みや子「みなさーん、こんにちわー!」
にしの「こんにちは」
みや子「今日は兵庫県立芸術文化センター、長いのでゲーセンに来ています。小ホールでバッハを聴きます!」
にしの「ゲーセンはないんじゃないの?芸文と呼ぶ人が多いようですが」
みや子「ところで今日はどんな演奏会なんですか?」
にしの「スルーですか。今日は、シギスヴァルド・クイケンという人がバッハが作曲した無伴奏チェロ組曲を、ヴィオロンチェロ・ラ・スパッラという楽器で演奏するんです」
みや子「無伴奏チェロ組曲は知ってますが、ヴィオロンチェロ・ラ・スパッラってなんですか?」
にしの「チェロの原型のような楽器で、バイオリンの様に横に構えて弾くものなんだそうです。写真で見るとビオラの大きなものみたいですね」
みや子「ふーん、じゃあ聴いてみるか。わ、ホールは満員だ!」
にしの「無伴奏チェロ組曲は人気がありますからね、前半は1番と2番です。では聴きましょう」
(前半を聴きました)
みや子「うーん」
にしの「うーん」
みや子「これって、チェロ?」
にしの「この楽器、音域はチェロのようですが、チェロ組曲で聴く、豊かな表現力とか、ダイナミックさとか感じられないですね。チェロでの演奏とは全く違う印象です。家の中で家族と一緒に演奏して楽しむみたいな、そういうまさに室内で楽しむ楽器のような気がします。まあ、そういう演奏をしているのかもしれませんが。」
みや子「小さな部屋の中で聴いたらいいかも、って思いました。それにしても弾いている姿は流しのおっさんみたいだったわ。」
にしの「はは、私もそう思いました(笑。大きな楽器を首ひもでぶら下げていましたからね。それでは後半です。5番です」
(後半を聴きました)
みや子「うっそー!全然音が違うじゃん!」
にしの「前半とはうって変わって、輝かしい音が広がってくれましたね。チェロとの違いは同じですが、音の響きにきらめきが増して、家庭内で楽しむだけでなく、演奏会でも大きく歌う楽器に変わったように感じました。」
みや子「なんか指の動きがすごかった。」
にしの「テクニックは抜群でしたね。前半は、楽器の欠点をテクニックでカバーしているのかなと思いましたが、後半、テクニックで楽器が活きました。私は、楽器の中でいろんな音がぶつかり合って、そこから湧き出る音を聴いているような感覚を持ちましたよ。」
みや子「後半の4番目の曲になると、頭を振って聴いているお客さんが多くなりました」
にしの「5番のガボットは有名な曲ですからね。仕方ないかも。でも私としては、演奏会でお客さんが頭を降ってテンポを取るのは止めてほしいです」
みや子「演奏の印象はどうでした?」
にしの「テクニックは抜群でしたが淡々と弾いて、朗々と音を響かせてくれました。無伴奏チェロ組曲という曲に正面から向き合うことができた感じがして、とても楽しい時間でした」
みや子「演歌おやじは朴訥としていたけど、いつ歌いだすかはらはらしました」
にしの「だから流しじゃないって。でもみや子さん、流しってよく知ってますね。歳はいくつなんですか?」
みや子「ピー!レッドカード。一発退場。女性に歳を聞いてはいけません」
にしの「ワールドカップでしたね。でもいい演奏会でした。また演奏会に行きましょうね」
みや子「いきましょうねー。でもレッドカードだから、次回は禁止!」
にしの「そ、それは勘弁してください・・・」