米朝首脳会談は開かれるのか | きなこのブログ

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グレイトになって戻ってきた米朝首脳会談
http://tanakanews.com/180529korea.htm
 
5月24日に米トランプ大統領が、6月12日に予定されていた史上初の米朝首脳会談を中止すると、北朝鮮の金正恩あてに公開書簡を出した。
 
私は前回の記事で、この書簡について、トランプが本気で米朝会談を中止しようとしているのでなく、会談に先立って、北が米国と対等に張り合おうとするのをやめさせるために出したものだと分析した。
 
それから数日たち、事態は(私が分析した)トランプの思惑どおりに動いている。
 
北朝鮮側は、トランプの書簡発表後すぐに、米朝会談をやめる気がない、ぜひ会談を予定どおり開きたいと表明した。
 
北の金正恩は、4月末の南北首脳会談で相互の信頼を築いた韓国の文在寅大統領に、急いでもう一度会ってほしいと提案し、5月26日に急遽、南北分界線上の板門店で、2度目の南北首脳会談が開かれた。
 
金正恩は、依然として核廃絶を進める気でおり、トランプと会談して核廃絶を実行したいと文在寅(を経由してトランプ)に伝えた。
 
会談を中止するぞという脅しに対し、予定通り会談してほしいと在寅経由で神妙に頼んできた正恩を見て、トランプは満足し、会談は予定どおり開かれそうだと表明した。
 
トランプは5月28日、スン・キム特使や、北の核の専門家である国防総省のシュライバー次官補らを板門店に派遣し、米朝の次官級の実務者交渉が行われた。
 
この交渉では、北が、保有する核弾頭や濃縮ずみの核物質を、どのようなタイミングで米国(=国際社会)の側に引き渡すかが話し合われたようだ。
 
米側は、北が最大で20発の核弾頭を持っていると考え、それを米朝首脳会談の直後(と直前)に一括ですべて米国に引き渡せと要求しているようだ。
 
会談前に核弾頭や高濃度核物質(の一部?)を引き渡せという要求と、会談直後に一括で全部引き渡せという要求の2つが報じられている。
 
これらに対して北がどのように反応しているか今のところ不明だ。
 
そもそも、5月9日にポンペオ国務長官が訪朝した時の米朝交渉で、すでにこの手の話が出ていたらしい。
 
米国は、核弾頭を早めに引き渡すなら、それを北の核廃絶とみなし、米国の北敵視をやめてやる(在韓米軍を撤退してやる)と北に要求したのでないか。
 
これに対して北が言いそうなことは「在韓米軍は、いったん撤退しても、いつでもすぐに韓国に戻ってこれる。対照的に、わが国がいったん手放した核弾頭は二度と戻ってこない。これは不公平すぎる。核弾頭の引き渡しは、米朝間の信頼関係を醸成しながら少しずつ進める方法でないとダメだ」という主張だ。
 
