■「リバー」50代男性へのおすすめ度

★★★★☆ ← ちょっと別の世界を覗いてみたい50代男性におススメ

 

リバー 奥田英朗の表紙

 

 

■あらすじ

内容紹介(「BOOK」データベースより)

群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で

相次いで女性の死体が発見!

十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口が、街を凍らせていく。

かつて容疑者だった男。

取り調べをした元刑事。

娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親。

若手新聞記者。

一風変わった犯罪心理学者。

新たな容疑者たち。

十年分の苦悩と悔恨は、真実を暴き出せるのかー。

 

著者情報(「BOOK」データベースより)

奥田英朗(オクダヒデオ)
1959年岐阜県生まれ。

雑誌編集者、プランナー、コピーライターを経て、

1997年『ウランバーナの森』で作家デビュー。

2002年『邪魔』で大藪春彦賞、

2004年『空中ブランコ』で直木賞、

2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、

2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞

(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

■キーワード

期間工、援助交際、現役引退、精神障害、合同捜査、若手とベテラン

 

■感想

・面白くてグイグイ読めました!

「リバー」はとても面白く、犯罪小説として一級品でした。

 

同一犯の犯行と目される事件を、

複数の人間・機関・関係者が同時に捜査する過程や捜査視点の多様さが、

これまでの犯罪小説とは違っていて斬新で面白かったです。

 

犯罪小説の傑作と言って良いと思います。

 

 

単行本で648ページととても長い小説ですが、

ストーリーはよどみなく進み、振り返りもなく、読みやすい小説でした。

 

登場人物の視点こそ違え、ストーリーは時系列で進むので、

話の流れを追いやすく、要点が頭にすんなり入ってきました。

 

平易な文章で、難しい漢字が使われていなかった点も好印象です。

 

 

特異なキャラクターが複数いる」のも「リバー」の特徴です。

 

個性豊かな登場人物たちが読者を飽きさせず、グイグイ読み進めることができます。

 

長い小説を読んでいる時にありがちな、

途中でやめて、何日か放っておくなんてこともありませんでした。

 

 

「こんな人ホントにいるの?」という人物も登場します。

 

犯罪小説なので、日常とは異なる世界が綴られているからです。

 

「自分がこんな世界に関わったらどうなるだろう」と考えるとゾッとします。

 

「リバー」に登場する異常者たちが、あなたを新たな世界に引き込みます。

 

「リバー」を読んでいる間は、知らない世界に引き込まれて、

日常の雑事から頭を切り離す時間を持つことができるのです。

 

 

日々多忙な50代男性のみなさん、「リバー」を読んで、

あなたの知らない世界の物語に没頭してみてはいかがでしょう。

 

きっと頭の回路がいつもと違う働きをして、

思考のよどみを解消することができると思いますよ。

 

 

・50代男性は、被害者家族に感情移入しやすい

「リバー」は、20代の女性が殺害される犯罪小説です。

 

50代の男性で家族持ちであれば、

若い娘さんを殺害された「被害者家族」の気持ちを推し量りやすく、

遺族の気持ちを汲みながら読むことができると思います。

 

「どうしてこうなってしまったのだ」

といった部分に感情移入しやすいだろうと考えます。

 

「自分がそんな環境に置かれたら」と考えることも可能でしょう。

 

50代の男性は、他の年代の男性よりも物語の世界に入り込みやすく、

「読了後の余韻・味わいもより濃いものとなる」と思います。

 

 

「被害者家族」の夫・妻・息子の考えが、

三者三様に書かれているのも参考になりました。

 

「家族であっても考えは違うよな」と改めて感じ入りました。

 

 

・少し年上のおっさんの常軌を逸した行動

少し年上の60代のおっさんたちが、常軌を逸した行動をとるのが面白いです。

 

こんな変なおっさんたちが登場する小説は読んだことがなかったので、

新鮮で面白く読めました。

 

おっさんたちは、

最悪の結果が見えていても立ち止まれない、そのままの勢いで突き進みます。

 

「おいおい大丈夫かよ」と心配になっちゃう。

 

そんなところが新鮮で面白かったです。

 

ぜひあなたも経験してみてください。

 

 

変なおっさんは2人です。

 

それぞれ立場は異なるのですが思いは同じ。

 

いい年して「そんなことしちゃダメでしょ」という思わぬ行動をします。

 

 

自分もあと数年経ったらこんな偏屈なおっさんになっちゃうのかな?

と心配になるくらいです。

 

現役時代の職業・経験を自己満足だけに活用した行き過ぎた行動。

 

これまでに培ってきたきた経験をこんな風に使っていいの?

 

家族を顧みず思うがままに突き進んでいいの?

 

最悪の結果が見えていても立ち止まれない異常さ。

 

「ちょっといっちゃってる」シニア世代のおっさんの新しい描かれ方が新鮮です。

 

近未来の自分もこうなるのかと考えるとちょっと怖かったです。

 

 

・登場人物が多彩で飽きさせない

これまでの犯罪小説にはない登場人物の多さが新鮮で魅力的でした。

 

一般的な犯罪小説のキーとなる登場人物の数を10人とすると、

(数えてはないけれど)「リバー」は倍の20人はキーマンがいるんじゃないか

と思います。

 

そんな風に感じさせるほど、個性豊かな人物が多数登場します。

 

 

あらすじに紹介されているだけでも、

  • 取り調べをした元刑事
  • 娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親
  • 若手新聞記者
  • 一風変わった犯罪心理学者
  • 新たな容疑者たち

これだけの変人が登場するわけですから、一般的な犯罪小説とは違います。

 

 

登場人物が多いのに、各々の役割がしっかり区別されていて、

関係性が破綻しない構成に、作者の力量の高さを感じました。

 

「リバー」は、「誰でもが書ける小説ではない」傑作であると思います。

 

傑作の「リバー」を、あなたもぜひ読んでみてください。

 


 

今回は、

ちょっと別の世界を覗いてみたい50代男性におススメの

「リバー」を紹介しました。

 

このブログが少しでも小説選びのお役に立ちましたら幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。