徳川園で赤い実をつける薮柑子(ヤブコウジ)です。
(山橘は薮柑子の古名)
※薮柑子はヤブコウジ科の常緑小低木。暖かい地方の山地の林下に群生し高さ約20cmで、葉は長楕円形で茎の上方に輪生状につく。
夏に白い花を数個つけ、冬には小球形の果実が赤く熟する。
(白や黄色い実の種類もある)
※同じ時期に赤い実を付けるマンリョウ(万両)、センリョウ(千両)、カラタチバナ(百両)に比べて小さいので、ジュウリョウ(十両)とも呼ばれる。
青空が眩しい早春の徳川園、この時季は冬牡丹の展示も行われています。(今年は2月19日で終了)
子福桜や椿が咲き、御門樹(ゴモジュ)の蕾が膨らみ、龍の髭がラピスラズリに似た美しい実を付けています。
このお二人さんは、人生の春。
龍仙湖の鯉たちは、年中食欲の秋。
この雪の 消残る時に いざ行かな
山橘の 実の照るも見む
大伴家持(万葉集)巻19-4226
<意味>
この雪が消えてしまわないうちに行きましょう。
そして、山橘の赤い実が雪に照り映えているさまも見ましょう。
天平勝宝2年(750)の雪が降る日に詠まれた歌。
雪の白、ヤブコウジの実の赤と、色の対比が鮮やかです。
※「実が照る」とは白い雪に照り映えるという意味で、雪の間から緑の葉と赤い実が顔を出している美しい様が目に浮かびます。
平安時代以後は、この実は強い生命力の象徴とされてきましたが、家持もこの赤い実に、強い生命力を感じたのかもしれません。