「妙法蓮華経」にある「衆生の記別」2

 

『妙法蓮華経提婆達多品第十二』

 

「云何女身。速得成仏。爾時龍女。有一宝珠。価直三千大千世界。持以上仏。仏即受之。龍女謂智積菩薩。尊者舎利弗言。我献宝珠。世尊納受。是事疾不。答言甚疾。女言。以汝神力。観我成仏。復速於此。当時衆会。皆見龍女。忽然之間。変成男子。具菩薩行。即往南方。無垢世界。坐宝蓮華。成等正覚。三十二相。八十種好。普為十方。一切衆生。演説妙法。爾時娑婆世界。菩薩声聞。天龍八部。人与非人。皆遥見彼。龍女成仏。普為時会。人天説法。心大歓喜。悉遥敬礼。無量衆生。聞法解悟。得不退転。無量衆生。得受道記。無垢世界。六反震動。娑婆世界。三千衆生。住不退地。三千衆生。発菩提心。而得受記。智積菩薩。及舎利弗。一切衆会。黙然信受。」(眞訓両読 妙法蓮華経並開結 大石寺版 創価学会発行 432頁)

 

訓読:云何(いかん)ぞ女身、速かに成仏することを得ん。爾の時に龍女、一つの宝珠有り。価直三千大千世界なり。持って以って仏に上る。仏即ち之を受けたもう。

龍女、智積菩薩、尊者、舎利弗に謂って言く、
我宝珠を献る。世尊の納受、是の事疾しや不や。
答えて言わく、甚だ疾し。

女の言わく、
汝が神力を以って、我が成仏を観よ。復、此れよりも速かならん。
当時の衆会、皆龍女の、忽然の間に変じて男子と成って、菩薩の行を具して、即ち南方無垢世界に往いて、宝蓮華に坐して、等正覚を成じ、三十二相、八十種好あって、普く十方の一切衆生の為に、妙法を演説するを見る。
爾の時に娑婆世界の菩薩、声聞、天龍八部、人と非人と、皆遥かに彼の龍女の成仏して、普く時の会の、人天の為に法を説くを見て、心大いに歓喜して、悉く遥かに敬礼す。無量の衆生、法を聞いて解悟し、不退転を得、無量の衆生、道の記を受くることを得たり。無垢世界六反に震動す。娑婆世界の三千の衆生、不退の地に住し、三千の衆生、菩提心を発して受記を得たり。
智積菩薩、及び舎利弗、一切の衆会、黙然として信受す。

 

現代訳:どうして女の身で、速やかに仏の悟りを得る事ができようか。

その時に龍王の娘は、一つの宝珠を持っていた。その価値は、三千大千世界ほどあった。

それをもって仏に献上した。仏はすぐにこれを受け取られた。

龍王の娘は、智積菩薩と尊者舎利弗にこう言った。

私は宝珠を献上しました。

世尊がこれをお納め受け取られたのは、速かったですかそうではないですか。

答えていった。とても速かった。

娘が言った。

あなたの神通力によって、私の成仏の姿を観なさい。また、これよりも速いであろう。

この時、その集まりの人々は皆、龍王の娘が突然変わって男となり、菩薩の修行を備え、そして南方の無垢(煩悩のけがれを離れて清浄である)世界に行き、宝蓮華に坐って、仏の境地(一切の真理を正しく平等に覚知すること)を成就し、仏の身体に備わる優れた三十二の相と八十種の特徴を有し、一切衆生(広く十方世界に生を受けた全ての生物)の為に、妙法を説いているのを見た。

その時、娑婆世界の菩薩と、声聞と、天龍八部衆と、人間と人間でない者と、皆は、遥かにあの龍王の娘が仏に成って、広くその時の会の人や天人達の為に教えを説いているのを見て、心は大いに歓喜して、全員みな遥かに敬って礼拝をした。

無数の衆生(生命あるもの全て)が教えを聞いて悟り、不退転(後戻りしない)の境地に入り、無数の衆生が、未来世の成仏の記別を得た。

無垢(煩悩の穢れ無き清浄な)世界は、六種に震動した。

娑婆世界の三千の衆生は、不退転の境地になり、三千の衆生は、菩提心(悟りを求めようとする心)をおこし、未来世で仏に成る授記を得た。

智積菩薩および舎利弗、集まっていた全ての人々は、何も言わずに黙って信じ受け入れた。

 

※爾前の諸経では許されなかった女人・畜生である龍女の即身成仏の姿を目の当たりにして、一切衆生は、歓喜して菩提心を発し、その結果、未来世での成仏を約束されたのです。

 

 

 

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