森喜朗AOKI200万円受領問題だけじゃない! 五輪招致買収や神宮外苑再開発利権への関与 萩生田光一を使って都に圧力も
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東京五輪をめぐる汚職事件で、ついにあの大物の名前が出てきた。
贈賄容疑で逮捕されたAOKIホールディングスの青木拡憲・前会長が、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長を務めていた森喜朗・元首相に「現金200万円を手渡した」と供述していると報じられた件だ。
スクープした産経新聞の記事によると、青木容疑者は、受託収賄容疑で逮捕された元電通専務で組織委理事だった高橋治之容疑者を通じ、2017年7月に組織委会長だった森氏と面会。
その後も複数回、会食をおこなったというが、現金は2回に分けて直接、森元首相に手渡ししたという。
青木容疑者は「がん治療をしていた森氏へのお見舞いだった」と供述しているというが、見舞金と称して賄賂を贈るのは常套手段。
組織委の理事や会長は「みなし公務員」と規定されており、当然、森前会長は高橋容疑者と同じ受託収賄罪あるいは収賄罪の疑いがある。
しかも、産経によるとAOKI側は面会時のやりとりを録音しており、特捜部も押収済みだという。
森元首相は「捜査中のため回答を控える」としているが、今後、森元首相が捜査の対象となる可能性は十分ある。
だが、捜査のメスを入れるべきは、このAOKIをめぐる贈収賄にかぎったものではない。
というのも、森前会長には、高橋容疑者とともに東京五輪招致の買収に関与していた疑いがあるからだ。
2020年3月、ロイター通信は組織委理事の高橋氏が招致委員会から約8億9000万円相当の資金を受け取り、IOC委員らにロビー活動をおこなっていたと報じたが、その際、森前会長が代表理事・会長を務める「一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター」にも招致委から約1億4500万円が支払われていたと報道。
つまり、この嘉納治五郎財団を介して買収工作がおこなわれた可能性があるのだ。
しかも、嘉納治五郎財団をめぐる買収関与の疑惑はこれだけではない。
「週刊新潮」(新潮社)2020年2月20日号によると、セガサミーホールディングスの里見治会長が2013年、テレビ局や広告代理店の幹部に対し、当時官房長官だった菅義偉・前首相からこんな依頼を受けていたと語っていたというからだ。
「アフリカ人を買収しなくてはいけない。
4億~5億円の工作資金が必要だ。
何とか用意してくれないか。
これだけのお金が用意できるのは会長しかいない」
「嘉納治五郎財団というのがある。
そこに振り込んでくれれば会長にご迷惑はかからない。
この財団はブラックボックスになっているから足はつきません。
国税も絶対に大丈夫です」
さらに、実際に里見会長は自身で3〜4億円、「知り合いの社長」が1億円を用意して嘉納治五郎財団に入金したといい、これに菅氏は「これでアフリカ票を持ってこられます」と喜んでいた、というのだ。
東京五輪に乗じて神宮外苑再開発利権に暗躍した森喜朗 萩生田光一を使って東京都に圧力も
これは里見会長の“ホラ話”ではない。
というのも、セガサミー広報部は嘉納治五郎財団への寄付の事実を認めており、「週刊新潮」が独自入手した嘉納治五郎財団の決算報告書でも、2012年から13年にかけて2億円も寄付金収入が増えていることを確認。
関係者は「その2億円は里見会長が寄付したものでしょう」と語っているのだ。
ようするに、東京五輪招致の買収疑惑をめぐっては、森前会長が代表理事・会長を務める嘉納治五郎財団の関与が毎度といっていいほど取り沙汰されてきたのである。
この問題については、2020年11月にIOCのトーマス・バッハ会長の来日時におこなわれた記者会見で、ロイターの記者が直接、組織委会長として同席していた森氏に「(招致委から支払われた約1億4500万円は)何のために使ったのか」とぶつけたのだが、「私は実際の経理や金の出し入れというのは直接担当しておらず、おっしゃったようなことがどこまでが正しいのか承知していない」などと返答。
