極東戦争へのアメリカの策動 6 | きなこのブログ

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日本を明るい未来へ…

10.7年前の安倍政権の第一次(2006年9月からの一年間)の時に、「中国包囲網」という戦略を組んだのは、ワルの外交官である、谷内正太郎(やちしょうたろう)だ。

このたび、国家安全保障局( 「日本版NSC」 )の局長という日本の国家情報のトップに就任して、その正体を露わした。

谷内は、7年前に「自由と繁栄の弧(こ)」という戦略をぶち上げた。

これは、中東世界までを包み込む、大きなアーチ型の地政学(ちせいがく)的な戦略図式である。

「日本の努力で、平和と安定を、遠く中東世界にまで及ぼす」とは、よくも言ったりである。

この「自由と繁栄の弧」とは、まさしく、日本の中国包囲網(ちゅうごくほういもう)のことである。

外務官僚の谷内が、無い知恵を絞って、このような、大風呂敷を敷いた。

そのあとの2008年から一年の麻生太郎内閣でも、この「自由と繁栄の弧」を吹き鳴らした。

そして、一昨年、2012年の12月からの安倍政権が、仕組まれたままに成立したら、

満を持して、

各省の幹部である同志たちと共に安倍の元に結集して、

官僚組織(オール霞ヶ関)が一体となって、

この「中国包囲網」という日本の独自の外交戦略の大綱を実行に移した。

この谷内正太郎の、「自由と繁栄の弧」は、1930年に出来た、かつての大東亜共栄圏(だいとうあきょうえいけん The Great East-Asia Co-prosperity Sphere ザ・グレイト・イースト・エイシア・コプロスペリティ・スフィア)」の 再来である。

果たしてこの日本の隠された外交戦略を、現在の世界( 諸国連合 ×「国連」 The U.N.)が許すか?

11. 谷内と安倍は、周囲の雑音も、アメリカらの懐疑の目も、なんのその、今も着々とこの「h自由と繁栄の弧」づくりを実行している。

そのために、安倍は、この1年2か月で30か国に出かけた。

ベトナムにも、ミャンマーにも、インドにも、そしてトルコやモンゴルにも出かけて、(その前に大臣たちを遣ってから)「日本が、新幹線(高速鉄道)と原発を、タダで上げますから、日本との同盟を大事にしてください」とこれらの各国の首脳を誑(たら)し込むことに精を出した。

一番最近は、インドにダメ押しに行った。

1月22日のスイスのダボス会議(世界経済フォーラム。世界の超(ちょう)財界人たちの会議。ビルダーバーグ会議の表側)で、靖国参拝で“針(はり)の莚(むしろ)”に座らされて、ヨーロッパ首脳たちからの、「日本は戦争を始める気か」疑惑の目で見られたのに、帰ってきたらすぐに予定通りインドに行った。

12.だから、この谷内の「自由と繁栄の弧」戦略で、7年間から、コツコツと、中国包囲網を築いて来た。

そのもう一つの大きな北側の「弧(こ)」が、ロシアの取り込みによる、ロシアと日本とでの“中国 挟(はさ)み撃ち“の戦略だ。

これが、私が、これまでに何回か報告した、サハリン(北樺太、からふと)の天然ガスのロシアからの、海底パイプラインの日本への直接の購入の商談だ。

プーチンは、この話に載ってきた。

だから、中央アジアのカザフスタンや、自分の家来であるモンゴルでの、日本の日立や東芝による原発作りにも反対しなくなっている。 

サハリンの天然ガスの日本への販売を起爆剤にして、シベリア開発をやりたいプーチンとしては、日本と組んで、「中国包囲網」の話に乗るのは、損なことではない。

だから、北方四島の「海の面積半分での2島返還」での話し合いを進めて、日ロの平和条約(=戦争終結条約)に持ち込むつもりだ。

13. ところが、年末から、急に起きた、安倍晋三の靖国参拝で、ロシアのプーチンもユーロッパ首脳たちの顔色を窺(うかが)っている。

ロシアは今、日本批判をしない。

ソチのオリンピックを無事、テロ事件なしで、乗り切りたいの一心だから、外国のトラブルに巻きこまれたくない。

ウクライナ問題だけで十分だ、と思っている。

ウクライナ人の中のヨーロッパ寄りの「自分たちウクライナ人は純粋白人で、モスクワ公国の時の、ルース=ロシア人たちが、モンゴル人(タタールの頸木=くびき=、韃靼人、蒙古人)に卑屈に屈服したのとは違うのだ」で騒いでいるので手一杯だ。

