[1674] 「 習近平は必ず金正恩を殺す 」(近藤大介 著)という本が出ています。
http://www.snsi.jp/bbs/page/1/
私が気になる本が一ヶ月前に、出版されていた。
その書名は、「 習近平(しゅうきんぺい)は必ず金正恩(キム・ジョンウン)を殺す 」である。
何とまあ、こんなセンセーショナルな本を、わざと出すと却って世の中は相手にしない。
しかし、出版業界のウルトラ専門職の人間たちだったら、こういうオカシナ手にわざと出る。
私が、この衝撃的な書名の本の存在を知ったのは9月25日だ。
以下に、この本のアマゾンの自著宣伝の文を載せる。
(転載貼り付け始め)
「 習近平は必ず金正恩を殺す 」 単行本 2014/8/28 発売
近藤 大介 (著) 講談社 刊
中朝開戦の必然――アメリカがバックに控える日本、ベトナム、フィリピンとは、絶対に戦争ができない中国……国内に鬱積する不満を解消するためには、中国で最も嫌われている人物、すなわち金正恩を殺すしかない !
1989年の天安門事件や1990年の金丸訪朝を直接取材し、2002年と2004年の小泉訪朝団に随行した著者の、25年にわたる中朝取材の総決算!!
著者について
近藤大介(こんどう・だいすけ) 1965年生まれ、埼玉県出身。
東京大学卒業後、「月刊現代」「週刊現代」「フライデー」などで記者・編集者を務める。
2009年から2012年まで講談社(北京)文化有限公司副社長。
現在、「週刊現代」編集次長、明治大学講師(東アジア論)。
中国を中心とした東アジア問題の研究をライフワークとする。
著書には、『日中「再」逆転』『対中戦略』(以上、講談社)、『深紅の華』(廣済堂出版)、『中国人の常識は世界の非常識』(ベスト新書)、『「中国模式」の衝撃』(平凡新書)などがある。
この他に、同じ著者の最新刊の予定の本として、
「 金正恩の正体: 北朝鮮 権力をめぐる死闘 」 (平凡社新書) 新書 2014/9/12発売近藤 大介 (著) がある。
(転載貼り付け終わり)
近藤氏は、1964年生まれだからまだ48歳の若さだから、「そろそろ編集者を定年で引退して、大学教授になって独立した言論人になろう」というような人ではない。
私は、近藤氏は、「日本よ中国と同盟せよ」(光文社刊、 2006年刊)を書いた人なので、決して、そこらにウヨウヨいる反中国、反韓国(嫌韓、けんかん)の人種差別主義者たちと同類だとは思わない。
彼は、現実の東アジア政治の中の、極めて複雑なかつ重要な立場を生きている人だ。
それが、「 習近平は必ず金正恩を殺す 」 という 本を出した。
この本の存在を知るまで、私、副島隆彦が一ヶ月掛(かか)かったということは、世の中から放ったらかしにされている、ということだ。
私は、今も現職の講談社の副編集長である、近藤大介氏にこれまでに2回お会いしたことがある。
近藤氏の本のことについては、私は、今日は敢えて触れない。
私が、今日、急いで、書いておくべきことは、
今の中国政府は、北朝鮮と険悪な関係になっていて、中国としては、今の北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)体制を崩壊させて、作り変える、という決断を既にしている、
ということだ。
一言で、端的(たんてき)に言うならば、習近平の中国政府は、
今の北朝鮮を、ミャンマー(テイン・セイン政権)のような、西側世界に広く開いて、資本主義の制度を導入して、外国の資本をどんどん入れて(来てもらって)一気に経済成長して、国民を貧困から脱出させる、という体制に変更してもらいたい、
ということだ。
中国としては、北朝鮮が、今のまま、中国のお荷物となって、経済・軍事援助で生き延びる旧式の独裁国家であってもらっては困るのだ。
私、副島隆彦は、今から8年前に 自分の中国研究本を書き始めた時から、「北朝鮮が持っている4発の核兵器のうち、2発は、北京を狙っている」とずっと書いた。
私がこのように書いても、ほとんど相手にされなかった。
まさかそんな、そんなことがあるのか、という反応だった。
私は、その頃から気づいていた。
私は、4年前に、中国と北朝鮮の国境の町で、鴨緑江(おうりょくこう)の河口にある 丹東(タントン)の町に調査に行った時に、
「あ、そうか。朝鮮族は、たとえ民族の半分が殺されても、それでも、漢民族の中国に屈服することはない。
だから、朝鮮・韓国族は、今も、12世紀から作られた、ハングルという表音文字の言語を絶対に死守する。
