カセットテープがワカメ -134ページ目

カセットテープがワカメ

キノコ国本剛章の音楽活動・妄想・ノリツッコミなど。

「劇伴(ゲキバン)」=「劇中伴奏曲」。映画やTVドラマで場面を盛り上げるために使用されるBGMのことです。敢然と敵に立ち向かう場面では勇ましい音楽。謎が深まる混迷の場面にはミステリアスな音楽。ラブシーンには甘く切ない音楽。3枚目が演ずる失敗シーンにはコミカルな音楽…。歴史上初めてBGMの手法を編み出したのはどなたなのでしょうか。スゴい発見ですよね。だって実生活の中ではどんなに楽しいことや悲しいことが起きてもあなたの耳もとで音楽なんて鳴らないんですから。
ultraseven
「ウルトラセブン・メモリアル・ベスト」 1967年 冬木 透 氏の作品です。
初回放送時はキノコさん5歳だったので何も覚えちゃいませんが小学校時代「ウルトラセブン」は何度も繰り返し再放送されたんですよ。小4くらいの一番多感な時。キノコさんは冬木さんの劇伴にブチのめされました。「映像と音が合ってる!…ってゆーか登場人物の気持ちが音楽で見事に表現されてる!」当時キノコさんはイヤイヤながらにピアノを習いにいく毎日。練習していた曲は「ハノン」のようなメカニカルトレーニングなど練習のための練習曲ばかり。曲目にタイトルなどついておらず「練習曲〇〇番」とか…そりゃもう無味乾燥、やめたくもなるわけですよ。
「音楽ってヒトの感情に直接訴えかけられるんだ…」冬木さんは私にとって幼年期の一番の師匠ですね。

「FAMICOM 20TH ANNIVERSARY ORIGINAL SOUND TRACKS VOL.2」の#74~#83が「迷宮組曲」BGMですがこの中で「#77.ファンファーレ1~ボーナスステージスタート」と「#78.ボーナスステージ(コンプリート)」は私の曲ではありません。それ以外の8曲がキノコさん作曲です。
このボーナスステージの曲好きだ、という方多いと思うんですよ。ファンレターとか来てから(来るわけないよ)「実は私の曲じゃなく…」というのも興ざめなので先にハッキリとさせていただきます。
で、作ったのは誰なのかというと、曲のアイディア(少しづつ楽器を集めて徐々に音楽が完成してゆく)はもちろんsasagawaさん。作曲は確か井上大介氏だったと思います。井上氏は私の大学時代、軽音楽サークルの先輩で後に「ピチカート5」のレコーディングなどに参加した方です。ハドソンの仕事では他に「新人類」などが氏の作品だったと思います。
このボーナスステージでビックリするのは何と言っても音色の多彩さですね。それまでのファミコンBGMって「加工してない矩形波がそのまま鳴っている」のがほとんどだったわけです。音色を変えるのが技術的に困難だったのか、開発スタッフのこだわりがそこまでなかったのか…それに比べてこのボーナスステージBGMはどうでしょう。主旋律は立ち上がりを柔らかく抑えたヴァイオリン風、アルペジオは切れのいいギター風、合いの手はほのぼのとしたピッコロ風…こんな華やかな音楽がファミコンから出るなんて。このボーナスステージこそ「迷宮組曲」のハイライト、sasagawaさんのこだわりが産んだ傑作だと思います。