ロシア人自身も、出来ることなら自分たちもヨーロッパ白人文明の一一部だと自分たちのことを思いたい。

しかも、自分たちロシアは、第二次大戦の連合国側=連合諸国(=×国際連合)5大国(ファイブ・パーマネントメンバーズ。常任理事国)である。

日本のような敗戦国とは違うのだと、と当然に思ってる。

ロシアは、今は、中国とも長い国境線の貿易を仲良くやっている。

それでも、中国人が、どんどんロシア側に経済進出(=浸出、しんしゅつ。浸みだして来るように出てくる)ことを嫌がっている。

靖国問題が、一段落しないと、サハリンの天然ガス輸出と北方領土問題(平和条約締結)は動けない状態だ。

14.韓国の パク・クネ 大統領は、去年の就任以来、安倍晋三と反目し合っている。

日本国内に、韓国叩き、嫌韓(けんかん)、韓国嫌い、韓国蔑視の大きな流れが、週刊誌を中心に作られた。

今は、靖国参拝問題が起きたので、それどころではなくなった。

弱い者いじめの韓国(人)叩きなど、まともな人間がすることではない。

それでも深い長い歴史の中にある排外主義(ショービニズム)の感情の噴出であるから、これを簡単に止めることは出来ない。

パク・クネのアメリカやヨーロッパ諸国への「言いつけ」「告げ口」外交は、功を奏した。

日本は、日韓併合(1910年から1945年)や、戦争中のあれこれの所業での悪者になった。

世界中に日本国がやった行いの非人道は批判される。

事実であることは認めなければいけない。

そして、日本国内では、世界中で語られる日本(人)による残虐な行為の数々は語られない。

「自分の民族を貶(おとし)めるようなことは言いたくない」という、情緒、感情、気分に基づく判断だ。

「自分たちは間違っていない。悪いのは自分たちだけではない」という安倍晋三支持層の日本人の態度は、このあと、これからますます、日本を窮地に追い込むだろう。

韓国は、日本との竹島(韓国名、 独島、ドクト)問題で態度を硬化させて、それで、米・日・韓の 三国での軍事同盟で、いつでも暴発しそうな北朝鮮に対抗する軍事協定を作ることに反対して、アメリカを困らさているように見える。

韓国は、アメリカが買え、と言っている、TMD(ミサイル防衛網)を買わない、と言った。

サードも買わない。

そして、在韓米軍(2万人ぐらい)の撤退問題も先送りにしている。

朝鮮戦争の時の国連軍の司令官の地位を、アメリカ軍人から韓国人が引き継ぐ交渉も、ほったらかしにしている。

韓国は、アメリカ軍の韓国からの撤退を望んでいない。

韓国駐留のアメリカ軍は、今はもうソウル市の北方 (板門店、パンムンジョンの近く)には居なくて、南の釜山(プサン)にいるはずだ。

このアメリカ陸軍の第5軍(マッカーサー元帥が率いてきた)は、逆に、韓国の人質になっている、という感じだ。

14. バイデンは、12月3日(日本)、4,5日(中国)、6日(韓国)に来た時に、「自分は、中国と韓国と日本の、国境紛争の 仲介、仲裁の訳はしない」と、はっきりと言っている。

勝手の争えばいい、という腹(はら)だ。

アメリカは、困った、困った、「この地域(リージョン)の平和を乱すな」という振りをして、その実、バイデンは、今の極東の 事態を楽しんでいる。

あの、口を、ニーと横に開いて笑う、あの顔にそう書いている。

バイデンは、彼の、米軍の戦争への のめり込みを避けて、オフショア・バランシング戦略で、米軍をどんどん撤退させる戦略で動く。

だから、何かあったら、米軍を、まずその家族たちをさっさと韓国からも、そして、沖縄からも撤退させる作戦である。

だから、韓国としては、米軍を逃がさないで、韓国にまだ居させる、という戦略になる。

パク・クネが率いる韓国は、深く中国と連携している。

サムスンも中国およびその後背(こうはい)のユーラシアの大きな市場で生き延びようとしている。

韓国の対・大国(日本を入れて4つだ。中国、ロシア、日本、アメリカ)の生き残り戦略のは、今から冴えてくる。

それが分からないで、ただ単に、感情、気分、気持ち、情緒だけで、韓国嫌いで自分の頭が一杯の日本人は、うまく(うまく)されるだろう。

周りの動きを冷静に見れなくなって、傲慢(ごうまん)な態度で、相手を見下しているだけなら、やはり、歴史のあれこれお教訓からも、知恵の足りない方が負けだ。

私、副島隆彦は、すでに書いたが、「竹島は韓国にこころよく、差し上げるべきだ。そして、あの海域を仲良く、2国で共同開発すべきだ」論だ。

このことは今日は書かない。

15.セオドア・ルーズベルトという男が出現したのは、1901年からだ。

マッキンレー大統領が暗殺されて、副大統領から成り上がった。

アメリカ合衆国が、それまでの素晴らしい“デモクラシーの元祖”の国だったのがどんどん汚れ出したのは、このローズベルト(イギリスと、ボストン読みならローズベルトだ)の時からだ。

