コロナの陰で、安倍官邸「やり放題の官僚人事」その厚遇ぶりに呆れる
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200331-00071481-gendaibiz-pol
当の官僚も「おかしい」と警告
「今に始まったことじゃないが、おかしな役人人事が次から次へと行われている。新型コロナウイルスの話題で国民の目がそらされているのをいいことに、安倍政権はやりたい放題だ。何とかしないと、中央省庁全体がおかしくなってしまう」
さるキャリア官僚が危機感もあらわに、そう警告した。
これまでも安倍政権では、安倍晋三首相の“お友だち”や覚えのめでたい役人たちが、報酬のいい国家の要職に抜擢されたり、栄転したりしてきている。
それが新型コロナウイルスの騒動に紛れて、さらにひどくなったというのだ。
同キャリアが続けた。
「検事総長の人事に絡んで、政権に近い黒川(弘務)氏の定年を脱法的に延長したことが問題視されているが、政権の奔放さはそんなレベルじゃない」
最近の主要な人事を調べてみたところ、以下のようなことがわかった。
まずは報酬のいい要職への抜擢――論功行賞とみられる人事。
政府は3月17日、古谷一之官房副長官補を公正取引員会委員長に据える人事案を提示した。
古谷氏は財務省主税局長や国税庁長官を経て、2013年4月に官房副長官補に就任したのだが、2017年の総選挙の際に「教育無償化」や「子育て支援」、「大型の経済対策」などの知恵を授け、自民党圧勝に貢献したとされる。
今回の人事によって、古谷氏の報酬はアップ。
年間約2800万円になるという。
実際の勤務日数で割ると、日額10万円を超える。
「退任する杉本(和行)前委員長は、菅(義偉)官房長官らが肩入れする楽天などにも果敢に切り込んだが、今後はどうなることか。検事総長人事と同じようなにおいも感じられる」
先のキャリアは、そう語った。
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警察庁でも、どさくさに紛れ…
横畠裕介内閣法制局長官も、同日の人事案で国家公安委員への就任が示された。
検察官から内閣法制局に転じた横畠氏は、安倍首相が最重要課題としてきた安全保障法制で、法制局がこれまで堅持してきた「集団的自衛権の行使は違憲」との見解を捨て去り、集団的自衛権の限定行使を容認。
法の成立をバックアップした。
その横畠氏が就く予定の国家公安委員は「警察の目付け役」とされるが、実務はほとんどない。
にもかかわらず、年間報酬は約2400万円。
委員の資格要件には「任命前5年間に警察・検察の職歴のない者」とあるが、横畠氏は2011年に内閣法制局次長に就任しているため、セーフだったという。
まだある。
いまや政権の御用聞きと化しつつある警察庁では、問題のある幹部の「在庫一掃セール」に近い人事が断行されたというが、そのどさくさに紛れてカジノ管理委員会の事務局長に「パワハラ四天王」と言われている者のひとりが抜擢されていた。
徳永崇氏のことだ。
同氏は、青森県警本部長、警察庁官房審議官などを経て2019年4月にカジノ管理委員会設立準備室審議官に就いた人物だが……。
「パワハラが絶えないひとで、とくに青森県警時代のことは有名です。ただ、その一方で上には従順ですから、政権としては……ということでしょう」
警察キャリアの動向に詳しい警察幹部は、そう語った。
ちなみに政権人事ではないが、「パワハラ四天王」の残りも次々に栄転したという。
「徳永氏と同期の世取山(茂)氏がこの4月に東北管区警察局長になる内示が出ましたが、かねてパワハラがひどかったうえに、2014年にはついに自殺者を出した大事件に関与し、預金保険機構という外部セクションに飛ばされていました。にもかかわらず、ここまで偉くなるとは、正直思っていませんでした」(警察幹部)
2014年の大事件とは、東日本大震災の影響が色濃く残っていた福島県警で、捜査2課の警部と上司の警視が相次いで自殺した悲劇のことだ。