核弾頭は(本当に使い物になる兵器の水準に達しているかどうかにかかわらず)、今回の米朝交渉における、北の最大の持ち札だ。
 
米国の騙しに乗せられてカードを手放すわけにはいかない。
 
北は、核弾頭の引き渡しのタイミングをできるだけ遅らせたい。
 
米側は、軍産もトランプも、北側の引き伸ばし作戦に乗せられたくない。
 
軍産は、在韓米軍の撤退をできるだけ遅らせたい。
 
(米覇権放棄屋の)トランプは、北に核廃絶を劇的にやらせ、見返りとしての在韓米軍の撤退も劇的にやりたい。
 
この首脳会談前の米朝交渉の膠着状態に、トランプの会談中止宣言の書簡を重ねると、見えてくるものがある。
 
トランプは「核弾頭の引き渡しに関して米国の案に乗れないなら、首脳会談は中止だ」と啖呵を切ったのだ。
 
これに対して金正恩は、トランプの思惑どおり「米国の案にしたがって核弾頭を引き渡すので、首脳会談を予定どおりやってください」と言ってきた。
 
トランプは満足し、スン・キム特使らを板門店に派遣して北側と交渉し、北の譲歩を確定させた・・・というのが私の読みだ。
 
トランプの会談中止書簡が、北から何らかの譲歩を引き出すためのものだったことは、ほぼ確実だ。
 
だが、トランプが書簡を使って北に求めた譲歩が、核弾頭(と核物質)の早期の引き渡しだったかどうかは確定的でない。
 
私の推測にすぎない。
 
だが、トランプが北に早急な核弾頭引き渡しを求めているのは報道されている事実だし、北の核廃絶と米国の北敵視終了をどのような順番や期間で進めるかが、米朝会談の最重要点であるのも事実だ。
 
私は以前の記事で、トランプの会談中止書簡は、北が米国を敵視する言動をとったので、それをやめさせるためだろうと書いた。
 
だがトランプの策は、そんな「心情論」「沽券の話」でなく、北に大胆な核廃絶をやらせるための恫喝だったと考える方が妥当だと思い直している。
 
トランプは、書簡に対する北の反応に満足し、予定どおり首脳会談しそうな感じになっている。
 
米朝首脳会談は、トランプにとって、よりグレイトなものになって(軍産や日韓の対米従属派にとって、より危険なものになって)戻ってきたわけだ。
 
(グレイトという表現は、トランプの標語「米国をグレイトな国に戻そう! MAGA=Make America Great Again」に引っ掛けた。)
 
 
6月12日の米朝首脳会談は、米朝和解の出発点であり、その後時間をかけて北核廃棄や米朝和解が進んでいくと、私は最近まで考えていた。
 
だがトランプはどうやら、1回の米朝首脳会談で、大事な部分のすべてを決めてしまおうとしている。
 
時間をかけてやると、仇敵である軍産複合体から妨害されて頓挫する可能性が高くなるからだろう。
 
米朝首脳会談で、北が一括の核廃絶を表明し、米国が最短時間での在韓米軍の撤退を表明し、会談後、米朝の和解と、朝鮮戦争の終戦が宣言される、というのが会談が成功する場合の流れだ。
 
ここ数日、北が保有する核弾頭数について「最大20発」という数字が報じられ始めた。
 
この数字の根拠は不明だが、米国が北の弾頭数を独自に把握している可能性は低い。
 
核開発の期間の長さや人工衛星写真の解析から概算する程度だろう。
 
おそらく北の「言い値」の弾頭数が、廃絶すべき弾頭数になる。
 
「言い値」を超える分は、隠し持つことが黙認される(使い物になる核弾頭を作れるところまで開発が進んでいたならば、の話だが)。
 
▼文在寅も米朝首脳会談に参加し、米韓で在韓米軍の撤退を発表する??
 
北の核廃絶のやり方については、非常に断片的であるが、米朝の準備交渉の中身が報じられている。
 
だから上記の解説が書けた。
 
対照的に、北の核廃絶の見返りに米国が北に与える、北敵視の終結、在韓米軍の撤退、北の政権維持に対する保障については、何をどう進める話になっているのか、全く報じられていない。
 