sasagawaさんという方はそれまでの3本のお付き合いで「音楽総監督」という立場に違いない、と思っていたキノコさんでしたがナンとビックリ。「迷宮組曲」ではストーリー・テラーでありプログラマーでもあり…いわゆる「制作・総指揮」だったんですねー。この時のsasagawaさんはカッコよかったですよ。なんか難しいことをブツブツつぶやきながらカタカタカタカタ物凄い速さでキーボードを叩きまくっていましたね。画面を見ているキノコさんはあっけにとられていました。「わからない…何が起こっているのか何一つわからない…同じ人間だというのに…なんだこの数字とアルファベットの列は…」
キノコさんのおツムのレベルは「MSX-BASIC」級だったので「えーーっと。画面の色を変えるには…す・く・り・ー・ん…と。カッコの中に数字3つか…とりあえず0,0,0にしちゃえっ…と。ヨシ。エンター!おわっ!画面が真っ白!文字が見えない!コワレた?ひえーー。操作がきかない。隊長、操縦不能であります。隊長、キーボードが効きません。隊長!たいちょおおおおお…」ボッカ~ン。
キノコさんはしにました。
▼つづきをする
▼はじめからする
しかしカッコよかった一方、sasagawaさんは相当やつれていたのも事実でした。余りにも凝ったゲーム作りをしていたため反動でバグも多かったと聞きます。デバッグのため徹夜、徹夜の毎日だったのではないでしょうか。
もともと音楽が好きなsasagawaさん。ホントは「迷宮組曲」の音楽製作をご自身でやりたかったんじゃないでしょうか?
ただ、あまりの多忙さに無念の思いで私に依頼したのかもしれません…

私が「チャレンジャー」を作曲するのに使用した鍵盤は「Roland JX-3P」でした。買ったのは発売されてすぐ。1983年だったかな?時にキノコさん21歳。バイトで稼いだ金を全部楽器につぎこんでいた時期でした。
「JX-3P」と聞いてすぐ絵が浮かぶ人は相当なオールドシンセ通ですね。当時のローランドは「JUPITER-6」がメインモデルで「JX-3P」は裏モデルでした。この2機種の違いはいろいろあったのですが、キノコさんが「JX-3P」を選んだ一番の理由は「クロスモジレーション」がついていたことでした。これはとてもマニアックな機能で「片方のVCODCOでもう片方のVCODCOを変調する」というもの(間違ってたらゴメンなさい…)。「JUPITER」の波形選択がお決まりの「矩形波」「ノコギリ波」「PWM」しかなかったのとは一線を画していました。いじってるといろいろと面白い「想定外」の音が出せました。ひとつの発振器がもうひとつの発振器を変調する、という意味ではFM音源の原型だったのでしょうか(これも間違ってたらご指摘願います)…
それと1983年頃ってMIDIの出始めだったんですよ。ポピュラー音楽の世界が猛烈な速度でデジタル化し始めた黎明期。
キノコさんも未来へとつながるMIDIの世界に胸ワクワクさせて「JX-3P」を買ったわけです。ただMIDIって2台以上の機器を持ってて初めて「つなげる」わけじゃないですか。貧乏学生キノコさんは2台目のMIDI機器をなかなか買えず、少女「JX」の可憐なMIDI IN端子はずーっと汚れを知らないまま…そこへイカしたMIDI OUT端子を持ったMSXコンピュータ「ヤマハCX-11」がやってきたわけですよ。「3Pちゃん。オレ、初めてなんだ。入れてもいい?」危うし!可憐な少女「JX-3P」。彼女の汚れを知らないMIDI IN端子はどうなってしまうのか!波乱の次号を待て!!!

SCENE 3 (洞窟)はボーナスステージですよね。主人公がいくつかの噴水の上をジャンプして渡りながらどーたらこーたら…(例によって自分ではやったことないDEATH!)
「Ⅰ⇒ Ⅵm ⇒ Ⅱm ⇒ Ⅴ7」というオーソドックスな循環進行のワルツでメロのハッキリしたとてもシンプルな曲です。ほんとは4つ目のコードは「Ⅴ7」ではなく「Ⅴ7-13-9」のつもりなんですが何しろファミコンは3和音までしか発音できないので実際には「Ⅴaug」の響きとして聞こえます。でもそこがファミコンらしいとこなんですよね。かわいらしいグラフィックにマッチしていたんじゃないでしょうか。
この曲をプレゼンした時、開発スタッフは「意表を突かれた」反応を見せたような記憶があります。そりゃずーっと音の出てない状態でグラフィックを作りテストプレイやデバッグをしているわけですから、そこに突然音が鳴ればビックリしますよね。「イメージと違う…」そんな表情。キノコさん「あ、ヤバイ。はずしたかな?NGか?」でも曲が3回り、4回りと循環してゆくうちにだんだんスタッフの表情が和んできました。「なるほど。こうきたか。んー。こういうのもアリじゃん…ってゆーか結構イイじゃん。」で、結局一発OKとなりました。
「チャレンジャー」の時私は1作目ということでsasagawaさんから曲調に関するリクエストはほとんどなかったのです。海の物とも山の物ともわからない「なんちゃって大学生」に曲作りを依頼しているわけですから、当然あまり期待もしてなかったと思うんですね。「うまくいけばラッキー」くらいなお試し期間ですよね。でもその分私も気楽で楽しかったです。気分は完全に「アマチュア」でしたね…

