EssaiとPattern(Trial)について | KINBAI 〜アンティーク/近代金貨のお店〜

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EssaiとPattern(Trial)について

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おはようございます。

最近コインのお話をしてなかったので少し。

EssaiとPattern(Trial)について先日お客様に聞かれました。



Essaiとはフランスやフランス統治系のコインで使われる 試作貨・試鋳貨のこと。

フランス語で「試み」という意味です。

Pattern(Trial)はその他の多くの国で使われてる 試作貨・試鋳貨のこと。



ちなみに、日本語の「試作貨」と「試鋳貨」 は私の印象としてはほぼ同義語。

多くの日本の収集家様方が

同じ意味合いで試作(しさく)、試鋳(しちゅう)を使われております。

もし違いをご存知の方は是非教えて下さい。

日本語って難しいので日々勉強です。笑



Essai, Pattern(Trial)コインがなぜ高値を付けるのか?

それは圧倒的に数が少ないからです。

数枚しか存在せず、1枚しか存在しないものが多いからです。

そして一般的に流通してるコインより

デザインが細かかったり、大胆だったりなど特徴があります。

最終盤だとデザインの変更はほぼないですが、

鋳造の圧や手法を試してる場合は仕上がりが全然違うものもあります。

そういうところが人気の秘密でしょう。



貨幣史を語る上で重要な意味を持つ試作貨・試鋳貨です。

各国の博物館や美術館が試作貨・試鋳貨を貯蔵してるケースが多いですが、

コインでいうと博物館より個人収集家の方が珍しい物をお持ちだったりします。

イギリスの大英博物館にはあるコインの試作貨・試鋳貨の銀貨がありますが、

私の知り合いはそれの金貨版を持っています。

なんてこともコインの世界で珍しくありません。

こういうところも面白いですよね。



ちょっと記憶が曖昧で間違っていたら困るので

具体的な日時やコイン名は増えてますが、

2年前のオークションで試作貨・試鋳貨の一枚が凄い高値をつけてました。

歴史と将来性を併せ持つ一枚ですね。


残念ながら 今 KINBAI にあるのは一枚のみ。


1846-47年 英国 ヴィクトリア女王 ゴチッククラウン銀貨 片面鋳造 NGC MS65

https://kinbai.com/catalog/detail/10144


ただこれはかなり自信を持ってるレアな一枚なんです。

スラブにもありますが、1846年に鋳造された可能性が高く、

1847年にゴチッククラウンの元となった一枚だとみられてます。

1847年のゴチッククラウン銀貨より

王冠、髪、胴着のデザインがより細かく繊細で

浮き彫りをはっきりさせた(ハイリリーフ)仕上がりです。



実際のゴチッククラウン銀貨は耐久性の向上や摩耗しないように

浮き彫りをおさえたデザインになってるのも、

この試作貨・試鋳貨のフィードバックがあったからこそかもしれませんね。



こちらは片面しか鋳造されていないのは、

ゴチッククラウンの最終盤ではなく、

肖像画のデザインに特化した段階での試作貨・試鋳貨だからです。

高い確率でこの一枚しか存在しておらず、

このコインが最後に市場に出たのは

1950年 イギリスのLingford です。

その当時の価格は 4ポンド16セント でした。

その当時にタイムスリップして素晴らしいコインを買い占めたいです。


それからずっと市場に出てこず、

2017年頃にアメリカのコイン商の手に渡り

45000ドルで販売されました。

それから時を経て現在弊社のところにございます。