コンヴィチュニー オペラ・ワークショップ in びわ湖2014《椿姫》の4,5日目のメモ |   kinuzabuの日々・・・

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ヴェルディのオペラ《椿姫》が題材のワークショップ、コンヴィチュニー オペラ・アカデミー in びわ湖2014の4、5日目に行ってきました。

両日とも濃密なワークショップを聴講できました。書きたいことはたくさん、たくさんあるのですが、長くなるので、このぐらいで。


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<8月2日>2幕一場

オリジナルにないアルフレードの妹が登場、ジェルモン父にはたかれて、床に倒れ、泣く。しゃくり上げるように声を出して泣く。泣くことでオペラを愛する皆さんを驚かせる。泣くことは歌を邪魔しない。

ジェルモン父はコントロールを失い、いらつき椅子を揺らす
ただ揺らすだけではトイレに行きたいのかと思われる

妹はヴィオレッタに抱きしめられる。娼婦に抱きしめられる。妹はどんな気持ちか?

(威圧的な父、虐げられた妹、妹を抱きしめる)
こういうことがあったからヴィオレッタは身を引く

ここのオーボエのパート。人間が発明したものの中でもすばらしいもの。シンプルで心を打つ。砂漠の中で死ぬかもしれないと思った時にひとすじの光がさす。



オリジナルにピストルはない。今の状況を示す。ピストルはヴィオレッタにとって一番いい解決策

ジェルモンは今ヴィオレッタに自殺されたら、地方の名士が娼婦といたことがばれる。世間体が悪い。

音楽は過剰にポジティブ。ヴィオレッタが解決策を見つけた。死ねばすべてがうまくいく。狂った女がひらめいたとき、笑う。

ジェルモンとヴィオレッタはピストルの奪い合い。音楽が切れると一発発射。パーン




何故アンニーナが来るのか?呼んでない。ピストルの音で何があったのか覗きに来る。もしかしたら死体が転がっているかもしれない


三通の手紙。
フローラからヴィオレッタへの手紙は
アルフレードはが持ってくる手紙は
3幕でジェルモンからヴィオレッタへの手紙はしわくちゃ
3幕の手紙はヴィオレッタが何度も何度も読んでいる。「もうすぐ会いに行くよ」。胸にしまって大切にしている。しわだらけ

3通の手紙は見た目で分かるようにしたい



アンニーナは手紙を受け取り「oh」。すばらしい4分音符。手紙の意味を知って衝撃をうける。あっちの世界に戻ることとわかっているから。

ここでクラリネット。最も美しいクラリネット。手紙を受け取って振り返る。




こういう場面に時間をかける。

公演で2週間しかリハできないことがある。スターがいるとき、MET、スカラなどで。演出に興味がない。あと2週間くれといっても、報酬を増やすからと言われる。なにもわかってない。

2幕1場でのアルフレードとヴィオレッタのやり取りはすばらしい場面。アリアがないので、METやスカラではさらりと行く。この場面に人生がどれだけ込められているか。




ヴィオレッタはどこに行くのか?

タクシーでパリへ。100mぐらいで公僕に手紙を託す。アンニーナもタクシーで拾う。着の身着のままで出てきた。パリに到着したヴィオレッタはフローラのところにいく。

フローラはカジノへ連れて行けばセンセーションと思って男爵に電話。男爵の金で金でドレス、メイク。

この次に何があったかをイメージすることは大切。




アルフレードはパリに行って何をしてきたのか?
家具を買い戻したはずなのに、この本面白いと思って買ってきた。



ホントのアルフレ―ドは手紙になんと書いてあるか知らないはず
ほとんどの公演では知った状態で手紙を読む。




<8月2日PMの後半:聴講してません・・・>


<8月3日>二幕二場


社交界では4人で固まって歩きながら噂話をしている
「ヴィオレッタ」で声を出して驚く。1つ目の爆弾発言。サプライズ。
「二人は別れた」 2つ目の爆弾発言。ねずみのようにこそこそ


ヴィオレッタはかつら、髪の毛が抜けた、相当悪い。周りは死ぬのを楽しみにしている。周りがそう思っていることをヴィオレッタもわかっている


男爵とアルフレードは恋敵同士高ワンランク上になって、ヴィオレッタを取り巻く奇妙な友情が芽生える




こういうネタを取り上げてゴシップ誌がある。そのネタを今作っている。

150年前の音楽を分かる形で現代で上演する。これが作品に忠実なアプローチ。

100%ヴェルディは喜んでいると確信する。




カードゲームは佳境。カードがヴィオレッタとフローラに降りかかる。フローラは楽しい。ヴィオレッタは汚されていると感じる。ゼウスが雨になってダナエに降りかかったように。


「後ほど、雪辱戦を」 2重の意味。ゲーム、どちらがベッドで楽しませることができるか



アルフレードは前のテンションで舞台に戻る。食卓に着いたところで、ナプキンを前掛けにしている。ヴィオレッタに目もくれず出てくる。何かお話でもあるんですか?

「男爵を愛している」ところでヴィオレッタは足を開く。アルフレードは沸点へ。でも、音楽は楽しい。アルフレードは復讐の鬼。楽しい。




演出とは何かを構築すること。現実に起こりうることをここで作っている。上手く作ると見ている客はわかる。音楽は理解を助ける。

リアルに伝わるとオペラを観ていることを忘れる
。それぐらいいいものを作りたい。

アルフレードとヴィオレッタは愛し合っているが全く違いことを言っている。そこから最後は悲劇になる。作品は私たちに何かを教えてくれる。私たち自身の自らの経験なく、成熟させてくれる。これが舞台の価値

こころが見える演出をつけないともったいない。



ほとん
どの演出ではアルフレードとヴィオレッタは離れている。アリアがないから練習しない。いい場面で気持ちがこもっているのにもったいない。



翻訳:すべての持ち物を私に対する愛情のために売り払った
正解:すべての持ち物を私に対する快楽のために売り払った。


そして、
公開処刑



合唱は食事中の気持ちのままでてくる。ナプキン、フォークとナイフ
この合唱は30秒しかないが、ボッシュの絵のように。
(地獄絵、黙示録のように、合唱をグループに分けて、それぞれに殺し合うような演技をつけ、激しく大きな舞台をつくる)


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8月5日はこれで終わりです。次は最終日に行く予定です。