TBSでは秋の改編で「東大王」「ジョンソン」の終了を決めたが、ある番組がレギュラーに昇格するのではないか、と注目を集めているというのです。
それが、“禁断の移籍”だと話題を呼んだ「巷のウワサ大検証!それって実際どうなの会」(TBS)だといわれます。
6月3日の夜8時55分より、俳優の生瀬勝久さんが司会を務め、森三中の大島美幸さん、3時のヒロインのかなでさん、福原遥さん、満島真之介さんがスタジオ出演したバラエティ特番「それって実際どうなの会」が放送されたが、これが今年3月末まで日本テレビ系で放送された「それって!?実際どうなの課」と出演者もタイトルも内容も“ほぼ同じ”だと大きな物議を醸しました。
「実際どうなの課」は2019年4月から今年3月まで5年にわたって続いた日本テレビ系で放送された、中京テレビ制作の深夜バラエティ番組。
生瀬さんが司会を務め、博多華丸・大吉、森三中・大島さん、女優の森川葵さんがスタジオレギュラーとして出演していました。
ほぼ同じタイトルで生瀬さん、大島さんが残留。
さらに「実際どうなの課」で世間の俗説を体を張って検証していたWエンジンのチャンカワイさん、双子コンビのザ・たっち、駆け抜けて軽トラの餅田コシヒカリさんも「どうなの会」に出演。
“もしかしてパクり?”という声も上がりました。
6月3日の「どうなの会」では、司会の生瀬さんがオープニングトークで「(何もかも見覚えがありすぎて)ここまでご覧になって、ザワついていると思います」と話していたほか、企画中に出てきたカレーが豪華なことを「新番組なので“いつもの”カレーとは……(いつもが)いつのことだかわからないが」とナレーションが入ったりと、事実上の同一番組であることを示唆していました。
X(旧ツイッター)には、
《それって実際どうなの課?って日テレ系じゃなかったっけ??? と思ったら、違う番組なのか…似すぎじゃね????》
《自分が好きだったそれって実際どうなの課がそれって実際どうなの会に生まれ変わってるだと…》
といったコメントが寄せられていました。
番組が、内容もタイトルもほぼそっくりそのまま、系列ではない他局に移籍するなんて通常は絶対にありえない話です。
こうなった経緯としては、中京テレビの局員で「実際どうなの課」を立ち上げたプロデューサーに、番組が終わることを知ったTBSから“終わるならウチでやりませんか?”と打診があったということだといいます。
番組を大切に思っていたプロデューサーは中京テレビを辞めて、あらためてTBSで「実際どうなの会」を制作することになったようです。
だが、業界内でも考えられない“禁断の移籍”。
制作は中京テレビですが、放送していた日テレサイドが激怒し、日テレの編成部がTBSの編成部にクレームを入れたという話も報じられていました。
そして、6月3日にTBSで放送された「実際どうなの会」の2時間SPは、今、テレビ各局が重視する13~49歳のコア視聴率が3.0%(すべてビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。
同時間帯にはフジテレビの月9ドラマ、日テレでは特番「一攫千金!宝の山」、テレビ朝日では「報道ステーション」と強力な番組が並びましたが、その中でコア3%というのはしっかり結果を残したということです。
SNSでの評判も上々でした。
“初回”で良い結果を残したTBSの「どうなの会」は、6月26日午後8時30分から第2弾が放送され(ただし、全国ネットだが関西では非放送だった)、Xには
《ジョンソンが9月終わりってことはどうなの会レギュラーありそうだな…》
《放送するチャンネルが変わってもキャストの大半が同じでスタッフもほぼ同じだから違和感なく見れたし、やっぱりこの番組面白いなって思った》
とレギュラー化するのではないかという声も少なくありません。
日テレの深夜時代も評判がよく、ファンがついていました。
番組終了を残念がる人も多かったが、“禁断移籍”からの復活でしっかりと結果を残しました。
数字がすべての世界でもありますから、TBSはレギュラー化する気満々だと言われています。
