『人間の証明』 | 福知山筋トレ部のちんたら日記

『人間の証明』

スピーディな展開、緊張感煽る音楽、告白の夜は嵐で雷、殴り合ってカーチェイスして撃って怒号、上げて落として何も残さず、ってなんか芝居のセオリー観てるみたいでおもしろかったです。

ブラック、イエロー、真珠湾、カラーと国家と個人、それぞれの関係が孕む差別と憎しみと哀しみが交差して自省の果てにただ残る虚しさ。「母さん 僕のあの帽子 どうしたでせうね ええ 夏碓井から霧積へ行くみちで 渓谷へ落としたあの麦稈帽子ですよ」
振り上げた拳のやり場に終点はなく、いつも誰かが涙を拭いている。

それぞれの守られるべきものが徹底的に個人の立つ生活で、ヒューマニズムってやっぱりそこでしか実現しえないとおもうのだけれど、棟居刑事はじゃあなぜ撃たなかったか。
そうか、彼のヒューマニズムへの、あるいは”原生”へのrebelのattitudeこそが「人間の証明」なのかー。なんて考えながら今ウィキペディアぽちぽちやってると、

「脚色により、結末が原作と異なっているため、原作者の森村が作品テーマとした題名「人間の証明」が、映画版では意味不明となっている。」

意味不明になっているって、うおい。



大学入学当時、初対面の教授がぽつりと言った一言。
「・・・君は、マツダユーサクに似てますね。」
以来、観なきゃ観なきゃと思いながら、ようようやっとスクリーンの彼を観ました。
・・・確かに、ちょっと似ている気がする。鼻とか。鋭い目をして唇をちょっと前に突き出して、こう。それで低い声で「母さん 僕のあの帽子・・・」なんて。ぶつぶつPCの前でやりながら、そうか、こういうことを練習しておいて、皆の前でやったりしたら僕も大学のサークルでちゃんと友だちとか出来たのかもしれない!とおもってももう遅いのですねえ。

あと、あれだわ。岩城さん見るとそうた兄ちゃんが死んだ夜を思い出してしかたないわ。もうかなしいわ。

監督:佐藤純彌
脚本:松山善三
原作:森村誠一
出演:岡田茉莉子、松田優作、ハナ肇、ジョー山中、他


仲野が書いた