満州族のように民族言語を失って、漢民族(漢字文明)に同化し消滅することを絶対に拒絶する」
と分かった。
中国と北朝鮮の対立はどのようにして起こったか。
この大きな課題(テーマ)については、今日はここでは書かない。
私が、把握している この数年の、中国の北朝鮮への怒りは、以下のものだ。
1. 昨年2013年の2月に、北朝鮮が、3回目の核実験を行った。それに対して中国が怒って、北朝鮮の銀行の口座を凍結する、という経済制裁の手段に出た。
2. 張徳江(ちょうとっこう)という今の中国のトップ7(7人。政治局常務委員)のNo5だと思われる(中国の本当の秘密警察のトップでもある)人が、彼は、金日成総合大学を卒業していて、朝鮮語が出来るので、おそらく朝鮮人や満洲人の血が入っている人だろうが、彼が、韓国に行って、朴槿恵(パク・クネ)大統領と、話し込んでいる。
3. 2013年の12月12日に、北朝鮮の、立派な幹部で、重厚な政策を実行していた、中国寄りの張成沢(チャン・ソンテク)が銃殺刑にされた。これに中国が怒った。
4. 2014年3月の全人代(ぜんじんだい。中国の国会)で、香港政策を管轄する張徳江(ちょうとっこう)から、
「一国二制度」(鄧小平とサッチャーの約束で2047年までだから、あと33年ある)の柱である「高度の自治」というコトバが消えた。
それ以来の、香港への締め付けである。
今、香港の学生たちが抗議して騒いでいるのは、ここから始まった。
5. 習近平 が、朴槿恵(パク・クネ)と北京で、2013年7月初めに、親密に話している。
この時に、北朝鮮の体制を変更する、という話をしたようだ。
そして、それは、韓国に北朝鮮を、穏(おだ)やかに合併させて、南北の分裂国家の統一をさせる、という方針だろう。
私、副島隆彦は、
北朝鮮の高官の中に、
アメリカのネオコン派 と 統一教会系の者たち が入っていて、
それで東アジア(極東、ファー・イースト)でも、
中東(ミドル・イースト、アラブ世界)と同じように、
戦乱、戦争を引き起こそう、
としていると書いてきた。
そのように8年前から分析している。
それの、日本国内の親密な勢力が、だから、言わずと知れた・・・の人びとだ。
6. そして今年の7月に、北朝鮮が、急に態度を軟化(なんか)させて、日本の安倍政権と親密に話を持つようになった。拉致問題を解決しようとした。それは同時に日本と北朝鮮との平和条約の締結だ。
7. その前に、3月10日から14日にかけて、モンゴルのウランバトールで、「横田夫妻とヘギョンさんが面会した」という事実が17日になってから公表された。かつてのモンゴル出身力士の旭鷲山(きょくしゅうざん。現在は、モンゴルの国会議員)が仲介したそうだ。
私は、北朝鮮が、日本政府(安倍政権)に接近して自分たちの生き残りを賭けての変化、を凝視していた。
もし、まだ生きている拉致(らち)日本人全員(13人の2004年に帰ってきた5人を除く8人。死んでいる者が多い。および2万人と言われる 北朝鮮に渡った日本人妻たち)の日本への一斉帰国を、安倍首相が実現したら、日本外交の大成果となって、安倍政権の長期政権が実現しそうだった。
ところが、このあと、8月になって急激に事態が、またしても動いた。
オバマ政権が動いた。
そして、中国の習近平政権と、直接、北朝鮮問題で、徹底的に話し合ったようである。
オバマ( 戦争を避けるハト派、CFR派、オフショア・バランシング理論派。後継者は、バイデン副大統領)は、習近平と組んで、極東での安定、平和の維持を決断したようだ。
よかった。
これで、中東に続く、極東(東アジア)での、戦乱が避けられた。
ヒラリーたち(好戦派=ジンゴウイスト=。インターベンショニスト=外国への干渉主義者=。彼女につながる米国内のネオコン派、狂信的宗教諸団体、反共主義者たちの群れ)は、東アジアでも戦争を起こさせようとしている。
それの、先手を取って、オバマと習近平が動いた。
それで、安倍首相の北朝鮮の平壌(ピョンヤン)行きの話が、8月末に一気に消えた。
ロシアのプーチンを北方領土問題(平和条約締結)で、10月に日本に招く計画も失敗したから、安倍首相本人の敗北感は、相当なものである。
つまり安倍内閣の長期政権化は、なくなったのだ。
このように、オバマ と 習近平 が組むことで、北朝鮮(キム・ジョンウン体制) と 安倍政権が組むこと(ネオコン派の極東版。戦争開始勢力 ) を 阻止 した。
取り敢えず喜ばしいことだった。