デタラメ映画批評 Vol.45 | 不思議戦隊★キンザザ

デタラメ映画批評 Vol.45

どーも久しぶりであります。全然デタラメ映画批評してねーからなんも観てねーのかというと特にそんなこともなく、日々なにかしらの映画をちまちまと観てることは前と同じなのですが、もういちいちレビュー書くのが面倒になってきちまって、そもそもブログをどーにかする時間がなくなってきて、あーどうしようあーどうしようと思うだけでなにもせず今に至るワケであります。

そんでですね、アレですよ、脚本賞を受賞した「落下の解剖学」を見たのでありますよ。会社の映画男子に最近なに見た?って聞かれたので「落下の解剖学」と答えたら「え、ラッコの解剖?」と言われ、サキちゃんに落下の解剖学を勧めたら「ラッコの解剖?いくらなんでも」と言われ、ムッシューにも「ラッコの解剖?どうして」と言われたであります。もしかして自分が観たのは落下の解剖学ではなくラッコの解剖だったのだろうか?なにこのデタラメ。

というわけでデタラメ映画批評であります。

 

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

 

実話ベースだがシリアス過ぎずノワール過ぎず、重くなくテンポが良い。BGMはゴキゲンな60年代のヒット曲、主人公のフランクはパイロットや医者のなりすまし詐欺で大金を稼ぐ。父親が事業で失敗し一家離散、カネさえあれば元の幸せな家族に戻れると信じた子供らしい理由である。普通(というのも変だが)ならカツアゲや万引きなどのセコイ悪事へ走るものだが、フランクはいきなりパイロットに成りすまして成功するのである。あまりにも派出な詐欺っぷりからFBI捜査官に目を付けられる。

 

名作ですね

 

当時28歳のディカプが16歳から20代前半の主人公を演じて完璧である。いやもう、いちいち「その年頃」の演技がスゴイ。天才か。タイトルがこれ以上ないほど相応しい。最高の娯楽作品。

 

ディパーテッド

 

ディカプはチンピラを装ってギャング組織へ潜入する警官役。全体的にノワールフィルムの体裁でシリアスに進む。いつバレるか、誰にバレるか、黒幕に辿り着くのと身分がバレるのがどっちが先か、どうやって落とし前をつけるかという緊張感がありサスペンスとしてのレベルが高い。

 

ディカプって演技上手いんすね

 

日本では囮捜査、潜入捜査は確か御法度のはずである。潜入先のメンバーと犯罪を起こす可能性があるし命の危険もあるからだ。そのかわり尾行と監視の能力が高い。これが文化の違いというものか。

 

ブラッド・ダイヤモンド

 

ダイヤモンドを巡る紛争が後を絶たない。ダイヤ産出国はだいたい貧乏なので不当に人員を雇って(主に誘拐)ダイヤを掘らせ、高く買う業者に売りつけて武器を購入、武装して独裁政権を狙う。って、よくもまあ飽きもせず同じよーなことを何度も何度もやってるなあ、と呆れるけど、呆れるのは当事者ではないからで、貧乏な国は教育よりも武器購入と汚職に精を出す。どうしてかというと教育がないからである。かといって国連が下手に手は出せない。貧乏国家にも主権があるからだ。じゃあどうすればいいんだよ?ってなことを無限に考えてしまって疲れる。

 

面白くないこともない

 

で、内容は、まあそういう話で、ディカプはダイヤ密輸入業者でカネにさえなればダイヤが汚れていようが血まみれだろうが意に介さない。はずだったが、実際に現場の当事者になってしまって目が覚める。やっぱ当事者にならないと厳しい問題なのか。

 

シャッター アイランド

 

連邦保安官のダニエルは同僚とふたりで離島の精神病院を訪れる。行方不明となった患者の捜査のためである。患者に聞き取りを行ううち、なにが本当なのか誰が嘘をついているのかわからなくなってくる。確かに嘘があるはずなのに、嘘をついているのが誰か、どれが嘘なのか分からない。ダニエルの記憶が徐々に混濁していく。