キノコさんの受けた音楽教育は小1~中3のピアノレッスンだけです。高校は普通科、大学は工学部(しかも6年在籍の後、除籍)でした。作曲法はすべて自己流、難しい音楽理論はいまだにわかりません。
そんな私の作曲法は大きく分けて二通り。「フンフン作曲法」「ガジガジ作曲法」です。
「フンフン作曲法」…歩きながら鼻唄をうたい、メロディーから作曲してゆきます。「勇敢な少年」「追い込まれたヒーロー」「優雅なダンス」「孤独な戦士」などテーマを短い言葉で絞り込み、イメージを思い浮かべながらじぶんちの回りをあてもなく歩き続けます。フンフン鼻唄をうたっているなかで何かが浮かんだら速攻部屋に帰り鍵盤で音を探って「ヤマハ・ミュージックコンポーザ」に入力してゆきます。
「ガジガジ作曲法」…フンフン作曲法で何も思い浮かばない場合の非常手段。締め切りが容赦なく迫ってくるので無理矢理とる手法。鍵盤に向かい、何も思い浮かべずとにかく手を動かします。鍵盤の前を離れることができないよう自分に強制し命じます。最初は自分の「手クセ」のフレーズしかでてきませんがある瞬間を境に「カチッ」とスイッチが入り新発見のコード進行が生まれてきます。コード進行から作り始めて後からメロディーをのっけます。
たぶん歴史上の「天才」といわれる作曲家は全部「フンフン作曲法」、しかもほとんど推敲ナシにファーストテイクで完成品ができたのだと思います。「ガジガジ作曲法」は邪道なのでしょうね…ただキノコさんのような凡人にとっては苦労して作った曲にも思い入れがあるのでした…

「ガッチャマン」のテーマソング、知ってますか?♪誰だ?誰だ?だれでゃ~~~そりゃにょかーなったへ躍るかぎぇ~ですよ。30歳以下の人は知らないだろうなー。歌ってるのは「子門真人」(ex.「およげ!たいやきくん」)。キノコさんの世代だと小学校時代のアニメソングといえば「子門真人」「水木一郎」「ささきいさお」と相場が決まっていました。
で、「ガッチャマン」のテーマソングといえばとにかくやたらカッコよかった!ヒーロー物テーマソングの王道ですよ。小学4年生くらいのキノコさんはまだ声変わりしてないガキボイスでいっしょけんめいに「子門真人」になりきって歌ってました。
ある時ふと気づきました。どういうわけだか「ガッチャマン」のうたを歌い終わるととてもいい気分になる。元気が出る。勇気が湧いてくる。
「なぜなんだろう?」チ〇毛も生えてないキノコさん小4は考えました。「ん?もしかして短調で始まる曲が長調で終わるといい気分になるのか?」そういえば「ファイヤーマン」も「ウルトラマンタロウ」も「アタックナンバー1」も「イナズマン」も短調で始まり長調で終わるぞ…
おおっこれは世紀の大発見かも!…キノコさん小4は舞い上がりましたね。
私はちゃんとした音楽理論を勉強したことがないので作った曲はすべて自己流なんです。こういう小さい時の「プチ発見」が自分の作風に大きく影響したと思うのです。
「チャレンジャー」SCENE2(フィールド)をプレイするとき、次回から是非「ガッチャマン」のサビを一緒に歌ってみてください。Bメロ(17小節目)からご一緒に♪おーガッチャマーンガッチャマーーン (×4)です。(大爆発) 
それにしても例にあげたのが古いアニメのタイトルばかりで…1曲もわからない方ほんとにスミマセン…

