色の名前 | 『Go ahead,Make my day ! 』

『Go ahead,Make my day ! 』

【オリジナルのハードボイルド小説(?)と創作に関する無駄口。ときどき音楽についても】

 
という訳で、そらさん(作中の)のお召し物が登場した「熾火」第20回ですが。
前回と違って作者による創作なので画像はありませんが、そんなに複雑な絵柄ではないので、なんとなーくイメージして頂けたんじゃないかと思っております。まぁ、その前に和服用語がちゃんと通じているのかという不安はあるのですが……。

ところで、今回の描写で苦労したのは何といっても色の名前。

そもそも、色の名前を挙げるときに非常に迷うのは「和名と英名のどちらを使うべきか?」なのですが。
これはなかなか悩ましい問題で、日本語の文脈なので和名中心でいいような気もしますが、和英で同じとされても実際は異なる色という微妙な齟齬があったり、あるいは和名・英名のどちらかしかない色だったり……。

和名の場合は語感や字面も重要なファクターで、例えば英名で言うところのグレーという色は一般には灰色(はいいろ)とされることが多いのですが、中間色の場合、この系統の色には鼠(ねず)という色の名が入ることが多いのです。(というより灰色鼠色系統の1色。やや濃い目の鼠色のこと)
今回のそらさん(作中の)の和服の色を決める際も「あ、これいいな~」と思った色に鼠(ねず)が入っていることが多く、字面を検討した結果、違う色(霞色(かすみいろ))を選んだわけです。
ちなみに第一候補は灰の字が入る灰桜(はいざくら)だったのですが、絵羽模様の梅の図柄と言葉面が合わないので――それともう一色の薄紅梅(うすこうばい)に”梅”の字が入っていることもあって――敢無くボツになりました。

そして、更に問題(?)をややこしいものにするのが文中における和名・英名の混在。
少なくとも、同じ段落ではどちらを使うかを統一しておけば問題ないような気がするのですが、上に書いたように和英のどちらかしかなかったり、イメージの関係で併用せざるを得ない場合もあります。また、会話文(一人称の場合は字の文も)では統一すると却っておかしなことになることもあります。実際の話、我々は通常の会話の中で両者をかなり無自覚に混ぜて使っているものなのですよね~。
ピンクと言う人は大勢いますが、普通の会話でレッドピンクまたはってあまり言いませんよね?)

まあ、どちらを使うにしても気をつけるべきは「読者にできるだけ正確に色のイメージが伝わっていること」であって、逆に言えば、伝わってさえいればどっちでもいいのかもしれませんが……。

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今回の記事では色名のところは字もその色にしてみましたが、却って見づらくなったような気もするなあ……。
えーっと、ついでに第20回に登場した他の色はこんな感じです。

古代紫(こだいむらさき)(そらさんの帯の色。加賀五彩の一つ)
猩々緋(しょうじょうひ)(同じくそらさんの道行 ← 和装用の上着のこと)
鉄紺(てっこん)(草薙氏の和服の色)