アフリカのクーデター頻発の意味
https://tanakanews.com/221019africa.htm
西アフリカの諸国でクーデターが頻発している。
この2年間にブルキナファソとマリで3回ずつ、国軍の将校によるクーデターで政権が転覆されたほか、ギニアやモーリタニアなどでも起きている。
特筆すべきは、これらの合計9回のクーデターのすべてが、米軍の訓練を受けたことがある軍人によって起こされたことだ。
米軍は、アフリカなど世界中の親米的な途上諸国の軍人に対し、テロ対策や反乱抑止、治安維持などの軍事機能を訓練してきた。
建前上、その目的は途上諸国の民主的な政治安定や経済発展に貢献するためだ。
だが実際は、米軍の訓練に参加した西アフリカ諸国の軍の将校たちが、米軍から教わった軍事技能を活用して、自国の現職の政権を倒すクーデターを挙行し、非民主的な軍事政権を作っている。
ブルキナファソやマリでは頻繁に(今年2回ずつ)クーデターが起こり、政治の不安定と経済の破綻を招いている。
米軍による訓練は、目的と正反対の効果を西アフリカ諸国にもたらしている。
ブルキナファソでは9月30日、トラオレ陸軍大尉が率いる国軍の反乱兵士たちがクーデターを起こし、今年1月にクーデターで誕生したばかりのダミバ陸軍中佐が作った軍事政権(暫定政権)を倒し、トラオレ大尉が新たな軍事独裁者になった。
倒されたダミバ中佐は、クーデターを起こす10年以上前から米軍の訓練を繰り返し受けていた。
ダミバが今年1月にクーデターで政権を奪取した時には「米軍の訓練がアフリカを民主化・発展させるどころか逆に、独裁と混乱と貧困に陥れている」と米欧で批判された。
9月末のトラオレによるクーデター再発後、米欧マスコミが米軍に対して「トラオレは米軍で訓練を受けたことがあるのか」と問い合わせたところ、米軍の広報担当は「わからない。調査中。今のところ米軍との関係は確認されていない」と答えた。
米軍のアフリカ司令部は、訓練を受けた後のアフリカ諸国の将校たちが本国で何をしているのか全く追跡しないことにしている、とも述べている。
米軍は、自分たちがアフリカの軍人たちにほどこした訓練がアフリカの政治経済を悪化させていると批判されたくないので、責任逃れのため、トラオレが米軍で訓練を受けたことがあるかどうか言わず、訓練後の将校たちの動向も追跡していない(実際には追跡しているが、していないことにしている)とも考えられる。
だがそもそも、反乱抑止や治安維持(効率的な有事体制づくり)などの軍事技能は、軍が政府を守るためだけでなく、軍が政府を倒して自分の独裁政権を作るためにも使える。
武器は、悪者を倒すためでなく、自分が悪者になるためにも使える。
訓練後の軍人たちは(途中退職後の自衛官や警察官と同様に)要注意人物である。
アフリカ(など世界中)で覇権を運営している米国は、米軍で訓練を受けた各国の軍人たちが事後に本国でどんな動きをしているか、非公式に監視し続けているはずだ。
米軍は2007年に、アフリカを専門に担当するアフリカ軍(司令部)を新設した。
専門部署を新設したのに、米軍が訓練後のアフリカ諸国の将校たちの動向を見ないまま放置しているはずがない。
米軍はむしろ、アフリカでの軍事諜報活動や隠然介入を以前より強化しているはずだ。
この点をさらに深く考察すると、米軍はアフリカを意図的に恒久的な混乱の中に置いておくために、軍人たちがクーデターや内戦を起こせるような軍事技術を供給し続けてきたのでないか、という疑いになる。
米軍がアフリカの将校たちを訓練した場所の一つに、米国ジョージア州フォート・ベニングの訓練センターがあるが、ここは冷戦時代、中南米諸国の将校たちに軍事訓練をほどこしてきた場所でもある。
訓練を受けた中南米の将校たちの中にはその後、自国で左翼政権などを倒すクーデターを起こして軍事独裁者になったり、自国内の左翼やリベラル派を拷問虐殺する政策を担当した者がたくさんいる。
米国が訓練した軍人たちによって、中南米は民主主義と経済安定を潰され、人々は何十年も独裁と虐殺と貧困に苦しめられ続けている。
中南米の人々の多くは、米国が意図的に中南米を潰し続けていると思っている。
この感覚は、おそらく事実に近い。
米国は中南米を偶発的にでなく、意図的に潰してきた。
