昨年度の施政方針で和歌山市の文化的風土の醸成を図るため、作家・有吉佐和子氏の邸宅の復元やゆかりの品の公開などを行うと示されています
今はそのための調査が行われている最中とのことです
「いずれ議案として挙げられるのなら、どのような邸宅なのか見ておかなければ判断しづらい」という事や個人的に作家・有吉佐和子氏に興を魅かれていた事もあって、四月中旬、議員有志で東京の現地を見てこようという話がまとまり、有吉佐和子さんの長女、玉青さんとのコンタクトを文化振興課に依頼、杉並区にある邸宅を拝見してきました
学生だった40余年前は緑が多い田舎の住宅地で、当時フーテン、ヒッピーと呼ばれた「自由人」を気取る若人の聖地のような高円寺でしたが、その頃とはすっかり変わってしまった街並み、駅前の様子に驚き、過ぎた年月、寄る年波を思い直して納得
有吉邸の前で有吉玉青さんと初めてのご挨拶
控え目だけれどもしっかりした芯がある方だなぁと感じました
有吉玉青さんも「恋するフェルメール」などの著作に多くのファンを有する作家で、現在は大阪芸術大学教授として教鞭をとられています
雨戸を開けて外光を入れると、徐々に有吉佐和子氏の在りし日の姿が彷彿されます
有吉佐和子さんは茶道に凝っていて薮内流を嗜まれたとの事、昭和37年に建てられた邸宅は第一義にお茶席を設える造りです個人の邸とは縁がないと思ってたゼネコンの清水建設が設計、建築を担当したとお聞きしました
茶碗など茶道具の多くは和歌山市に寄贈されているとの事で、死蔵するのではなく是非皆さんが手に取って一服の茶を楽しんで頂きたい、と玉青さん
彼女も薮内流を嗜むとか
二階のこの部屋が書斎です
助左衛門四代記、有田川、華岡青洲の妻など数々の作品を執筆された部屋に入ると、窓の外を眺めては思いを膨らませながら綴ったのかなぁと想いが沸き上がってきます
何だか感慨一入
玉青さん曰く、この書架部屋が自慢なんです
書斎で玉青さんを挟んで記念撮影
庭に出ると和歌山市の花「つつじ」が出迎えてくれています
雨戸が閉められ、木や草が茂る庭ですが、口や手を清める手水を貯める蹲踞(つくばい)が顔を出し、茶席を楽しんだ風情が感じられます
「何かの顔に見える」と佐和子さんが言っていたという足元の岩
有吉佐和子氏の母、玉青さんの祖母秋津さんは、秘書兼作品の批評家であり、一手に家族の世話を引き受けていたという事は伝えられていますが、人柄はかなり活発で、おばあちゃんの手ほどきで、二階書斎の下の居間の雨戸に向かってサッカーボールを蹴る練習をよくしたものです、と玉青さん
一通り邸を拝見した後まだ時間があるということで、玉青さんから「この町の商店街が面白いので案内します」と
駅までの道すがら、商店街にある喫茶店で「冷コー」などを頂きました
なるほど、玉青さんが仰るように、駅を中心にして幾つもの商店街があり、それぞれが成立しているようです
和歌山市や各地の商店街は大型店の進出で寂れてしまっているのになぜ、という思いがします
駅前はすっかり様変わりしていますが、元々の住宅街にはまだ微かに武蔵野の面影を感じます
和歌山市議会議員 北野 均