 

サスペンス要素が効いてる

 

良くできたサイコサスペンス。重厚な雰囲気が精神病院というシチュエーションに合っている。正気に戻ったかに思えた患者が、また狂ったのか、それとも正気のまま狂人を演じているのか不明なラストがまた良い。

 

ウルフ・オブ・ウォールストリート

 

デカい家に住んで高い車を乗り回したい。ブランドのスーツを着ていい暮らしがしたい。金持ちになりたい。そう願っている悪知恵の働く無鉄砲男がやることはただひとつ。詐欺である。ただの詐欺ではない。投資会社をつくって会社ぐるみで金融詐欺に精を出す。

 

文句なし!

 

ディカプが演じる主人公フランクにはモデルがいる。実話ベースの作品である。実話だとただのメリケン成金のテンプレートに過ぎないだろうが、そこはスコセッシ&ディカプの黄金コンビ、軽やかに成り上がり情けなく凋落していくさまをイキイキと下品に演じるディカプが、まさにエンターテインメント。

ディカプはこういった現実離れしてノリの良い作品が一番似合うと思う。

 

レヴェナント: 蘇えりし者

 

熊に襲われ息子を殺され仲間に見捨てられた山岳ガイド(?)が、過酷なサバイバルを生き抜いて復讐する話。実話ベースのフィクション。

最初から最後までシリアス。いいヤツ、いやなヤツが役割分担され、最後にきっちり復讐で終わる。好きなひとには琴線に触れるかも知れんが、重すぎるのと意外性のなさでマダムの好みではなかった。

 

途中で寝てもーた

 

ユージュアル・サスペクツ

 

麻薬密輸船の爆発炎上事件から浮かび上がる組織の黒幕カイザー・ソゼ。誰も彼の素顔を見たことがないという。なぜなら素顔を知った人物はことごとく殺されているからだ。手がかりは爆発事件で生き残った詐欺師の証言のみ。カイザー・ソゼはいつから密輸船爆発を計画していたのか?計画はどこまで拡がっていたのか?計画に終わりはあるのか?果たしてカイザー・ソゼの素性を明らかにすることは出来るか?

 

これも名作

 

面白かった!カイザー・ソゼの謎が最後の最後まで続く。カイザー・ソゼの素性が一気に明らかになるラストが小気味よい。おわあ、やられたああああ!というどんでん返し。良作。

 

ファンタスティック・プラネット

 

カルト作品として名高い1973年のフランス製アニメ。フランス国内ではもう伝説。フランス語教室で今作品のことを口走っただけで講師どもが喰いついてきて如何に素晴らしいか、どれほどの影響を与えたかということをフランス人特有の早口とオーバーアクションで力説させるほどの偉大なるアニメ作品。

 

これはもうアートの範疇

 

なにがスゴイってヒエロニムス・ボッシュのようなシュールで幻想的な画風であろうか。とにかく目の保養になる。いつまでも見ていられる。レベルが高いとか、そういう次元じゃない。ステージが違う。現代でも全く古臭くない。他に比較できる作品が見当たらない。アニメだけど、ちゃんとアートをバックボーンにしている深さが見える。後世に残そうと思わなくても、勝手に後世に残る力を持った作品。マジ素晴らしい。

 

義足のボクサー GENSAN PUNCH

 

義足のボクサーが日本ではプロのライセンスが取れないので、フィリピンでライセンス取得を目指す話。ドキュメンタリーかと見紛うほどの完成度の高さ。大した事件は起こらないように見えて、そこそこ山場はある。しかしそれを必要以上にドラマティックに描かないところがドキュメンタリーのような本気度を感じさせる。

大げさなBGMがないのが良い。淡々さが良い。フィリピンの日常生活の中でボクシングをしてるのが良い。誠実な作品だと思った。面白かった。

 

フィリピン映画の実力

 

エクスペンダブルズ ニューブラッド

 

最強の消耗品軍団が帰ってきた!ガバガバプロットなんて気にしない!筋肉と爆発と銃撃戦で大暴れ!それでいい、それでいいんだ!

