びわ子「みなさーん、こんにちわー!」
おおつ「こんにちは。今日はびわ湖ホールでヴェルディ作曲歌劇《オテロ》の公演に来ています」
びわ子「びわ湖ホールはいつ来ても景色がきれいでいいな」
おおつ「今日(一日目)は雨ですけど」
びわ子「で、今日はどんな話?」
おおつ「キプロス総督のオテロが、騎手イアーゴの策略に騙されて、妻デズデモナの浮気を信じ込み、嫉妬のあまりデズデモナを殺してしまうんです」
びわ子「その後、オテロはどうなるの?」
おおつ「全てを知り、絶望して死ぬんです」
びわ子「ふーん、そんな話ってありそうやな」
おおつ「嫉妬は人を翻弄するという点で、いろんな人が陥る普遍的な話だと思いますよ。では、公演に行きましょう」
(一日目の公演を観ました)
おおつ「いかがでしたか?」
びわ子「あんな大きな貼りぼてでも、人が手で動かすんやな」
おおつ「幕や場面ごとに向きや位置関係が変わるんだから、手動でしか無理です!っていうか一番の感想がそれかい!」
びわ子「小人さんに動かしてもらったらよかったのに。それにしてもオテロの人すごかったなー。ガンガン声が来たよ」
おおつ「福井さんのオテロはホントにすごかった。声のはり、迫力、そして高音をしっかりと決めてくれました。これが最初から最後まで続くのですから、驚異的なスタミナですよね」
びわ子「イアーゴの人は、杖ついてたけど、声は出てたな」
おおつ「黒田さんは、ゲネプロで足を怪我をされたそうで、負担のかからないように杖をついて現れる演出に変えたそうです。それでも、声はよく出るし、見た目老獪なイヤーゴという感じで、声も姿もよかったと思いました。」
びわ子「デズデモナの人は可憐だったわぁ」
おおつ「砂川涼子さん!しっかりした素直で優しい声で、激しいところは激しく、弱いところは細く柔らかに。4幕の柳の歌とかアベ・マリアではもう涙が止まらなくて。すばらしいソプラノですね」
びわ子「合唱もうまかったよね」
おおつ「いつも思いますが、ホント上手ですね。迫力あるし、ばっちり合っているし、児童合唱以外は表現力もさすが。でも、3幕後半は合唱と歌と管弦楽がバラバラになっていて残念だと思いました」
びわ子「残念?じゃあ、オケはどう?」
おおつ「最初の嵐の場面の迫力がいまいちだったんですよね。あれ、こんだけ?という感じ。3幕後半は迫力はあったけどちょっと合唱と合わなかった。でも、さすが京響という乱れの全くない美しい演奏でした」
びわ子「また3幕後半か。指揮は?」
おおつ「沼尻さんの指揮は、迫力や柔らかさを十分に出しつつも、まっすぐな曲作りだったと思いました。まあ、もっと抒情的でもいいかも。そして、最初の嵐の迫力や、3幕後半のばらけた感じは、もう一つだったです」
びわ子「最初の嵐と3幕後半に不満たらたらだったんやな」
おおつ「ヴェルディに限らずオペラって、オケと歌手と合唱が混然一体となって、強い音楽があふれかえる場面があります。そういう見せ場をどう処理するか、歌手やオケ、合唱はもちろんですが、指揮者の力量が問われると思うんですよね」
びわ子「で、それがうまくいってなくて、不満だと」
おおつ「はい。ただ、そういう点で不満はありましたが、福井さんのオテロを始め、すばらしい歌手陣と、美しい合唱、乱れのないオケ、いい公演だったと思います。特に、福井さんと砂川さんという日本を代表する歌手が出演してくれたのが大きいですね」
びわ子「で演出は?よくわからんということはなかったと思うけど」
おおつ「ダイナミックで素直な演出だったと思います。中央に八角形の舞台をおいて、そのまわりに4つの大きな壁のような装置。それぞれ個別に移動させて、港になったり、階段と廊下になったり、大きな壁になったり」
