和歌山市の南部・和田川周辺の地区は、田や畑など農耕地の中に宅地開発が進み、台風や近年増えた大雨による浸水被害に長らく苦しんできました
浸水対策が求められながら、なかなか捗らなかった雨水対策が、5年前(2012年)の大雨で一面水浸しになったニュース映像のインパクトや市議会、行政からの強い要請などが国に奏功し、和田川の改修56億、和田川右岸、左岸の浸水対策事業300億円など、事業が前を向いて進んでいます
また、事業計画が始まってから着工、開通まで長い時間が掛かった、宮街道から南に延びる都市計画道路「松島・本渡線」は安原地区で南港・山東線と連結し、すでに智弁学園下まで延ばす工事が着手されています
その松島・本渡線沿いに和田川への排水ポンプ場が建設中で、道路下には、和田川排水区と名付けられた広範囲な地区の雨水排水のため約20.000㎥の水を一時溜める貯留管(直径4.5m×長さ1240m)が設置されていますが、人の目にはつかない施設のため、あまり知られておりません
近くでは待ち望まれた阪和高速南インターが現在工事中です
分かっているようでよく知らない公共施設の建設現場
5月末に(H29.5.26)視察する機会を得ました
宮街道から竈山神社まで開通した松島・本渡線の神前地区付近
道路の地下17メートルに延長1240m、直径4.5mの雨水貯留管が埋設されています
市の下水道職員の案内を乞い、貯留管点検のマンホールを降ります
直径60㎝の垂直に降りるマンホールに挑戦するのは一苦労でしたが、先に降りた職員から「水が来てるので無理です」・・この時期は田植えのために用水を使っている最中で、用水路をオーバーフローした水が貯留管に流れ込んできていました・・螺旋状に流れ込むように設計され、穏やかに流れる水だと説明を聞いていたので「そうか~」と高を括っていたけど、半端ない勢いでズボンはびっしょりです
貯留管の内部見学はあきらめ、工事中の第一工区の用水路からの導入ゲートを視察
田に水が要る用水期は不要な水だけを排水するような設計をしているとの説明を受け、技術屋さんの細かい心配りに納得させられます
道路下の貯留管に溜まった水を和田川に排水するポンプ場です
敷地は広くもなく、何の変哲もない施設のように見えますが、地下20mの貯水槽に集めた貯留管の水20.000㎥を、3台のポンプを稼働させ、42㎥/分で、約8時間かけて和田川に排水します
「この上屋の地下は20mの貯水槽です、見てみますか」と担当職員の案内で細くて暗い階段を降ります
懐中電灯を頼りに最下部まで降り、上を見上げると、道路下の貯留管から流れ込む水の導入口が見えます
この施設が完成すれば、神前、津秦、田尻、坂田など大雨の度に浸水していた地区の負担が少しでも軽減されると期待できます
雨の度に「何とかならんのか」と要請されながら、道の穴を補修するような訳にはいかなかった浸水対策が、和田川改修とあわせて進展するかと思うと、ちょっと安心出来るかなと思っています
次の現場は西日本NEXCOが突貫工事中の南インターです
スマートICと表記されていますが、大阪、白浜、双方向の乗降ができる事実上のフルインターチェンジで、東高校東側の山間の切削、軟弱地盤の土壌改良、トンネルなど、大掛かりな工事が進んでいます
現場の案内はNEXCO和歌山工事事務所課長と有田工事長にお願いしました
説明を受けているこの場所が、水軒口交差点から竈山神社に至り、そこから東に延びる「南港・山東線」に当たります
工事現場を見渡すと、山あい一面で工事が展開されています
東高校の裏は地盤改良中で、この後盛り土をしてインターへの進入路となります 流石にお国の事業です
阪和高速の下を潜り、東側の山はトンネルを抜き、吉礼地区で県道和歌山・橋本線と連絡します
高速道路は交通止めをする訳にはいかない事と車が往来する道路の段差が3㎝を超えると危険なので、この箇所の工事には非常に神経を遣うとの事
一年余り後(平成30年度)の完成を目指して突貫工事中の和歌山南スマートインターチェンジの完成図
物流、経済の発展を期すには絶対必要な南インターとそれに連携する都市計画道路「南港・山東線」が姿を現しつつあります
平成7年初めての一般質問のテーマに「南インターチェンジ建設の必要性」を取り上げてからもう20年余り経ちました
事が動き出すには、そのぐらいの年月、時間が要るものなんだと・・
新しいものが出てきたらすぐに飛びついたり、あちらの制度が良いからとマイナス面を検証しなかったり、世情に流されるままに施策をいじってみたり、その結果新たな問題が出て不満たらたら、どうも軽薄な世の中やなぁと違和感を覚える今日ですが、こつこつ地味な交渉や作業を積み重ねて、やっと日の目を見ることが出来る事業を視察できたことに感慨を覚えました
和歌山市議会議員 北野 均