となれば米国は、似たような策略をやっているアフリカも、意図的に潰している可能性が高い。
西アフリカでクーデターが頻発して政治経済の不安定が延々と続いている一因は、米軍が西アフリカ諸国の将校たちを訓練してクーデターのやり方を教えているから、ということになる。
中南米やアフリカを潰して恒久的な混乱と貧困の中に置いておく米国の戦略は、一つ前の覇権国である英国の戦略を踏襲したものだ。
英国は19世紀前半にナポレオンを倒して覇権国になる時に、スペインが無政府状態になった混乱に乗じて中南米各地でバラバラの独立運動を支援し、中南米をたくさんの小国に分割して独立させることに成功した(ポルトガル領だったブラジルだけは英国も手を出せず、単独の大国になった)。
その後、英国はフランスなど他の列強を誘導して「アフリカ分割」や「中東分割」を手がけた。
英国は、これらの諸大陸を小国に分割することにより、諸大国に大型の国ができてそれが経済発展して強国になって英国の覇権を脅かす可能性をあらかじめ阻止した。
英国などの列強は、アフリカを分割する際に、各地の民族が分断されるかたちで国境線(列強植民地間の境界線)を引き、いずれアフリカ諸国が独立しても、小さな国々が相互に戦争もしくは内戦を永久に抱えるように仕向け、アフリカが永久に弱くて貧しくて欧米の言いなりになるようにした。
英国は、同様の手口で中国も分割しようとしたが、新興の資本家たちの国だった米国が、中国の分割を阻止した。
英国による世界分割は、英覇権上層部の「帝国と資本の暗闘」の一部でもあった。
産業革命によって成立した英国覇権(大英帝国)は、
英国による世界支配を恒久化しようとする「帝国」と、
産業革命(工業化)と大量消費を世界中に拡大して世界経済を発展させようとする「資本」
という2つの方向性の間の協業で成り立っていた。
「資本」は、大量消費してくれる安定した大きな市場を各大陸に作りたがった。
大きな新興国が安価な労働力で大量生産し、その賃金で貧困層が所得を増やして中産階級になって消費が拡大し、経済大国になる。
その過程で資本家が儲ける。
資本の側は、中南米アフリカ中東インド中国など各大陸に経済大国が新興してくることを望み、各地の民族主義を奨励・扇動し、世界中が植民地から独立する民族自決が理想なんだと当時のマスコミ権威筋に喧伝させた。
第一次大戦後の国際連盟創設時には、すべての植民地が独立する方向性が定まった。
だが、植民地が独立して建国した新興大国は、英国の世界覇権の支配体制を壊そうとする。
英国内の「帝国」の側は、「資本」の側による新興大国づくりの策略(謀略)を隠然と阻止した。
覇権運営の帝国側は、資本側との政治力学上、諸大陸の植民地の独立自体は容認したが、その前段階で他の列強を誘ってアフリカや中東を分割するなど植民地を細切れにしておき、英国の世界支配を凌駕・破壊しかねない大きな新興国の出現を阻止した。
帝国側は、資本側の希望をかなえてやるふりをして破壊した。
世界は、すべての植民地が独立したものの、200近い細切れの国家群になった。
米軍がアフリカの将校たちにこっそりクーデターのやり方を教えてアフリカを不安定にしているのも、19世紀から帝国側が続けてきた、新興大陸を弱いままにしておく策略の一環なのか??。
クーデターを頻発させなくても、アフリカは十分に分裂・内紛しており、不安定で弱い。
覇権国である米国がアフリカを放置しても、アフリカが結束して米覇権を脅かす新興勢力になることはない。
米軍がクーデターを頻発させ、アフリカの分裂と混乱に拍車をかけることは、米国にとってむしろ覇権運営のコストを引き上げる有害な行為になっている。
米国はアフリカだけでなく、中南米や中東など世界中の途上諸国で、内戦誘発や政権転覆や経済制裁をやり続け、混乱や弱体化を世界に強要している。
米国は世界を混乱させ、自分たちの覇権運営のコストを引き上げる愚策をやっている。
2001年の911事件後、その傾向が強まった。
なぜこんなことになっているのか。
一つ考えられるのは、これが「帝国」の側でなく「資本」の側の謀略でないか、ということだ。
