アメリカのデリバティブの契約残高は、ピーク時に全取引で総額8京円(800兆ドル)あった。
それを「解かし合い」(契約の解消)でどんどん減らしていった。
今も必死で減らしつつある。
金融取引そのものを、もともとなかったことにし、どんどん帳簿から残高を消した。
( アメリカの連邦政府の謝金も5500兆円以上ある。)
そして精算取引を行って、いろいろの手持ちの金融商品を投げ売り(実損2~3割覚悟)する。
そして実需の3~4倍のところまで、仮需の全体像としての銀行の総資産を減らしつつある。
それもまだデリバティブの取引残高は全体で600兆ドル(6京円)あり、200兆ドル(2京円)ぐらいが処理されずに残っている。
6京円とは「6000兆円の10倍」である。
このあと不良債権処理で、実質として身を切られる思いで、それの1~2割を絶対に解決しなければいけない。
とすれば、それは4000兆円ぐらいは処理する必要があるということだ。
日本はバブル崩壊後の不良債権処理で、この処理手法を使った。
アメリカの間接的命令で無理やり処理された。
日本は総額で200兆円の銀行不良債権を、血だらけになりながら2001年~2007年までに解決したのである。
このうちの半分が公的資金が投入された分の100兆円である。
そのために 竹中平蔵 と 小泉純一郎 が アメリカに抜擢 され、切り込み隊長として投入された。
この不良債権処理の過程で、多くの銀行や大企業を容赦なく潰していった。
「ゾンビ企業」とか、とても日本人が使わないような言葉を彼らは平気で使って、不必要に潰した。
旧長銀(新生銀行)や、
旧日債銀などの大銀行以外にも、
西部 や ダイエー やミサワホームのようなところが「産業再生機構」(企業強制収容所)に送られて、無理やり処理された。
日本は過去15年間で、真水の200兆円以外に、おそらく2000兆円ぐらいの計約残高を消した。
それでもまだよかった。
日本バブルの大半が不動産バブルだったから、不動産市場に流れ込んだ過剰流動性(脂肪のような余分なお金)が破裂しただけであり、それを解決すればよかった。
生産設備や実物での流通システムなど、不動産以外の経済部門は傷んでいなかった。
ここが今のアメリカのデリバティブ・バブル崩壊と決定的に違うのである。
アメリカの場合は、デリバティブという、巨大なお化けのような巨額のお金(実体がない)を作ってしまった。
それらは「証券化商品」とか「債権担保証券」と訳された複雑奇怪な金融商品である。
売っている証券マンやエコノミストたちでさえ、仕組み(組成)がよく分からない金融商品である。
そのために大爆発したが、アメリカがこれから消さなければいけない、“お化け金融取引”の総額は200兆ドル(2京円)ぐらいある。
そのうち10分の1の実質の量(金額)でおよそ2000兆円、最高で4000兆円ぐらいを片づけなければならない。
アメリカはこれまでにまだ400兆円(4兆ドル)しか片づけていない。
だからアメリカはこれから地獄が押し寄せるのだ。
アメリカがこのあと10年で、最低で2000兆円、最高で4000兆円を処理するためには、1ドル=10円にすると、ちょうど理屈が合うのである。
1ドル=100円を、10分の1にする。
すなわちデノミレーション(通過切り下げ)を行う。
そうすると魔法の手品にかかって、対外債務の分は実質10分の1に減らされるのだ。
アメリカは対外債務が総額で4000兆円(40兆ドル)ぐらいあるだろうから、その返済負担が1ドル=10円になると10分の1で済む。
すなわち4000兆円が400兆円の債務返済で済むのである。
そんなこと信じられないという人がいるが、そのうち納得する。
そしてそれは、ヒラリークリントンが行うだろう。
この4000兆円のうちの800兆円は、対日本(日本からの借金)である。
日本からアメリカにドル建てで流れ込んでいる資金の合計は800兆円にもなっている。
この日本からの融資金(米国債など)が、デノミで10分の1の80兆円になるから、それを返せばいいことになる。
貸した金を急に、アメリカの都合で10分の1に棒引きされ、「10分の1に切り下げた(新ドル)でしか払わない」と宣言されたら、貸し国である諸国家は怒り狂う。
しかし、借主の政府に居直られ、「うちは実質、破産しました。ゴメンな」でデノミ宣言されたら、結局、その現状をのむしかない。
お金は貸した人が最後は泣くのである。
このような米ドル価格の大変動は2012年に堂々と行われるだろう。 (ヒラリーファシズム)
この金融核爆弾の破裂で大損したのは農林中金である。
農林中金は破綻する前のリーマン・ブラザーズの倒産リスク金融商品(CDS)をAIGが組み立てて農林中金に売っていた。
ところがリーマン・ブラザーズはきれいさっぱり潰れてしまった。
いくら農協(JAグループ。128兆円の資金量)と農水省官僚組織をバックにする日本最大の金融勢力と言ってみても、国際的な外債への投資による15兆円から20兆円の損失額はあまりに大きすぎる。
投資を行った上野博史理事長は2009年3月に突然、辞任し、逃げた。
高谷正伸専務理事も2009年6月に農林中金から子会社に天下りし、逃げた。
腐敗しきった農協幹部組織(全中。全国農業協同組合中央会))と農林中金の責任をいい加減では済まさないだろう。
今のうちに取り除いておかないと、迫り来るアメリカ発大恐慌に対応できなくなってしまう。