諺に、情けは人の為ならず、というのがある。
「人に情けを施すと、いずれは巡って自分に返ってくる。
だから、他人にも親切にした方が良い」という利他愛の意味である。
しかし、情けをかけるとその人の為にならない、
という反対の解釈のほうが多くなったと、最近のニュースに報じられていた。
唯物主義、経済至上主義に毒された我々からすると、
この諺は一種の取引とも受け取れなくもないので、
そのような解釈が多いのも無理からぬことなのかもしれない。
伊那食品工業会長の塚越寛(つかこしひろし)氏の著書、
リストラなしの「年輪経営」
は、
釈迦やキリストなど、往昔の聖者が解いた博愛、利他愛の精神こそが、
実は、古くて新しい、人間処世上の真理であったということを証明しているようだ。
僕の出身地、長野県伊那谷にある、寒天を扱う伊那食品工業はよく知っていたが、
経営者である塚越氏の考えをこの本で初めて知ることになった。
少し遅きに失した感はあるが、48年間増収増益を続けて来た経営者の、
平易で飾らない文章を読めば読むほど、
塚越氏の透明な思想哲学が魂に染み入ります。
人間生活にも、会社経営においても、利他愛の実践こそ、
実は、最先端のテーマなのかも知れない。
経営者の端くれの僕としても、感動と反省。目からウロコの内容ばかりでした。
僕が実践出来ているかどうかはさておき、
世の経営者には是非読んでいただきたい本でした。
今日も来てくれて おおきに