木の家の設計の中で収納の設計は大きな部分を占めます。
ふつうは間取りが決まればそれでほとんど設計の山は越えますが、私たちの設計ではまだ道半ばです。
木の家の収納はなるべく造り付け収納をお薦めしています。
その理由としては
・木の家と一体となってインテリアとして統一性が得られる。
・収納するものを設計段階から検討して組み込むことで、利便性を高める。
・木の家と一体とすることで、地震の揺れに影響を受けないようにする。
などがあげられます。
もちろん、記念の家具や気に入った家具を組み込むことも検討します。
その場合は、設置する場所を決めて、その周りの造り付け家具と一体化したり、木の家のインテリアとの調整をおこないます。
そんな木の家の収納もいろいろあります。
まずは、日本の伝統的な収納で面白い名前の収納をご紹介します。
以前に天窓と地窓の窓をご紹介しましたが
それと似ている天袋(てんぶくろ)と地袋(じぶくろ)です。
天袋は押入れの上の収納のことです。
人の頭より上にありますので日常的には使えませんが、季節的にしか使わないものを収納するには良い収納です。
使うときは、小さな椅子か小脚立が必要です。
日本の布団を収納する押入れの上の天袋の場合は、奥行きが大きいので出し入れが大変かもしれませんが、大きい物も入れられるのは良いかもしれません。
写真の右上の収納が天袋という収納です。
押入れと違って、両側に開く開き戸=両開き戸(観音開き戸ともいいます)になっていますので、間口いっぱいに扉を全開して出し入れできます。
因みに、左の天袋の部分は壁埋め込みエアコンを付けています。
写真の左端の収納は、将来仏壇を置くために設けたものです。
仏壇を置く部分の下が地袋収納です。
和室に造られる地袋収納は引き違い襖(ふすま)が普通ですが、その場合は天袋と同様に左右の半分しか開きませんので、出し入れが半分になります。
襖を外せば全開で出し入れ出来ますが、日常的には厳しいですよね。
そこで、写真の例では二段の大きめの引き出しにしました。
引き出して、上から出し入れ出来ますので使いやすいですね。
このように、日本の伝統的な収納である天袋、地袋も扉の開閉方式や出し入れの工夫で全く違った収納に出来ます。