以前から書いていることだが、911後に米覇権運営の主力勢力となったネオコンやタカ派は、あちこちの途上諸国や新興諸国に人権侵害やテロ支援の濡れ衣をかけて経済制裁や政権転覆、内戦誘発の試みを過激に稚拙にやり続け、米国覇権を崩壊させることを意図的にやっている。
ネオコンはCFR(ロックフェラー系の覇権戦略の検討組織)のメンバーが多く、資本側の勢力だ。
彼らは、途上諸国を弱体化して米覇権を保持する帝国側の勢力のふりをして、その策を過激に稚拙にやり続けて逆に米覇権を自滅させ、中国・ロシアなど新興諸国が団結して米覇権に替わる多極型覇権体制を構築することを後押しする資本側の勢力(隠れ多極主義者)である。
ネオコンは民主党と共和党を行ったり来たりしている。
今のバイデン政権も、人材的にでなく政策的にネオコンを継承している。
米国はクーデター誘発などでアフリカを不安定化し続けているが、ロシアや中国は逆に、アフリカを安定させようとしている。
中国はアフリカ諸国に資金を貸し、交通インフラ整備や資源開発を手がけている。
米国側のマスコミ権威筋は、中国がアフリカを借金漬けにしていると非難しており、建設したがうまく機能していない案件もあるが、全体として、中国はアフリカを発展させている。
中国より米欧の銀行の方がアフリカへの融資総額が多く、借金漬けにしている。
おそらくあまり知られていないのは、中国はアフリカを中心とする貧困国への債務を放棄している。2019年5月29日のフォーブスによると、2000年から2018年の間に、中国は他国に対する約98億ドルの債務を帳消しにした https://t.co/34XGNLZFzs
— 清水泰雅 (@steco_shimizu) October 20, 2022
近年はロシアと中国が協力してアフリカの発展を助けている。
これまでの100年間、米英がアフリカを混乱と貧困の中に置き続けてきたのと対照的だ。
アフリカ諸国は、アフリカ連合を作って国際紛争や内戦など政治経済の問題を解決しようとしているが、そこでも中露がアフリカに協力している。
米国(や英欧)がアフリカを混乱・不安定化する策をやるほど、アフリカ諸国は「米欧より中露の方がましだ」と考え、中露に頼るようになり、米国から中露への覇権移転を望むようになる。
アフリカだけでなく、中東や中南米の諸国も、同様に、米欧に見切りをつけて中露に頼るようになり、米国から中露への覇権移転を望むようになっている。
パレスチナ自治政府のアッバース議長は最近、中東和平の仲裁者として米国よりロシアの方が望ましいと公式に発言し、米政府を激怒させている。
米国がパレスチナに自治政府を作らせてから30年以上経ったが、この間米国はイスラエルの言いなりになる傾向を拡大してきた(中東和平はロシアがやっても難しいが)。
米国は、イラクとアフガニスタンに侵攻して合計250万人を殺したうえ混乱を放置し、シリアを内戦にして50万人を殺した。
いずれの国も、米国が退いた後、ロシアやイラン、中国によって安定化がはかられている。
サウジも米国側から非米側に転向した。
これらの全体から考えて、米国の覇権運営の失敗は意図的なものであり、米軍が西アフリカでクーデターを繰り返し誘発していることも、アフリカ諸国が米国に見切りをつけて中露に頼るように誘導する隠れ多極主義の策略でないかと思われる。
覇権運営は失敗するとコスト高なので、とくに中国は従来、米国覇権(の一部)を自国が代替することに消極的だったが、アフリカ中南米や中東などの諸国から、ぜひ覇権をとってほしいと頼まれ続けているので、もはや「いやです」と言いにくい。
習近平は先日の党大会で、米国の覇権を中国がとっていく方向を宣言した。
米軍が「アフリカ諸国の軍幹部の動向なんて見ていません」とうそぶいている間に、静かに多極化が進んでいる。
#サンデーモーニング
— 但馬問屋 (@wanpakuten) October 23, 2022
小西議員「真の父母さまとともにアフリカのナイジェリア大会にも出席したことがあると、山際大臣と思われる国会議員の発言が書いてある」
山際大臣「そのような記憶はない」
文鮮明氏とも会っていて、忘れちゃったのか…⁉️😵 pic.twitter.com/omesRzLw9i
アメリカが介入した国が破壊される様子を見た国は同盟を結ぶ 3
ウクライナのナチス(Moonie ムーニー)と統一教会は同根