キノコさんが「ヤマハ・ミュージックコンポーザ」を買って、初めて入力した曲はモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」でした。なぜこの曲を選んだのでしょう。この曲は弦楽四重奏なので音数が少なく、同時発音数が8音という制約に合っていたということもあります。しかしそれ以上にキノコさんには昔から疑問に思っていたことがあったのです。「クラシック音楽の作曲家の想像力ってどうなっとんねん!」
交響曲とかってどうやって作曲するのでしょう。フルート、クラリネット、オーボエ、バイオリン、ビオラ、チェロ、、トランペット、ホルン、チューバ、ティンパニ…全パートの譜面を、「出来上がりはこんな音が聞こえるだろうな」という「想像」だけで書くのですよ。できますか?人間ワザじゃないですよ。途中まで作曲して再生ボタンで出来上がりを確認!なーんてMIDI的な事ができないわけです。音数の少ない弦楽四重奏レベルでもバイオリン1、2、、ビオラ、チェロ…と4パートを個々に入力してゆくと「うわっ!ここで第2バイオリンこんな動きしとんねん。」とか「おわっ!チェロのこのライン、隠し味でムチャクチャカッコえー」とかに気づくわけですよ。
自動演奏が発達した現代の作曲家は自分の部屋の「仮想オーケストラ」でいくらでも推敲しながら曲を作れる環境にあるわけですよ。これはなまぬるい!モーツァルトは自分で書いた楽譜がどういう風に演奏されるか、演奏されるまでわからない状況だったんですよ。逆に考えるともし現代にモーツァルトが生きていれば自動演奏できる環境をフルに活かしてどんなスゴい曲を作ったんかっちゅーことですよね。んー。想像するとキリがない…

「迷宮組曲」は私が関わった作品としては4作目になりますが「ハドソン ベストコレクション Vol.3 アクションコレクション」(ゲームボーイアドバンス)の発売が近い(12・22)ということもあり先に触れておきたいと思います。
このゲームはタイトルに「組曲」という名がついてます。とても風変わりなタイトルですよね。フツーに考えて小学生が食いついてくるとはとても思えません。「組曲」という言葉から皆さん何を連想しますか?キノコさんのチャラい知識量ではチャイコフスキーの「バレエ組曲・くるみ割り人形」とかサン・サーンスの「組曲・動物の謝肉祭」くらいしか浮かびません。
いずれにせよ「クラシック音楽」ですよね。歌謡曲で「組曲」ってあまり聞いたことありません。ユーミンの「組曲・私をスキーに連れてって」とかサザンの「組曲・マンPのGスポット」とか北島三郎の「組曲・与作」なんてありえないですよ。北島さんは別の意味で「組」曲があるかもしれないけど(汗)
一般に小学生には「クラシック音楽=退屈」というイメージがあるはずなのにあえてタイトルに「組曲」と名づける。そこには「ファミコン音楽をナメンな!」というメッセージが込められているんですねー。カッコイイですねー。アツいですねー。挑戦的ですねー。このゲームを作ったのは一体誰なんでしょう?それではまた後ほどお会いしましょう。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ…

キノコさんのオリジナル曲を演奏していたバンドを紹介します。
『 星観る人 』
キノコ     … ベース
吉田 茂生 … ギター
タマオ     … ドラム・ボーカル
member
1988年結成。2000年解散。
「空想科学なんちゃってバンド」としてライブハウス「シルバー・エレファント」を中心に活動してました。
画像のCDは「KAMESUMA RECORD」から自主制作発売のライブ版3枚です。
 ⇒ Special thanks to KAMEちゃん http://www.terra.dti.ne.jp/~fuefuki/CS/
※ファミコンで「星を見る人」というタイトルがありますがキノコさんとは全く関係ありません。