No.2『BASKET CASE(バスケットケース)』 | CURSE OF CINEMA

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メジャー、インディー、洋画、邦画を問わず映画や、アメコミのレビュー、自作のイラストを掲載していくブログです!映画はホラー映画メインになりそうですが(笑)とにかく個人的に好きな作品などを褒めちぎる愛のある映画レビューを書いていきます!



とにかく時間を見つけてドンドンブログを書くと自分に課していますので、早々に第二回になります。

自分がホラー映画を愛して止まない理由の一つに、ホラー映画には切なさ、哀愁が有るという事です。
登場人物や、事件の真相などに潜む哀愁。ホラーには欠かせない要素であります。
これがモンスター系のホラー映画であれば尚更!哀愁、切なさがモンスターの魅力を引き立てるのです。
そして、今回の映画『BASKET CASE(バスケットケース)』、こんなにも切ないホラー映画はありません!色々な意味で!!

ホラー映画ファンにはお馴染みの名作ですが、やはり世間一般の目で見るとカルト作、B級ホラー映画と思われているのが、残念なような、仕方ないような…。

本作は、1982年公開のアメリカ映画
監督は、フランク・ヘネンロッター
出演は、ケビン・ヴァン・ヘンテンリック、テリー・スーザン・スミス、ビヴァリー・ボナーなどなど。
まぁ、出演者に関しては、この作品、もしくは同シリーズ、またはヘネンロッター監督作品以外でお目にかかる事はないであろう役者さん達。というか本当に役者だったのか若干怪しい方々…。

監督のフランク・ヘネンロッターは、アンディ・ウォーホルなどアート系映画のイメージ(ウォーホルも大概のもん作ってますが)があるNY映画界において、カルトアクション『エクスタミネーター』(これはいつかレビューを書く!)を撮ったジェームズ・グリッケンハウスや、『悪魔の赤ちゃん』のラリー・コーエンらと並び、「アートって自由だろ?」と言わんばかりの開き直りで、チ◯チンみたいな生物に寄生された若者のホラー『ブレインダメージ』や、売春婦を惨殺しその屍体を繋ぎ合わせようとするフランケンシュタイン物『フランケンフッカー』など、エログロナンセンスな怪作を連発している人です。
※『バスケットケース』もシリーズとして2、3と作ってますが、本人が「他の撮りたいもん撮る為にやった」と公言するやっつけ具合。

ストーリーは、
1人の医師が自宅に何かの気配を感じる。恐怖を感じた医師は拳銃を手に取り用心するかが、そこに何かが現れ医師を惨殺する。
ところ変わってNYの喧騒の中を主人公のドゥウェイン(ヘンテンリック)が大きなカゴ、バスケットケースを抱え、安宿を探して歩いていた。
ドゥウェインはとある宿に入り空き部屋を確認する。受付で管理人に「バスケットケースには何が入ってるんだ?」と聞かれ、「洗濯物が」と答えながら、田舎者丸出しの青年にしては不釣り合いな大金の中から前金で家賃を支払う。
その日からバスケットケースを抱えながらNYを歩き回るドゥウェイン。その度に起きる惨劇。果たしてドゥウェインの目的は?
バスケットケースの中身は一体何なのか!?

※ここからガッツリネタバレ含みますので、これから観ようと思っている方はご注意下さい!





ドーン!僕だよー!!

そう、バスケットケースの中身は、ドゥウェインのシャム双生児の兄、ベリアルが入っていたのだ!
ベリアルはドゥウェインのお腹の脇にくっついていたのだが、手術で切り離され、巨大な頭部と両腕しかなく歩く事が出来ない(腕の力で移動は可能)、おまけにしゃべる事が出来ずテレパシーで双子の弟ドゥウェインとだけ会話が可能な可哀想な子なのだった!

出産で母親を亡くし、父親から化け物扱いされたベリアルは、強制的に手術で切り離されてしまう。おまけにゴミ袋に入れて捨てられてしまうのだ。あわや生ゴミの日に回収の憂きめに合うところをテレパシーでドゥウェインに助けてもらうベリアルだが、自分を捨てた父親に対する憎悪から、父親を真っ二つに惨殺!!
幼いベリアル、ドゥウェインの兄弟は優しいお婆さんに育てられるが、そのお婆さんも天国に召されてしまいます。
2人きりになった兄弟の生きる目標は、自分達を切り離した医師3人に復讐する事。
そう、オープンニングで殺された医師は、かつて切り離し手術をした3人のうちの1人だったのです!


ささ、取りましょ、取りましょ。


このお婆さんが本当いい人で…涙

ここから、血煙を巻き上げ2人の復讐の行脚が始まるはずが、残りの医師の居場所を探して下調べしていたドゥウェインは、逆ナン状態で1人の女性(テリー・スーザン・スミス)と恋に落ちてしまいます。
※このヒロインがまた…。なんとも微妙な…、ちょっとベッ◯ーみたいな顔した太めの女性で…。きっとこの映画の為に脱いでくれる女優さん他にいなかったんだろうなぁ…。

そもそも兄弟愛はあれどドゥウェインは至って普通の青年、そりゃ恋もしたい!童貞だって捨てたい!!と、復讐そっちのけになりつつあります。

その間にもベリアルはせっせと復讐。
残りの医師2人にもキッチリ落とし前つけさせます。2人のうちの1人はなんと獣医だったという衝撃のような、どーでもいいような事実も発覚し、ベリアルはムキー!!と怒りに任せて惨殺!


問題の獣医な女医

勢い余って、チンピラやドゥウェインのお金を盗もうとした宿の住人も襲います。
宿で暴れた為に警察にもマークされてしまう兄弟。そんな兄の行動から兄弟喧嘩してしまう2人。


トイレに座るベリアル、流されちゃわないか心配になります。

ドゥウェインは兄を想いつつも彼女に対する愛情、というか童貞を捨てたい思いが抑えられません。とうとうベリアルはドゥウェインに可愛い(?)彼女がいる事を知りショックを受けます!俺だってイチャイチャしてぇよ!!と、安宿の住人である黒人の気のいい女性(ビヴァリー・ボナー、こちらも太め、そして年増!)にちょっかい出そうとして見つかってパニック!!童貞喪失に失敗してしまいます。

生きる目標であった復讐を遂げてしまった2人には悲劇的展開しかなかったのかもしれません。

ベリアルは怒りに猛り狂います。
俺だって…やりてぇ…。


怒りからか情欲からか、何故か目玉が光りだすベリアル兄さん

そして、ベリアルはやってはいけない事をしてしまいます。弟の彼女に手を出すという…。
当然彼女がベリアルを受け入れるはずもなく、抵抗されたベリアルは彼女を殺害。
駆けつけたドゥウェインはショックに打ちのめされます。

ラスト、安宿の部屋で対決する兄弟。
壮絶な兄弟喧嘩の末に窓から落ちてコンクリートの地面に叩きつけられる2人。
切り離されず文字通り一心同体であれば仲の良かった兄弟でしたが、切り離され別々の人間になってしまった事から2人を待っているのは悲劇的な末路だった。

あー、本当に切ない!あの途中で出てきた本当にいい人のお婆さんと兄弟との幸せな3人の生活を知ってる分余計と切ない!!

シャム双生児をモンスターとして扱う不埒な設定、予算のなさからくる手作り感満載のクオリティ、経験値のなさ丸出しの低レベルな演技、でもそれら全てをひっくるめて最後に切ない気持ちでいっぱいにさせられる80年代に産み落とされたホラー映画の名作です!