「プリキュア」シリーズ20周年記念する「映画プリキュアオールスターズF(エフ)」(9月15日公開)の予告編とポスタービジュアルが公開され、いきものがかりが主題歌を担当することが発表されました。
子供向けの入場者プレゼントとして「復活!ミラクルライト」の配布も決定。
さらに、18名のキャストによる直筆寄せ書き風メッセージも公開されました。
「映画プリキュアオールスターズF(エフ)」予告編 「プリキュア」20周年記念作品となる本作では、全テレビシリーズのプリキュアが集合します。
予告映像では、それぞれが別々の場所で新たな仲間と出会い、シリーズの垣根を超えたプリキュアが絆を深めながら団結する姿が映し出され、映画オリジナルキャラクターとなる新たなプリキュア、キュアシュプリームと妖精プーカも登場します。
プリキュアシリーズのなかでも人気の高いプリキュア5チーム。
その最初のシリーズである第4作「Yes!プリキュア5」(2007年、以下、5)は、プリキュアを現在のような一大コンテンツにした立役者でした。
第3作である前番組「ふたりはプリキュア Splash☆Star」(2006年、以下SS)は、商業成績ではあまり数字が出ず、本来なら2年目が予定されていたのですが、次回作は新しい作品となることが決まります。
そのため、プリキュアシリーズ第4作は大胆な改革が迫られました。
まず、「相棒」だったプリキュアが「チーム」に変わります。
そのため、タイトルの「ふたりは」が外れ、5人組になりました。
しかし、第2作「ふたりはプリキュア Max Heart」(2005年、以下MH)は追加メンバーのシャイニールミナスを加えて3人でした。
前作「SS」では満と薫を入れて4人と考えれば、5人という数字は順調にひとりずつ増えた結果かもしれません。
この「ふたりは」をタイトルから外すことはスタッフも悩んでいたようですが、シリーズを存続させるために決断したと言われています。
それは、21世紀以降の人気シリーズだった「デジモンアドベンチャー」、「おジャ魔女どれみ」がともに第4作でシリーズを一時終了していたことから、プリキュアも第4作で終了させて嫌な前例にしたくなかったのかもしれません。
そのためか、本作ではそれまでのシリーズでやらなかったことを次々に取り入れました。
「ふたり」でなくなったことでプリキュアへの変身、決めセリフ、決め技などを個々に設定しています。
これによりひとりひとりのドラマを掘り下げるエピソードが増え、結果的にメンバーの個性が際立ちました。
また、プリキュアで定番となっている色分けが明確になったのも本作からです。
本作からリーダーはピンク、情熱的な赤、理知的な青など、スーパー戦隊のような形になりました。
スーパー戦隊と明らかに違うのはリーダーが赤でなくピンク、紫がよく使われていることです。
これは女の子の好きな色彩に合わせているからでしょう。
これまでパートナーとしてお世話をする対象だった妖精が、イケメン男子に変身するというのも本作の大きな変更点でした。
これにより淡い恋愛要素も作品に加わります。
こうして新しい要素を加えてスタートした「5」は、序盤から高い人気を得ることに成功します。
テレビ朝日が2007年にこの時間枠、午前7時からのメ~テレのアニメ(同年は「古代王者恐竜キング」)、7時30分からのスーパー戦隊(同年は「獣拳戦隊ゲキレンジャー」)、8時からの平成仮面ライダー(同年は「仮面ライダー電王」)と合わせて「ニチアサキッズタイム」と呼称するようになったのも本作からでした。
その人気はアニメ本編だけでなく、商業的にも大きな成功を得ます。
当時、カードを使ったアーケードゲームが玩具屋やゲームセンターで人気でしたが、ここにデータカードダス「うたって!プリキュアドリームライブ」として参入しました。
こうして女の子向けコンテンツとして、確かな成長を遂げます。
この人気の高さで「5」は2年目の継続が決定されましたが、ひとつの問題がありました。
それは1作目が「MH」になったように時間経過するとメンバーの卒業、つまり入れ替えをしなくてはならなかたことです。
そこで製作スタッフは議論を重ねた結果、あえて時間経過を無視してキャラを同じ学年のまま2期目である「Yes!プリキュア5GoGo!」(2008年)をスタートさせました。
この「GoGo!」から、6人目のメンバーとしてミルキィローズが加わります。
この当時はまだプリキュアではないという意味で「キュア」の付かないメンバーもいましたが、以降のシリーズではすべてのメンバーが「プリキュア」ということになりました。
いわばミルキィローズは最後の「キュア」が付かないプリキュアです。
また「5」の人気キャラといえば、敵であるのにどこか憎めない敵役ブンビーを忘れてはいけません。
続編である「GoGo!」では、組織を変えて現れるなど、複数の作品をまたいで登場する敵役として「マジンガーZ」「グレートマジンガー」のゴーゴン大公、戦隊シリーズのヘドリアン女王と並ぶ希少な存在です。
しかも、プリキュア5たちがゲスト出演する他作品のプリキュア作品のテレビや映画にも登場するほどの活躍を見せます。
ファンには劇中に合わせて「さん」をつけ、ブンビーさんと呼ぶ人も多い人気者。
「GoGo!」の人気も前作に劣らぬ勢いで、商業的にも成功を収めました。
そして、初めての全プリキュア集合映画「ちょ~短編 プリキュアオールスターズ GoGoドリームライブ」(2008年)が製作されます。
タイトルでもわかる通り、前述したアーケードゲームがきっかけでした。
この作品がさらなるきっかけとなり、プリキュアたちが世界観をまたいで集合する春の劇場版がスタートするわけです。
こうして、「5」がきっかけとなってプリキュアはシリーズとして盤石となったばかりか、女の子向けの一大コンテンツにまで発展しました。
今年2023年ですでに19年、プリキュアシリーズはもはや男の子向けのウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊と肩を並べるほどの一大ジャンルと言っても過言ではないでしょう。