5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生  ネタバレ&加筆 | ゲイが語る映画の感想とクローズドゲイの日常

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映画の感想が主ですが、たまにゲイアプリでの出会い報告もやってます。その時は(ゲイ話題)と書きますので、ゲイに対して理解のない人には、そっとページを閉じてくださいね。

 

 

ドイツの実話をもとにした物語。 網膜剥離で目が見えないことを隠しながらもホテルマネージャーの研修を受ける青年のサクセスストーリー。だけど、奇跡とか素敵な人生ってタイトルはちょっと過剰。 本人めちゃくちゃ苦労しているのに「奇跡」なんて言葉を安易にタイトルにつけちゃうのは語彙感覚を疑ってしまう。障害を持って成功したら「奇跡」だと思って居るのかと思うと、不快。

 

 

 

僕は目が見えるので、目が見えない人がどういう苦労、感覚を持っているのかは分からない。 なので、女性が裸を見せた時の無反応具合とか、デート中に美女が入ってきたのに振り向きもしないで熱く語るしぐさとかはとてもユーモラス。 人事部長の握手も無視したりするところもね。

 

 

 

そういえば、一時期目の病気にかかり、病院で点眼してもらった薬の影響で、何も見えない状況と言うのを経験したことはある。あれはまさしく恐怖だった。 これまで目が悪くなることなんてなかったから、視力が悪い人のことだって分からなかったもの。 眼鏡だってフレームが気になってつけてられないって状態。

 

 

 

さて、目が見えなくなったことにより、どのような努力を主人公サリーはしていくのだろうか? それは聴覚であり、触覚であり、周りの人たちの助けでもあった。

 

 

 

あんなに良い人に囲まれてたら、(父親はすごいダメな人として描かれているけど) 幸せな人なんだなぁって思ってしまった。あんなに協力的になってくれるなんて。。。

 

 

 

ただ、自分の限界を知ってしまい、そこに嵌って焦っていくという描写があるのが、この映画のみそ。自分が目が見えないことを隠しているがゆえに課してきたハードルを研修教官がどんどんと追いつめるのが良い! 前述していることと正反対だが、全てが協力的じゃないという意味で。

 

 

 

だって、健常者だってすべてハッピーなんて人いないもんね。

 

 

 

追い詰められて、彼女にもばれて、いろいろ歯車が狂い始めるものの畳み掛けも単純で分かりやすいんだよね。ここまで彼を追い詰めなくてもいいのにって思うくらい。

 

 

 

その吹っ切れた瞬間に教官に行ったセリフも秀逸。

 

 

 

「目が見えないって気が付かなかったのかよ!」

 

 

 

そう。それまでの他の教官、研修生、皿洗いのアフガニスタン人。。。彼らはすぐに主人公の様子がおかしいことを見抜いている。そういう意味では、あの厳しい教官は何を見ていたのか?と。ある意味、一番彼の事を厳しく見ていた部分もあるので、一番主人公を観ていたのかもしれない。。。

 

 

 

だけど、最終試験でテーブルセッティングの出来栄えは全然ダメだったにもかかわらず、理論は完璧だったとして及第点を出してしまった彼は、最後の最後に障がい者に対して甘い態度を取ってしまったように思える。 一番人間らしいね。

 

 

 

余談だけど、何度も出てくる「Genau」って言葉が好き。「そうだね。」とか「そのとおり!」って意味。あまりバイエルン方言が出てこなかったのはホテルが舞台だからかな? ラウラは頻繁に出しそうな感じだったけどね。