この時から、アメリカは世界を支配する悪い国に変身していった。

ルーズベルト大統領が、1904、5年の日本とロシアの日露戦争( The Russo- Japanese War )を、上手に仲介、仲裁して両国にポーツマス条約を結ばせた。 

そしてアメリカが漁夫の利を取った。

すべては深く仕組まれているのである。

この後、ロシア帝国(ロマノフ王朝)は滅んだ。

全く、同じ時期に、オスマン・トルコ帝国(アラブ人の中東全体を支配していた)も滅んだ。

ヨーロッパの帝国だったオーストリア=ハンガリー2重帝国も滅んだ(1914年)。

中国の大清帝国(満州人の清朝)も滅んだ。

そして、何と、あの大英帝国(ザ・コモンウエルス・オブ・ザ・ネイションズ)も、このあと実質的に滅んだのだ。

4つの帝国が、全く同じ時期に、バタバタと倒壊、滅亡したのである。

そしてこの地上にアメリカ帝国だけが残った。

こういう歴史の大きな真実を知り、深刻に思い至らないようなら、この世界ゲームは、私たち日本(人)は負けだ。

15.安倍晋三の靖国参拝は正しい。正しい反米感情の吐露だ。

ヤルタ=ポツダム体制の打破」。

「戦後レジームからの脱却(だっきゃく)」、

「東京裁判史観からの脱却」を、自分たちの内心の信念とし、執念として胸に刻んている者たちの、強い情念の現れた。

その意味において安倍の行動は、正しい。

そして、ボロを出した。

押し黙って、本心を語らず、もっと狡猾に動いて、「靖国参拝をあれほどするなと、私たちは言っただろ」と、自分を首相にした策略の最高責任者である、リチャード・アーミテージからも、 It's over . =
Abe is over . の愛想(あいそ)尽かしをされることなく、アメリカの裏をかいていたら、叔父の佐藤栄作並みの5年間の長期政権を作れただろうに。

それも、もう無くなった。

この5月まで持てば大したものだ。

「お腹(なか)を壊して、また政権放り投げ」というのだけは、勘弁してほしい。

それと、「非戦(戦争をしない)の誓いを新たにするために、私は靖国に参拝した」という言い訳じみた、ウソの言葉は、世界(中)は、理解しないし、説得されないから、やめた方がいい。 

それから、「死んだら、どんな人も、みな神になるのだから、皆で、拝めばいい」というのも、世界では通用しない。

16. それから、私、副島隆彦が大いに気に入らない、一点のことを、最後に書いておく。

それは、だから、安倍信三たちは、「第二次大戦の連合(諸)国=連合国側が、そのまま作った、今の世界体制、世界秩序が、私たちは気に入らない。脱却したい。これを壊したい」と、 正直に言うべきだ、ということだ。

右翼、愛国者であるなら、そのように世界に向かって、正直に言ってほしい。

それを言わないで、「戦争の起きない、平和の気持ちを新たにしたいから、自分たちは、靖国に参拝するのだ」という、歯の浮くようなウソを、言うから、私はお前たち、今の日本右翼 「ザ・カルト・オブ・靖国」勢力が嫌いなのだ。

16.世界に向かって、正直さがない。

「もう一度、戦争をやって、今度こそ、アメリカに勝って見せる」と、きっぱりと言うだけの人物、保守言論人がひとりもいない。

このことを私、副島隆彦は残念に思う。

だから、日本国民の中の、素朴な人々の「靖国に東条英機大将まで祀(まつ)って、何が悪いのだ。戦争で死んだだけでなく、アメリカの軍事裁判で、死刑にされて、絞首刑にされたのだ。だから、14柱のA級戦犯たちも、その霊、御霊(みたま)に参拝に行って、何が悪い」と、はっきりと言うべきだ。

そうすれば、安倍支持派の3割の国民の、鬱積した感情が、晴れ晴れとなる。

私は、そのように正直に、日本人の真心(まごころ)を赤心(せきしん)を、はっきりと言うなら、安倍信三は正しい、と考える。

「非戦の誓いを新たにするために参拝した」というウソは、世界中にではなく、同族であり、なんでも肌で感じて分かる同じ日本人に対するウソになる。だから、それはやめてほしい。

安倍晋三は、自分の内面と、燃え上がるような情念と、おのれの主観に置いては正しい。

しかし、その正しさにはどうしても、限界がある。

そこにあるのは、世界の大きさを知らない、恐るべき幼稚さであり、知能の低さだ。 

ここまで来ると、安倍晋三の己の主観での正しさは、やはり、感情、情緒、気分だけでの正しさだ。

生来の深い知恵の無い、人生の苦労を知らない、ボンボン息子で頭が悪いこういう人間を、指導者に頂(いただい)た国民の悲劇である。

本当に知恵のある人間を自分たちの指導者に持てない国民は哀(あわ)れである。

その末路は今のうちから、もう見えてきた、と私は言うしかない。  


極東戦争へのアメリカの策動 5


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