軍産に妨害されないよう、厳しい機密保持体制が敷かれているようだ。
 
そんな中で言えるのは「北が急いで核廃棄を進めるなら、見返りとして、米国も急いで在韓米軍の撤退などを進めるのでないか」ということだ。
 
これは、トランプの覇権放棄戦略に合致している。
 
韓国の文在寅大統領が、シンガポールの米朝首脳会談に参加し、米朝韓の3か国会談になるかもしれないと、文在寅の側近が聯合通信に漏らしている。
 
米朝韓の3か国会談の開催は、4月末の南北首脳会談の共同声明に目標として盛り込まれている。
 
トランプの書簡発表後すぐ金正恩が文在寅に会いたいと言ってきたことから考えて、金正恩は文在寅を信用している。
 
2人は親密な関係を構築し、6月12日の米朝首脳会談までにもう一度会うことになりそうだと韓国高官が言っている。
 
2人の親しさから考えて、外交経験が少ない金正恩が文在寅に、シンガポールの米朝会談に参加してトランプが強硬姿勢になったら説得してほしいと頼んでいても不思議でない。
 
文在寅の会談参加は、ほかにも重要性がある。
 
北が核廃絶を約束したら、その見返りに、米国と韓国がその場で在韓米軍の撤退を決定して世界に発表できることだ。
 
米韓首脳が合同で在韓米軍の撤退を宣言すれば「米軍はいつでも韓国に戻ってこれる」という北側の懸念をかなり払拭できる。
 
リベラルな文在寅の政権が続いている間は、いったん撤退した米軍が再び韓国に戻ることはない(文在寅は、韓国の大統領の任期を、1期5年再選不可から、米国型の再選可能な2期8年に改定しようとしている)。
 
文在寅が側近としてつかえていた廬武鉉元大統領も、6か国協議で北が核廃棄に応じる方向に動いていた07年に南北首脳会談を行い、南北和解を目指した。
 
当時の米国(ブッシュ政権)は北敵視が強く南北和解に反対し、廬武鉉は米国の反対を押し切って南北和解を試みた。
 
だが北は、米国に敵視されている限り核廃棄に応じられず、米軍を擁する韓国とも敵対を解けないため、和解は短期間に終わって失敗した。
 
対照的に文在寅は、廬武鉉時代の教訓を生かし、米国の賛同を得ながら北との和解を進めた(私はずっと、なぜ文在寅は米国を無視して北と和解しないのかと思っていたが、米国を無視すると廬武鉉の二の舞になることに今ごろ気づいた)。
 
文在寅にとって幸運なことに、米国の政権は北敵視のふりをした覇権放棄屋のトランプで、北の政権は若く大胆な金正恩だった。
 
今年の年初に金正恩が核廃絶を提案してトランプがそれに乗って以来、廬武鉉を越える文在寅の活躍が始まっている。
 
文在寅はシンガポールに行くかもしれないとのことだが、習近平はどうしたのだろう。
 
私は以前の記事で、習近平が米朝首脳会談に参加するかもしれないと報じられたことを分析した。
 
その後、この件についての続報を、全く見ていない。
 
その一方で「金正恩の専用機は平壌からシンガポールまで直行できず、行き帰りに途中で中国のどこかの空港に着陸して給油する必要があり、そのとき空港に習近平に来てもらい、中朝首脳会談を行い、米朝首脳会談に関して中朝がすり合わせを行うかもしれない」と報じられている。
 
この場合、習近平はシンガポールに行かないことになる。
 
中国は、昨今の米朝や南北の交渉に際し、北との経済・安保の関係を通じて背後から黒幕的に関与しており、表舞台に出てきていない。
 
習近平はシンガポールに来ないと考えるのが自然なようだ。
 
以前の記事で私は「1953年の朝鮮戦争の停戦合意は米朝中の3か国が署名しており、習近平が米朝会談に後半から参加すれば、その場で朝鮮戦争を停戦から終戦(和解)に切り替えられる。だから習近平は来るのでないか」という趣旨を書いた。
 
だが、追加的に考えてみると「朝鮮戦争の終戦」は、米朝中で合意するよりも、国連安保理で決議し、韓国に駐留する国連軍の終了を決定する方が重要だ。
 
在韓米軍は国際法上、1950年の北朝鮮の「南侵」(=朝鮮戦争の勃発)に対処するために安保理が組織した国連軍である。
 
米朝和解を受け、安保理が朝鮮戦争の終結と国連軍の任務完了・解散を決議すれば、米国の好戦派や韓国の対米従属派の意志に関わらず、在韓米軍は撤退を余儀なくされる。
 
習近平はシンガポールに来る必要がない。
 
6月12日の米朝首脳会談がどんなかたちで開かれるのか明確でないが、今の流れから考えて、首脳会談は予定通り行われ、米朝は「会談の成功」と米朝和解の実現、北の核廃棄と在韓米軍撤退についての具体的な日程とやり方を発表する。
 
それらは、人々を驚かす「グレイトな」内容になりそうだ。MAGA。

 

 

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