”「悪夢の未来」を回避するために” | よくいうかいえ ( Cahier)

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古布リメイク作家のつれづれ日記

今日も三橋貴明氏のブログで政治・経済を学びます。

 

「悪夢の未来」を回避するために

『検証アベノミクス:2度の消費増税で財政政策が機能せず=藤井・元内閣参与
https://jp.reuters.com/article/abe-fujii-idJPKBN25M0D0
 第2次安倍内閣で内閣官房参与を務めた藤井聡氏(京都大学大学院教授)は、歴代最長政権となった安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」について、消費増税によって第2の矢である財政政策が十分に機能しなかったとの見方を示した。
 その上で、足元のコロナ禍で内需が低迷する状況に対応するため、さらなる財政出動と消費税減税が必要と語った。24日に書面で回答した。
<財政政策がマイナスに>
 藤井氏はアベノミクスの成果について、「2014年3月までの期間、消費税5%の状況下で10兆円の補正予算を組んだこと。この時、非常に大きな効果があったことは間違いない」と指摘。3本の矢のうち、2本目に当たる「機動的な財政出動」の初期の対応を評価した。
 一方で藤井氏は、「14年の消費増税で、この成功は消し飛んでしまった。そもそも第2の矢は『財政支出額マイナス増税額』で測るべきもので、増税前まではプラスだったものが14年4月の増税以降、それがマイナスになった」と説明。「アベノミクスをやろうとしてやれなかったことを意味する」との見方を示した。
 「第1の矢(大胆な金融政策)や第3の矢(民間需要を喚起する成長戦略)をいくらやっても、第2の矢を打たなければ資金は市場には回らないし、デフレも終わらない」と述べた。(後略)』

 藤井先生が書かれた通り、アベノミクス三本の矢の「第二の矢 財政政策」は機能しなかった。というよりも、行われませんでした。
 そもそも、2013年6月にPB黒字化目標が骨太の方針に入った時点で、安倍政権は適切な財政政策を推進する気はなかったという話です。PB黒字化と財政拡大は、絶対に両立しません。

 

 

つまりは、デフレが「都合が良い」緊縮財政派が、「効果があるデフレ対策(第二の矢)」など、単年度はともかく、長期に認めるはずがなかった。


 また、構造改革派にとっても、デフレが都合が良い。


 デフレ継続で経済成長率が低迷すると、(先日、解説した通り)平均概念の潜在GDPを使っている我が国では、潜在成長率が下がる。となると、
「潜在成長率を引き上げるためには、規制緩和だ! 民営化だ! 公共インフラの叩き売りだ! 自由貿易だ!」
 といった、構造改革が可能になる。そして、構造改革が進めば、既存の所得のパイに新規参入を果たしたレント・シーカーが儲かる。


 緊縮財政はもちろん、構造改革もまた、インフレ対策です。つまりは、デフレ化政策。デフレ化政策である構造改革を「成長戦略」と呼び変え、第3の矢と称していた以上、これまた「端からデフレ脱却などする気がなかった」というのが真実なのでしょう。
 

 とはいえ、さすがにデフレ対策を全く「やるフリすらしない」のはまずい。だからこそ、採用されたのが「いわゆるリフレ派政策」だったわけでございます。


 改めて整理すると、話はシンプルです。


● 安倍政権にはデフレ脱却の意志は無かった。だからこそ、緊縮財政と構造改革が推進しされた
● デフレ脱却の「フリ」をする必要があった。だからこそ、いわゆるリフレ派政策が採用された


 という話なのですが、今後の日本経済は、
1.PB赤字が史上最大規模に拡大(2020年度は、第三次補正を組めば100兆円に迫るでしょう)
2.潜在成長率がゼロに落ち込む
 ことが現時点で決まっています。


 となると、当然ながら、
「PB赤字を減らすために、緊縮財政!」
「潜在成長率を高めるために、構造改革!」
 と、相も変らぬデフレ化政策が推進される可能性が高いわけです。


 この「悪夢の未来」を回避するためには、「知識」「情報」「データ」そして「言論」で戦うしかありません。我が国が民主制の国民国家(一応)である以上、他に方法がないのです。


 日本国民の多くが藤井先生の記事や、本日のわたくしのエントリーの内容を「正しく」理解することができれば、状況は変わります。