背景には、警察庁から出向していた捜査2課長の激しいパワハラがあったとされる。
当時、警察庁刑事局・捜査2課長の立場から県警2課長に発破をかけるなど指導していたのが、世取山氏だったのである。
そのほかの2人も、昨年の時点ですでに栄転済みであった。
カジノ関連でも「由々しき人事」
さらには、こちらも過去の人事だが、カジノに関連して由々しき人事が行われていたこともわかった。
カジノ汚職事件への関与が取り沙汰されながらも、不問に付された財務官僚だ。
名前が浮上していたのは、財務省から内閣府大臣官房に転じ、カジノ管理委員会設立準備室室長を経て、2019年4月に特定複合観光施設区域整備推進本部事務局事務局長に就任した中川真氏である。
中川氏と言えば、元財務次官の娘をめとりながらも2007年に不倫騒動を起こして干されたが、第2次安倍政権で復活し、菅官房長官に重用されたことで知られる。
ところが……。
「中川氏は、『(カジノ汚職事件で贈賄側として登場した中国系企業)500ドットコム』が2017年に主催したシンポジウムに参加し、菅長官の言葉を引用しつつ、ギャンブル依存症対策における政府の取り組みなどについて語るなど、同社と関係があった。
にもかかわらず、その後、事務局長に昇格している。
なぜ、こうした人事が行われたのか大いに疑問だ」
カジノ汚職事件の捜査にかかわった検察関係者は、そんな証言を寄せた。
こうしたことが影響したのか、中川氏は2020年3月、スロバキア大使に転出した。
これについて、前出のキャリアが語る。
「論功行賞を兼ねたところ払いだろう。政府からは遠ざけられるものの、大使は何といっても厚遇。報酬も高いのだから」
現在、大使の平均年収は月額110万円。
ボーナスを加味すると、年収1800万円程度。
これでも高給だが、ここに「在勤基本手当」と呼ばれるものが加算される。
派遣先の国によって額は異なるが、スロバキアはギリシア並みの月額60万円。
さらに、配偶者手当も支給される。
大使の「在勤基本手当」の20%であるため、こちらは月額12万円。
これらを合わせると、2600万円を超える。
仮に小中学生の子供がいた場合には、一人当たり月額15万円弱の手当ても出る。
パート労働者の月給並みの金額だ。
以上のような経緯を見ると、目を光らせるべきは、検事総長人事ばかりではないことがわかる。
厳しく監視するべき
ところで、ここで取り上げたのは、「特別職」と呼ばれる国家公務員に抜擢された人事だ(警察庁のものは除く)。
この来歴等について調べてみると、官邸のHPに以下のような記載があった(注記は省略)。
《国家公務員法の制定により国家公務員が一般職と特別職に区分されたことに伴い、「特別職の職員の俸給等に関する法律」が制定され、特別職の給与体系が創設された。
創設当初の給与体系は、連合国の管理下にあって、行政の民主化が強調される中、政府から独立した機関、あるいは行政委員会の委員等に、給与体系上高い格付けがなされていた。
中でも、検査官、人事官及び国家公安委員会の委員については、それぞれの設置法において、国務大臣と同額の給与を受けるべきことが定められていた》
《特別職は、様々な理由により、任用における成績主義の原則、身分保障等の一般職に適用される国家公務員法の原則が適用されない諸々の官職であり、任用、服務等に関する制度についても官職ごとに様々である。(中略)様々な官職が含まれる特別職の幹部公務員を、あえて類型化すると、次の二つに区分することができる。
ア 職務の性質から一般職の任用手続を経ないことを適当とする官職(内閣官房の特別職、大公使等)
イ 職務遂行の独立性及び任用手続の透明性を確保する等の観点から任用に当って国会同意を必要とする官職(検査官、人事官、委員会委員等)
ただし、こうした類型化は、それぞれの職務の性質に由来するものであり、職務の重要性や責任の重さに由来するものでは必ずしもないことから、上記のような特別職の類型化と、職責に応じて定められる給与の在り方との間に、直接的な関連性を見出すことは難しい》
つまりは、戦後に国家公務員という制度が整えられて以来、「特別職」は独立性が重んじられてきたということだ。