そして、この会見の直後である2020年12月末になって嘉納治五郎財団は密かに活動を終了させたのだ。
しかも、森前会長の疑惑はこれだけでは終わらない。
それは、東京五輪招致、新国立競技場建設にともなう「神宮外苑地区の再開発」への暗躍だ。
詳しくは既報を読んでいただきたいが
五輪招致の背後では、神宮外苑地区の再開発をめぐって、森前会長の親友とされ明治神宮と太いパイプを持つとされていた人物の関与が囁かれるなど、森前会長が東京五輪開催による再開発に絡んだ建設利権を狙っているのではないかといわれてきた。
前会長は2016年五輪招致の際から「国立競技場や岸記念体育館の建て替えが、政治家の私が(日本体育協会の)会長になった意味。東京に五輪が来れば、全部できる」と当時の石原慎太郎都知事に話して東京への五輪招致を焚きつけたと報じられているが、実際に森氏が神宮外苑再開発に関与していたことを示す文書も明るみに出ている。
東京都の開示資料によると、2012年2月28日に森氏が強い影響力を持っている清和会所属で当時落選中だった萩生田光一氏が東京都の安井順一技監(当時)と面談。
そこで萩生田氏は「森元首相から『競技場施設そのものは国。しかし都が一生懸命汗をかいてくれないと困る。君が、文科省、NAASH(編集部注:日本スポーツ振興センター、現JSC)、都を横断的に調整してくれ』と言われている」と告げると、日建設計が作成した整備案を広げて見せ、このように迫っている。
「国が踏み出すことを都が待っていては遅い」
「実現する時は自民党政権に戻っている。今の機会しかここの整備は出来ない」
さらに萩生田氏は岸記念体育会館の移転建て替えについても、「(移転を)日体協が望んでいるようだ」と発言。
つまり、森氏は萩生田氏を使って神宮外苑のスポーツ施設にかんする再整備を都に働きかけていたというわけだ。
“五輪招致失敗しても神宮再開発は進める”との都幹部説明に、森喜朗「すばらしい。あと15年は長生きしないと」
そして、この萩生田氏が迫っていた問題に対し、都側は同年5月15日、森氏に直接説明をおこなっている。
当時の佐藤広・東京都副知事と安井技監は森氏と面談をおこない、このとき佐藤副知事らは神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えた上で建て直すという、現在まさに進められている再開発案につながるプランを提示したのだ。
すると、森氏は「すばらしい案じゃないか。長生きしないと」と大喜び。
さらに安井技監が“五輪の招致が失敗しても神宮外苑全体の再整備を前提に都市計画変更の調整を進める”と明言すると、森氏は「すばらしいよ。あと15年は長生きしないと」と口にしたのだ。
ようするに、森氏は東京五輪の実現・成功などよりも、五輪にかこつけた神宮外苑の再開発のほうが重要だったのである。
こうして森氏のゴーサインのもとでスタートした神宮外苑の再開発案は、その後、超高層ビルや商業施設が計画に加えられるかたちで進行。
樹木の大量伐採に反対の声があがっているにもかかわらず、三井不動産や明治神宮などの事業体によって着々と進められている。
また、秩父宮ラグビー場の整備・運営主体も、鹿島や三井不動産などで構成される事業体が落札している。
神宮外苑の再開発計画の中止・見直しを求め、情報開示を通じて問題を提起してきた日本共産党都議団は、今年4月におこなった会見において、森氏の関与に言及。
このようにまとめている。
〈情報開示を通じて、神宮外苑再開発計画がスポーツ拠点整備とは名ばかりで、東京都が主導し、森元首相が一貫して深く関与して、開発事業者の三井不動産や土地所有者の明治神宮に利益をもたらす方向に変更されてきたこと、その結果として、樹木の伐採、歴史的景観の破壊をはじめ大きな矛盾に直面していることが、明らかになりました。〉
五輪招致買収に再開発利権……
このように表舞台のみならず裏でも暗躍してきた森氏。
AOKIをめぐる収賄疑惑だけではなく、これら東京五輪の闇にもメスが入れられなければならないだろう。
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