『中高年ひきこもり』斎藤環  (ひきこもり) | 夜間飛行のオススメ読書

夜間飛行のオススメ読書

小説や体験記や自己啓発本や、大人も楽しめるマンガなどを読み、紹介しています。ネタバレなし!です。本を選ぶ時の参考になれば、と思っています。たまに映画も観ます。

筑波大学精神保健学の教授である、ひきこもり研究で有名な斎藤環氏の2020年に刊行された本。

 

 40~64才のひきこもりは2019年の調査では、115万4千人。家族は隠したがるので、実態はその倍とも思われるらしい。他の年代のひきこもりも加えたら、ひきこもりは身近にある。

 この本では、ひきこもりの本人に向けて書いているよりも、ひきこもりの家族がいる人が「どういう言動がタブーなのか?」「どういう言動が効果的なのか?」という基本的な心構えを書いていて、「どう接してよいのか途方に暮れる家族」にとっては非常に参考になるはずだ。

 「ひきこもり当人が家庭内暴力を行っている場合」についても、詳しく「家族が基本的にどういう態度を取ったら良いのか?」この対処法をしてもダメな場合はこうする、その対処法をしてダメな場合はこうする、と、マニュアル的に書いてあり、「何の手がかりもなく困り果てている家族」にとって救いになる内容だ。

 「ひきこもり対策の悪徳業者」がサーチエンジンの上位に表示されていること、悪徳業者は400~500万円初期費用が掛かる以外にも、ひきこもり当人の心に傷をつけることなど、悪徳業者の実態についても述べてある。テレビなどでは「良いこと」という風に報道されている突撃&拉致&共同生活系の業者は、斎藤氏からすれば、そのような「悪徳業者」らしい。サーチエンジンで上位に来た業者に、勉強やリサーチもせずにいきなり大金をつぎ込んで「最後のカケ」に出てはいけないということ。

 

ひきこもりの方がご家族におられたら、読むに値する、非常に有効な本。(「私自身がひきこもって本ばかり読んで、ブログにアップする以外はしていない」、のではありません。「本しか読まずひきこもっている人」を否定したいのでもありません。ひきこもって、本しか読めない場合もありますね)。