と言って総督とともに燃え盛る炎の中に飛び込んで終わりです」
びわ子「なんやその二人も子供がいるって、何年バレんとやっとんねん」
おおつ「そこはオペラですから。それでは始まります」
(一幕と二幕を見ました)
おおつ「いかがでしたか?」
びわ子「『へ』じゃなかったな」
おおつ「『へ』とは?」
びわ子「前観たやん、最後の炎の場面で、炎の形が『へ』になってたやつ。あれは笑うた」
おおつ「そういうのがありましたね。山のつもりだったのでしょうけど。実は私もトラウマになってます。で、今回の舞台はどうでしたか?」
びわ子「デヴィーアっておばさんすっごくいい声してたな。69歳だって?すっごいな」
おおつ「デヴィーアはさすがでした。声が凛として美しく、どんなに激しくても乱れず、立ち居振る舞いも美しい。こんな歌を聴けて幸せです。お年を考えると日本引退は仕方ないのでしょうが、まだまだ十分行けると思いました。私は最後の『私です』と裏切りを明かしたところで、ぼろぼろに涙が出ました」
びわ子「テノールのおっちゃんは声もデカかったけど、体もめちゃんこデカかったな」
おおつ「ポリオーネのポップはすごく大きな声で魅了してくれました。ただ、声質のせいか、荒っぽく聞こえることがありました。あと、彼はまだ若いそうです」
びわ子「メゾのおねーちゃんも迫力あったな」
おおつ「アダルジーザのポルヴェレッリもすばらしかった。よく通るしっかりした声で、のびやかに歌ってました」
びわ子「主要キャストは万全だったということやな」
おおつ「はい、独唱は大変満足しました。二重唱や三重唱などの聴かせどころが大変ハイレベルのやりとりで、たまりませんでした。この三人組でこのオペラを聴けて良かったです。また、クロティルデの松浦さんが良く声が通ってきました」
びわ子「指揮とオケはどないだ?」
おおつ「沼尻さんの指揮はねえ、決まるところはいいんですが、特にアリアに合わせるところがゆっくりゆっくりなんですね。歌手も歌いにくかったんじゃないでしょうか。オケのトウキョウ・ミタカ・フィルハーモニアももうちょっとキレがほしいなと思いました。演出とかはどうでしたか?」
びわ子「それにしてもごっつい木やったな。中の洞で多人数の儀式ができるんやから相当なもんやで」
おおつ「装置は、舞台を埋めるような大きな木で、木の壁が開いたりしまったりして場面を作ってました。赤い布などの小道具をうまく使い、雰囲気もよく、いけてたと思います。演技もよかった。ただ、合唱が棒立ちになっている時間が長いのは気になりました」
びわ子「そうやね、特に文句はないわ。『へ』じゃなくてよかった」
おおつ「まあ、今回は最後まで泣ける演出でよかったです。ノルマは神々しく炎に向かっていきました」
びわ子「客席も沸いたね」
おおつ「すごかったですね。デヴィーアへの賛辞でしょう。私もまだ歌ってほしいと思いました」
びわ子「それにしても69歳まで現役ってすごいよね」
おおつ「明日は、70歳の方のオペラアリアのリサイタルですよ。それもハードな」
びわ子「えー!」
おおつ「こちらも期待大です。だからまたオペラを観に行きましょうねー」
びわ子「観に行きましょうねー」