『サード』 | 福知山筋トレ部のちんたら日記

『サード』

研修旅行を終えた私は、長旅のアレをアレしようと久しぶりにレンタルビデオ屋に行く。会員カードを半年前まで同居していた某君にずっと貸したままであった。紛失したことにして、新しいカードを作ることにする。案の定、延滞がついている。2000円足らずであるが、某君のケツを私が拭くのも癪なので、払うことはしない。誰かに拾われて悪用されたことにする。
久しぶりの、それこそ数年ぶりのレンタルビデオ屋。アレをアレするだけと言うのもアレなので、映画でも観ようかとおもう。『サード』



ときどき同じ夢をみる。俺はサードを守っている。俺の前をランナーが駆け抜け、次々とホームインする。やがて攻守が変わる。俺がバッターボックスに立つ。ロングヒットを打つ。一塁、二塁、ダイヤモンドを駆け抜ける。三塁を踏む。気付けば周りに誰も居なくなり、俺は走り続ける。ホームに戻る。ホームベースがない。俺はまた走り出す。一塁、二塁、三塁、ホームベースはなく、それでまた走り出す。やがて俺はへたばってしまう。

あだ名はサード。少年院で、同室には紙飛行機を作り続ける少年と、和歌を詠み続ける少年と。

牢屋にいるとき、私はときどき世界は限りなく美しいとおもった。とサードが言う。だが自由の身になるとまた倦怠を感じた。とオシは続ける。
自分の希望が自分にとって退屈になるなら、それこそがまさに絶望であるな。

あの町からこの町へ。ホームベースを目指して走り、そしてまた走り抜けていく。ホームベースがあるはずもないことは承知のうえで。本当か?それを目指して走り、また走り抜けていく。

少女はやがて女になり、血はくるぶしまで滴る。

オシはどちらへ走りぬけ、サードはどちらへ走るのか。
彼はどちらへ走りぬけ、私はどちらへ走りぬけるか。
走れよⅡB、自分の速さで。私も走ろう。
さあ、部活をはじめよう。


というこれぞ青春映画でした。青春、と言ってにじみ出るのは汗と涙でなくむしろ倦怠と濁り、如何にも青い春の詩美。うちでDVDで観たわりに暇しない102分。おもしろかったです。うちで映画って久しぶりに観たな。


原作『九月の町』:軒上泊
脚本:寺山修司
監督:東陽一
撮影:川上皓市
出演:永島敏行、吉田次昭、森下愛子、志方亜紀子


仲野が書いた。