日本の医療現場の混乱 2 | きなこのブログ

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大失業時代が到来しています。大失業の恐ろしさを歴史から学ばなければならない。『大失業は戦争への道につながっている』

日本を明るい未来へ…

(『医療ビジネスの闇』あとがき:ここから)


おわりに 進化する脳―免疫系の功罪


今、世界は1%の支配者と99%の貧困層に分極しています。


世界の自然科学を含めたものの判断基準もまた同じく大きくふたつに分かれています。


ひとつはアメリカを中心とした「科学主義(エビデンス主義)」。


もうひとつはEUを中心とした「予防原則主義」です。


前者は科学的なデータに基づくという建前のもと、そのデータ以外の危険性や生態系に及ぼす影響は無視します。


データが「神(ゴッド)」です。


後者は、データで分からない危険性をある程度のマージン(幅)をもって対処しておこうという考え方です。


ですから、もっと分かりやすい言葉に置き換えると、前者の科学主義とは「知識」、そして後者の予防原則主義とは「知恵」と考えてもらえればよいでしょう。


現在、日本でも「放射能」あるいは「遺伝子組み換え食品」の危険に関して真っ二つに意見が分裂しています。


「科学主義」の立場をとる人は、実証された事実(エビデンス)がないのであれば何ら心配することはないと主張します。


彼らの主張は、自分たちが目先の損得勘定をするなら、少々のリスクは99%の弱者に押しつけておけばよいとなるでしょうか。


一方、「予防原則主義」の立場をとる人は、まだ時の試練を経ていない、新しく分からないものに関しては、慎重に対応しなければならないと主張します。


それは、後から甚大な影響が分かったときには、すでに生態系に与えた影響は取り返しがつかないし、複雑系の世界では結果がどのようなものになるのかまったく予想もつかないからです。


本書で詳述しましたように、「科学主義」の依拠するデータそのものが、1%の権力者たちによって操作可能でかつ恣意的であり、しかも不安定なものであることを考えると、今後私たちは、自分たちに突きつけられるさまざまな問題に対して「知識」か、あるいは「知恵」のどちらで対処すべきかは、自ずと答えが出てくるでしょう。


しかし、この科学主義の不安定さはいったいどこから生まれてくるのでしょうか。


環境の情報を取り込み、常に変化させていく進化の最先端は、私たちの脳―免疫系です。


脳は文字情報も含め、さまざまな情報を処理し、その情報をもとに行動します。


免疫系は外界の異物情報をとらえて、異物に適合する抗体や免疫反応を作り上げていきます。


じつは、脳―免疫は互いに分かちがたく結びついていて、互いに影響を及ぼし合っています(このことを学問的に研究している分野を「精神神経免疫学」といいます)。


この融通性があるために、私たちは環境に柔軟に適応できる能力を獲得しました。


しかし、融通が利きすぎるのは、同時に不安定さを内に抱えるという副作用を生みます。


それでも脳を使って、人類はエネルギーを大量に投入することで、寿命を倍に延ばすことも可能になりました。


寒ければ暖房、暑ければ冷房、そして感染症を防ぐような衛生システム、重労働から解放された快適なライフスタイル。


こうしたものは、大量にエネルギーを消費することで成り立ちます。


しかし、その脳の発達によって原爆、原発、化学物質といった、かつて生命体が経験していない、つまり従来のシステムでは対処できない人工的な放射線核種に代表される人工化合物を大量に作ることになりました。


現在、それらを根本的に処理する方法を開発できないため、将来、人類は自分が生み出したモンスターに滅ぼされることになるでしょう。


なぜなら、自らが地球上で生み出した人工化合物は、必ず循環して自分たちの体に入ってくるからです。


この大きな自然の法則には、人類を含めた生命体は逆らえません。


免疫も同じです。


経験したことのない人工的な放射線核種や化学物質によって引き起こされるフリーラジカルによる身体の慢性炎症は、とどまることがありません。


慢性炎症はガン、脳・心臓血管障害を含め、さまざまな心身不調を引き起こし、私たちを病に陥れ、そして滅ぼしていきます。


人間はこの進化の最先端である高度な脳―免疫システムを持つがゆえに、地球の生命体の頂点に君臨したかに見えたのですが、その片方で自らの刃で自分の体を切り裂いてしまっているのです。


このような暴走はもはや止めることができません。


それは根源的に不安定な人間の大脳のシステムにかかわるものだからです。


その不安定な大脳システムの代表が「肥大した欲(グリード)」です。


人類にしか見られない肥大した欲のために、人間は自分たちの将来にとって致命傷になることでも喜んでやります。


それは近代資本主義という〝スーパーモンスター〟を生み出しました。


医療もその延長線上にあることは、ロックフェラーがアメリカ医療をもって証明してくれました。


そして、近代資本主義の行きつく先が、現在の私たちの国家の政府、あるいは世界の財閥の、目も当てられないようなおびただしい暴挙なのです。


これを特に、金融で世界を股にかけて金儲けするユダヤ人などは「合理性」というような言葉で説明しますが、なんのことはない、不安定な人間の大脳のシステムそのものを指しているのです。


近代学問や近代資本主義というものが、このような不安定な大脳に全幅の信頼を寄せ、基礎としている以上、その土台は著しく不安定です。


決して人類その他の生命体が、安心して命を全うできるようなシステムではないのです。


そして残念ながら、私たちはこの不安定な大脳が作り出した不安定なシステムの終点に確実に近づいているのです。


自分たちの体が自分たちの刃で引き裂かれ、死滅するまでこの刃は振り下ろされ続けるでしょう。


もはや肥大した欲が生み出したさまざまなシステム(=刃)は、これから私たちを幸福にすることもなければ、救うこともありません。


この刃を止めるのは、もはや何の財力も権力もない99%の私たちひとりひとりの「知恵」しかいないことをお伝えして、この本の結語としたいと思います。


2012年1月
崎谷博征


(『医療ビジネスの闇』あとがき:ここまで)



急坂転げ始めた日本の出生数