福知山筋トレ部のちんたら日記
Amebaでブログを始めよう!
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

『人間の証明』

スピーディな展開、緊張感煽る音楽、告白の夜は嵐で雷、殴り合ってカーチェイスして撃って怒号、上げて落として何も残さず、ってなんか芝居のセオリー観てるみたいでおもしろかったです。

ブラック、イエロー、真珠湾、カラーと国家と個人、それぞれの関係が孕む差別と憎しみと哀しみが交差して自省の果てにただ残る虚しさ。「母さん 僕のあの帽子 どうしたでせうね ええ 夏碓井から霧積へ行くみちで 渓谷へ落としたあの麦稈帽子ですよ」
振り上げた拳のやり場に終点はなく、いつも誰かが涙を拭いている。

それぞれの守られるべきものが徹底的に個人の立つ生活で、ヒューマニズムってやっぱりそこでしか実現しえないとおもうのだけれど、棟居刑事はじゃあなぜ撃たなかったか。
そうか、彼のヒューマニズムへの、あるいは”原生”へのrebelのattitudeこそが「人間の証明」なのかー。なんて考えながら今ウィキペディアぽちぽちやってると、

「脚色により、結末が原作と異なっているため、原作者の森村が作品テーマとした題名「人間の証明」が、映画版では意味不明となっている。」

意味不明になっているって、うおい。



大学入学当時、初対面の教授がぽつりと言った一言。
「・・・君は、マツダユーサクに似てますね。」
以来、観なきゃ観なきゃと思いながら、ようようやっとスクリーンの彼を観ました。
・・・確かに、ちょっと似ている気がする。鼻とか。鋭い目をして唇をちょっと前に突き出して、こう。それで低い声で「母さん 僕のあの帽子・・・」なんて。ぶつぶつPCの前でやりながら、そうか、こういうことを練習しておいて、皆の前でやったりしたら僕も大学のサークルでちゃんと友だちとか出来たのかもしれない!とおもってももう遅いのですねえ。

あと、あれだわ。岩城さん見るとそうた兄ちゃんが死んだ夜を思い出してしかたないわ。もうかなしいわ。

監督:佐藤純彌
脚本:松山善三
原作:森村誠一
出演:岡田茉莉子、松田優作、ハナ肇、ジョー山中、他


仲野が書いた

『ガキ帝国』

おつとめごくろうさまでしたー。(なんで少年院出ていきなりそんなもじゃもじゃなッてんねん)

昨日見たサードから一転、殴り殴られいちびっとったらどつくぞこらーな男(ガキ)と男(ガキ)と男たち(ガキども)とちょっと女(女は強い)の青春映画。

青春ってやっぱ一線越えると虚しさしか生まないっつうか中身ないからそりゃそうか、ただその虚しさしかないという事実が浮き彫りになるのだなーと延々と繰り返される飛び膝蹴り(?)を観ながらおもうのでした。
いや、そんなドープな映画でないが。

がんばれけんちゃん!帰ってくなよ!とただおもうのでした。

まあおもしろかった。パッチギってのも話題になってたし観てみようかなあとおもう。

監督 : 井筒和幸
脚本 : 西岡琢也
出演 : 島田紳助、松本竜介、趙方豪、升毅

仲野が書いた

『サード』

研修旅行を終えた私は、長旅のアレをアレしようと久しぶりにレンタルビデオ屋に行く。会員カードを半年前まで同居していた某君にずっと貸したままであった。紛失したことにして、新しいカードを作ることにする。案の定、延滞がついている。2000円足らずであるが、某君のケツを私が拭くのも癪なので、払うことはしない。誰かに拾われて悪用されたことにする。
久しぶりの、それこそ数年ぶりのレンタルビデオ屋。アレをアレするだけと言うのもアレなので、映画でも観ようかとおもう。『サード』



ときどき同じ夢をみる。俺はサードを守っている。俺の前をランナーが駆け抜け、次々とホームインする。やがて攻守が変わる。俺がバッターボックスに立つ。ロングヒットを打つ。一塁、二塁、ダイヤモンドを駆け抜ける。三塁を踏む。気付けば周りに誰も居なくなり、俺は走り続ける。ホームに戻る。ホームベースがない。俺はまた走り出す。一塁、二塁、三塁、ホームベースはなく、それでまた走り出す。やがて俺はへたばってしまう。

あだ名はサード。少年院で、同室には紙飛行機を作り続ける少年と、和歌を詠み続ける少年と。

牢屋にいるとき、私はときどき世界は限りなく美しいとおもった。とサードが言う。だが自由の身になるとまた倦怠を感じた。とオシは続ける。
自分の希望が自分にとって退屈になるなら、それこそがまさに絶望であるな。

あの町からこの町へ。ホームベースを目指して走り、そしてまた走り抜けていく。ホームベースがあるはずもないことは承知のうえで。本当か?それを目指して走り、また走り抜けていく。

少女はやがて女になり、血はくるぶしまで滴る。

オシはどちらへ走りぬけ、サードはどちらへ走るのか。
彼はどちらへ走りぬけ、私はどちらへ走りぬけるか。
走れよⅡB、自分の速さで。私も走ろう。
さあ、部活をはじめよう。


というこれぞ青春映画でした。青春、と言ってにじみ出るのは汗と涙でなくむしろ倦怠と濁り、如何にも青い春の詩美。うちでDVDで観たわりに暇しない102分。おもしろかったです。うちで映画って久しぶりに観たな。


原作『九月の町』:軒上泊
脚本:寺山修司
監督:東陽一
撮影:川上皓市
出演:永島敏行、吉田次昭、森下愛子、志方亜紀子


仲野が書いた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>