水道事業の民営化 2 | きなこのブログ

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大阪市民はグローバル水企業(ウォーター・バロン)の存在に目を向けていただきたい
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2014/05/post-a5d4.html

前大田区議会議員の奈須りえさんは、2014年5月4日のブログ記事

「水道民営化 大阪市がひっそりパブコメ中。 その2◆水道事業の現状」
http://ameblo.jp/nasurie/entry-11840748271.html

で、大阪市の水道民営化について、なぜそれをやる必要があるのかについて、大阪市の現状分析を下記のように7つあげている。

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そこで、大阪市はなぜ、民営化しなければならないのか調べてみた。

すると、下記のような現状把握、分析をしていることがわかる


1.高齢化や人口減少で、⽔需要(収⼊源)が減る。需要増が見込めない。

2.需要に対し、施設規模が過剰になっている。事業エリアが市域に限定されるため、成⻑が⾒込めない。

3.水道管が古くなっているし、耐震化しなければならない から、更新に多額の費用が必要 (*自治体財政状況から債権を発行できない?)

4.人が多くて生産性・効率性が低い

5.これまで施設を借金で作ってきたので企業債残高が多い

6.国内水道事業は市町村単位で規模が小さいと技術者が不⾜等で、事業を持続することが難しい。

7.海外では、新興国を中心に水インフラの整備に関する需要が増大(市場規模87兆円)(*水ビジネス)


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上記をみると、運営上、公営ではさまざまな問題が山積し、早急な解決策が求められている、その唯一の方法が民営化であるということらしい。

大きく言えば、これは構図が竹中平蔵氏の単線的かつ二分画的な経済進歩史観とそっくりである。

竹中氏は、簡単に言えば、経済を進歩か停滞かという二分対置であらわし、進歩を構造改革推進、停滞を旧社会主義的な体制と位置付ける。

しかし、その本音は新自由主義か修正資本主義化という二者択一なのである。

これと同様に、水道の民営化も現状に山積するさまざまな無駄や老朽化、耐震化、財政状況の窮乏化などを理由に、その唯一の解決策が民営化だという方向に持って行く。

さて、今回は上記項目の7番目「海外では、新興国を中心に水インフラの整備に関する需要が増大(市場規模87兆円)(*水ビジネス)について考えたい。

今手元に、『世界の水が支配される!―グローバル水企業(ウオーター・バロン)の恐るべき実態』(作品社)という、2004年に出た一冊の本がある。(原著は2003年)

国際調査ジャーナリスト協会(ICIJ) の本で, 佐久間智子氏が翻訳したものである。

小泉構造改革を批判した内橋克人氏が本の帯に『身の毛もよだつ「戦慄すべき実態」』と書かれ、

帯の裏には「地球の水を利権に変える多国籍企業と水道民営化の実態」として、

新自由主義とグローバリゼーションが、私たちの生存に不可欠なライフラインまで容赦なく民営化して行く云々と書かれている。

国際調査ジャーナリスト協会(ICIJ)は、世界各地で起きている水の民営化によって、実際に何が起きているかを情報交換して、その凄まじい実態を浮き彫りにしている。

そこに存在するのはウォーター・バロンと呼ばれるグローバル水企業(水メジャー)である。

この本には世界各地で起きている水の民営化とこのグローバル水企業の関係について、とんでもない恐ろしい事実が書かれている。

大阪市が「.海外では、新興国を中心に水インフラの整備に関する需要が増大」と言っているとすれば、これは大嘘である。

この本によれば、

世界の水民営化は世界銀行が中心となり、国際通貨基金(IMF)、米州開発銀行、アジア開発銀行、欧州復興開発銀行などの国際機関が強く関与してこの趨勢を築いている

という。

したがって「新興国を中心に水インフラの整備に関する需要が増大」などという事実はなく、上記国際機関がグローバル水企業と結託して、開発途上国を中心とする水ビジネス、つまり水道の民営化を強力に推し進めているのである。

途上国ではこれらの国際金融機関が融資(資金供与)と引き換えに水道の「民営化」を義務付けているのだ。

つまり、各国の水道の民営化は、グローバリゼ―ションの一環として行われているものであり、バルジブラケットなどの巨大投資銀行や多国籍企業と同様に、収奪目的として展開されているのである。

これがいよいよわが国にも乗り込んできたと見るのが、大阪市水道事業民営化の背景なのである。

これがどれほど恐ろしいことであるか、大阪市民も国民全体も強く認識したほうがいい。

(追記:本文中に、『したがって「新興国を中心に水インフラの整備に関する需要が増大」などという事実はなく』と書いてしまったのは短絡的すぎるので補足説明が要る。

発展段階に応じて水インフラの需要があるのは当然なのだが、政府によるその需要喚起にはグローバル水企業によるロビー活動や政府要人の籠絡、エコノミックヒットマン(EHM)などの動きがあって進められているケースがある。

つまり、水道民営化のレールが「敷かれている」線上に、この水インフラ需要の喚起が喧伝されている場合が多いことを言った。

またどこぞの有名な御仁に揚げ足を取られて一週間もネチネチ陰湿にやられたら鬱陶しいから追記しておいた。

この御仁の言論人としての欺瞞は、来週半ばごろから実名でぼちぼち批判して行く。)



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