びわ子「あれを小人さんが動かしていたんだ」
おおつ「小人さんじゃありません!他に演出では照明も活躍。3幕でオテロが狂うところなんて、壁の上部だけに光が当たって、おぞましい雰囲気が出ていました」
びわ子「壁にマリア様もいたな」
おおつ「いつも見えているわけではなくて、必要な時にマリア様が見えていた感じです。4幕ではずっと見えてましたね」
びわ子「じゃあ、今日は不満もあったけど、歌手もいいし、演奏もまあまあ、演出も素直だしで、満足ってところかな?」
おおつ「はい。そんな感じです。では二日目の公演に行きましょう。
びわ子「二日目は晴れたな」
おおつ「晴れのびわ湖ホールは楽しさ倍増です」
(二日目の公演を観ました)
おおつ「いかがでしたか?」
びわ子「歌手以外昨日と同じやねんけど、結構変わるもんやな」
おおつ「そうですね、オケは随分迫力が増したと思います。1幕の嵐は、迫力満点で、オテロの1幕はこうでなくては!とうれしかったです。さすが京響!」
びわ子「文句たらたらだった3幕後半はどうやねん?」
おおつ「すばらしかったです!オケと歌手と合唱の一体感、緊張感がたまりません!この極めて劇的な音の洪水!これを待っていたんですよ」
びわ子「で、歌手やけど、オテロの人の声は迫力あったな」
おおつ「パロンビのオテロ、登場では光り輝く声を存分に出して、圧倒させてくれましたね。うっすらパヴァロッティを感じました。これで福井さん並みに高音を決めてくれたらね」
びわ子「何?不満かいな?」
おおつ「高音を回避するため、芸を入れてたように感じました。でも、やっぱり輝く高音が欲しい。そういう面では残念でした。もしかすると、一日目がパロンビだったら不満を感じなかったかもしれません」
びわ子「ふーん、そういうもんかね。イアーゴの人は?」
おおつ「堀内さんのイアーゴは最初は暖かみのある人柄で馴染めなかったですが、そのうちどす黒い性格を出すようになり、なかなか良かったです。ただ、一日目のように杖をついていた方が、凄みが出たような気はしました」
びわ子「デズデモナの人は?」
おおつ「安藤赴美子さんのデズデモナもよかったけど、一日目の砂川さんの素直で可憐な声に比べると、少し違和感がありました。これも一日目に聴いていたら不満を感じなかったかもしれません。といいつつ柳の歌から泣いてたんですが」
びわ子「合唱とオケは一日目よりよかったね」
おおつ「はい。もう最高でした。迫力、美しさ、一体感!京響も合唱もすばらしい!二日目は一日目より歌手に不満もありましたが、それも微々たるもので、全体的にも十分楽しめました。」
びわ子「べたほめやな。他にも何かありそうな気がするが」
おおつ「今回は特にないですね。しいて言えば、一日目の歌手で二日目を聴きたかったっということでしょうか。福井さんのどこまでもまっすぐに伸びる声で、爆発するオケをバックに聴きたかったかも」
びわ子「ふーん、いつもに比べたら文句が少ないな」
おおつ「いい公演だったからですよ。たのしい二日間でした」
びわ子「うん、楽しかったよ。またこんなオペラを観れたらいいな」
おおつ「ところで、びわ子さんは嫉妬して失敗したことがありますか?」
びわ子「そんなのしょっちゅうやがな。今日もかわいらしいねーちゃんがにいちゃんと話をしているのをみて、悔しかったわ。それみとったら、おっさんとぶつかってしもた。ホンマ腹立つ」
おおつ「(おっさんもいい迷惑やな)」
びわ子「ん!次はだれかいい男連れてきてんか。そしたらまたオペラを観に行くわ」
おおつ「ええ、どうしようかな、でも今回のオペラも楽しかったですよね。だからまたオペラを観に行きましょーねー」
びわ子「観に行きましょーねー。次はチャーンス!」