エサ=ペッカ・サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏会を兵庫県立芸術文化センター大ホールで聴いた。ソリストはヒラリー・ハーン。
まず、シベリウスの『フィンランディア』。
最初はゆっくりゆっくり。昔、朝比奈隆さんが、フィンランドの人はゆっくり始めるのが好きなようだ、と書いていたのを思い出した。
次第に早くなり、ごつごつした音が乱れ飛んできて、激しく終わった。サロネンの指揮の動きも大変激しいものだった。
次は、ブラームスのバイオリン協奏曲。
ハーンのバイオリンの音が美しい。緊張感の高い激しい演奏だった。ハーンものりのり。
アンコールのバッハは美しかった。軽やかでおおらか。気持ちの良い演奏だった。
最後は、シベリウスの交響曲第五番。
これがもう心の中に何かが強く込み上げてくるような、一生に何度も聴けないような演奏だと思った。
聴く前は、美しい晴れ渡った空のような演奏を想像してたが、ごつごつした岩山を汗をかきながら登って行くかのよう。雨、風もある。
そんな中、突如第三楽章のおおらかなテーマが大河がたゆたう様なテンポで流れ、ぶ厚く暗い雲の小さな切れ間から、太陽のまぶしく神々しい光が、キラキラ輝いて見えた、そんな気がした。
サロネンの指揮は激しく、美しく、その動きから音楽があふれ出てくる。もう指揮者しか見えない!
アンコールはシベリウスの『悲しきワルツ』。圧倒的な交響曲のあとで、いつの間にか終わっていた。
この日は、とにかく、シベリウスの五番!それに始まり、それに終わった。それ以外は吹っ飛んでしまった。こんな演奏に巡り合えて本当に良かった。