高額の報酬が支払われる根拠も、そこにあった。
ところが、いまや論功行賞と言われても仕方ない、官邸の恣意的な任用が目立つ。
制度の原点に立ち返って、厳に監視の目を光らせるべきである。
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古賀茂明「森友公文書改ざん事件で自殺した近畿財務職職員の手記でも懲りない高級官僚」〈週刊朝日〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200330-00000063-sasahi-pol
森友学園事件で、財務省の佐川宣寿理財局長(当時)に決裁文書の改ざんを強要されて自殺に追い込まれた近畿財務局職員、赤木俊夫さんの遺書と手記が公表された。
安倍晋三総理が国会で自身と昭恵夫人の関与を完全否定する答弁をしたため、その答弁に合わせて、佐川局長が部下に文書改ざんを命じた。
現場でその悪事に加担させられた赤木さんは、最後は自殺することで財務省の不正を告発したのだ。
赤木さんの悲痛な心の叫びを綴った手記を見て、多くの国民は同情し、憤りの気持ちを持った。
しかし、赤木さんのことを問われた安倍総理は、「ああいう結果になり、総理として大変申し訳ない」と形だけは謝罪したものの、赤木さんの告発に応えて再調査することは簡単に否定した。
自分のせいで死に至った官僚の声を踏みにじる冷酷なその姿に、国民の多くは驚き、また二重の意味で怒りを感じている。
本件に限らず、安倍政権は、官僚を支配し、官僚はその意向を忖度せざるを得ないという見方が一般的だ。
桜を見る会の事件ですぐに嘘だとわかる答弁を繰り返す内閣府の幹部官僚や検察官の違法な定年延長問題で虚偽答弁撤回に追い込まれた人事院の局長などには、同情する声すら上がる。
しかし、彼ら高級官僚たちの身の上を赤木さんに重ねて案じることは決してしてはならない。
なぜなら、彼らには彼らなりの打算、すなわち、忖度して嘘をつき通せば、安倍政権は、出世や天下りで報いてくれるという損得勘定があって動いているからだ。
現に、佐川局長は国税庁長官に出世し、安倍政権の検察支配のおかげで牢屋行きも免れた。
加計学園事件でも、大ウソで安倍総理を庇った経済産業省出身の柳瀬唯夫元総理秘書官は官民、内外問わず、多くの企業から引く手あまたで、悠々自適の天下り生活を送っている。
桜を見る会の事件で文書を改ざんした内閣府人事課長も、刑事罰はおろか国家公務員法上の処分もなく、内規による「厳重注意」だけだった。
国公法の処分なら今夏昇進できないが、内規処分なら出世できる。
安倍政権が夏の「出世」を約束したようなものだ。
官僚たちは、ただ隷従しているのではない。しっかり見返りを得ているのだ。
実は、こうした個別の「忖度への報酬」以上に官僚が安倍政権を評価していることがある。
それは、安倍政権が官僚の利権にめっぽう甘いということだ。
最もわかりやすいのが、歴代内閣が常に掲げていた「行政改革」や「公務員改革」が、第2次安倍政権では「死語」と化したことだ。
今や各省庁の天下りもやりたい放題と言ってよい。
今国会に提出された国家公務員法改正案も官僚は高く評価している。
その内容は、「公務員の定年を65歳まで延長し、60歳まで役職定年なしで昇給を続ける。能力や意欲に関係なく65歳までは、60歳ピーク時給与の7割を保証する」というもの。
まさに「役人天国」だ。
年収1千万円でぶらぶらする60代官僚が続出するのは必至だろう。
一方、加計学園の獣医学部新設に抵抗した文部科学省に対して、安倍政権は天下り規制違反を理由に、前川喜平事務次官(当時)を辞職にまで追い込んだ。
「安倍政権にたてつくとただでは済まないが、そうでない限り官僚の利権は全て守る」。
それが安倍政権と高級官僚の暗黙の了解だ。
安倍政権と官僚、どちらも国民を裏切る大罪を犯す共犯者と言うべきだろう。
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