博多華丸・大吉、森川さんの出演はありませんが、司会は売れっ子俳優の生瀬さんと格は十分のようです。
業界では、レギュラー番組化が見送られた特番や企画を他局が放送することはたびたびありました。
たとえば「東野・岡村の旅猿 プライベートでごめんなさい…」(日本テレビ)も初回放送のみTBSの特番でした。
また、打ち切られた番組がその後、他局で放送されることも珍しくはなかったが、番組名を変えたり、時間をおいたりして古巣に配慮するのが通例です。
「内村プロデュース」(テレビ朝日)も放送終了から1年空けて、同じ出演者、主要スタッフで「内村さまぁ~ず」として2006年からネット配信、2009年から地上波で復活(放送局のネットワーク関係とは無関係に放送)しています。
なお、制作会社が主導権を取ることが多いアニメでは前から放送局の移籍は多く、1979年にテレビ朝日系で放送が始まり現在も続いている「ドラえもん」は、その前は1973年に日テレ系で放送されていました。
ただし、制作体制もキャストもそれぞれ異なります。
テレビ朝日の「ドラえもん」はシンエイ動画の制作だが、日テレの「ドラえもん」は日本テレビ動画(現存しない)の制作でした。
ただ、日テレ版「ドラえもん」は現在では再放送は一切されず、ビデオもDVDも発売されず、「ドラえもん」の関連書籍でも一切取り上げられず、存在自体が幻とされています。
7月からCBC・TBS系で「キン肉マン 完璧超人始祖編」が放送されているいが、もともと「キン肉マン」は1983~86年に日テレ系で放送されていました。
新作では制作が東映アニメーションからProduction I.Gに変更され、キャストも変更されました。
放送局が移動したアニメには他にも、
「オバケのQ太郎」 TBS→日テレ→テレビ朝日(制作も東京ムービーからシンエイ動画に変更)
「怪物くん」 TBS→テレビ朝日(制作も東京ムービーからシンエイ動画に変更)
「パーマン」 TBS→テレビ朝日(制作も東京ムービーからシンエイ動画に変更)
「ひみつのアッコちゃん」 テレビ朝日→フジテレビ
「天才バカボン」 読売テレビ→日テレ→フジテレビ(制作も東京ムービーからスタジオぴえろに変更)→テレビ東京
「タイガーマスク」 読売テレビ→テレビ朝日
「いじわるばあさん」 読売テレビ→フジテレビ
「ど根性ガエル」 TBS→日テレ
「エースをねらえ!」 毎日放送→日テレ
「昆虫物語みなしごハッチ」 フジテレビ→毎日放送
「宇宙戦艦ヤマト」 日テレ→TBS
「タイムボカンシリーズ」 フジテレビ→テレビ東京→日テレ
「機動戦士ガンダム」シリーズ 名古屋テレビ→フジテレビ→毎日放送
「魔法のプリンセスミンキーモモ」 テレビ東京→日テレ
「レディレディ!!」 TBS→テレビ東京(「ハロー!レディリン」に改題)
「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」 TBS→テレビ東京
「美少女戦士セーラームーン」 テレビ朝日→独立UHFその他(放送局のネットワークとは無関係に放送、当初は配信だった)
「七つの大罪」 毎日放送→テレビ東京
「ゾイド」 毎日放送→テレビ東京
「僕のヒーローアカデミア」 毎日放送→読売テレビ
「進撃の巨人」 毎日放送→NHK
「新幹線変形ロボシンカリオン」 TBS→テレビ東京
「鬼滅の刃」 独立UHFその他(放送局のネットワーク関係とは無関係に放送)→フジテレビ
「ラブライブ!」 独立UHFその他(放送局のネットワーク関係とは無関係に放送)→NHK
「響け!ユーフォニアム」 独立UHFその他(放送局のネットワーク関係とは無関係に放送)→NHK
などがあります。
特に毎日放送制作のものを含めてTBS系から流出したものが多いが(「エースをねらえ! 」は初回放送当時、毎日放送はテレビ朝日系列だった)、理由はTBSは子供向け番組でもアニメよりドラマに力を入れる方針でアニメの制作に消極的だった、視聴率低迷や編成上の理由で打ち切りになった作品が多い、2000年代以降は漫画原作の作品でアニメの放送が漫画の連載に追いつくのを回避するために分割クール制を取り入れた、2019年6月限りで子供向けアニメの放送を打ち切ったからです。