 

有名どころでカネ稼ぎ感は否めない

 

前作からほぼ10年を経ての新作。みんな歳を取った。シュワちゃんはいないしブルースも引退、でも大丈夫。スタローンさえスクリーンで拝めれば。ただし最初と最後だけ。中盤のずっと続く作戦にスタローンはワケあって出てこない。でも大丈夫。ここぞというときに登場するから!その登場も「やっぱりな!生きてると思ったぜ!」というファンの期待に応える完全ご都合主義!これが娯楽映画ってもんだ!

次回作は厳しいかな・・・。この手が使えるのは一回限りだよな・・・。

 

落下の解剖学

 

雪山の山荘で男が転落死、男の妻に殺人容疑がかかり、唯一の証人は視覚障害のある11歳の息子。というポスターに書かれた文句通りだが、内容は事件そのものではない。法廷劇であり心理劇である。

殺人容疑を受けた妻は法廷で私生活が暴かれていく。いままで隠していたもの、自覚なき害意が露見する。無実を勝ち取っても、それまでの事実を消すことが出来ない。

 

見応えがあった

 

ひとがふたり以上集まると、そこには必ず軋轢が生じる。カップルであれば猶更だ。軋轢の理由は様々あるが軋轢の深さは日によって深くなったり浅くなったりする。力関係も一方向ではなく、今日は自分、明日は相手といったように揺れる。愛情だって同じで、片思いだったり両想いだったり無関心だったりする。ずっと同じ感情愛情レベルを持続するのは難しい。良い関係を保つにはお互いに努力が必要なのだ。それは夫婦間であってもだ。

相手の落ち度を担保にして、常に自分に選択肢が優先されることは絶対にない。しかし我々はそれを忘れがちである。忘れたふりをして計算している部分もある。どこかで修復できれば最悪な展開は回避できるかもしれないが、そこにもまた努力が必要なのである。人間関係とは、かくも難しいものなのだ。感情の匙加減ひとつで関係は簡単に崩壊する。

 

観賞しながら皮膚が剥がされていくようなヒリヒリした感覚がハンパない。なぜなら夫婦間の感情の揺れにマダムも覚えがあるからだ。たぶん、誰にだって覚えがあるはずだ。静かで恐ろしい作品であった。

今作品を観賞したのは週末の午後だったが客層に年配のご夫婦が多く、これ観た後にどんな会話をするのかと思って背筋が凍った。夫婦での観賞はおススメしない。

 

ゴールデンカムイ

 

漫画原作の娯楽作品。漫画未読、事前情報なしに観賞したが良く出来ていて面白かった。邦画にありがちな湿っぽさ、間合いの長さ、説明調の独白が一切なかったのが素晴らしい。代わりにテンポの良さノリの良さがあり、近年稀にみる出来の邦画作品であった。ついでに舘ひろしがカッコ良すぎてビックリした。いやあ、邦画もやれば出来るじゃねえか。ただto be continuedとなったのに肩透かしを食らった。原作が長すぎるからか。読んでないけど。

 

全く長さを感じさせない良作

 

ところで今作品を観賞したのは新所沢レッツシネパークである。こたつ席があるということで遠かったけど行ってみた。

 

コタツは電源入れる代わりに湯たんぽが

 

レッツシネパークの閉館前日、ギリギリこたつ席に間に合った。初めて行ったが手作り感溢れる映画館で地元の方々が名残惜しそうに写真を撮ったりしていた。地元に愛された映画館だったことが伝わってきて行って良かったと思う。

 

映画愛溢れるエントランス

 

スタッフの手作りらしい

 

作品に合わせて作成してきたみたいです

 

壁画の中央にゴジラさんが!

 

作品で使用されたアイテムも展示

 

味わい深い

 

アーガイル

 

スパイ小説家とスパイ組織とスパイ組織を裏切った元スパイが入り乱れてどこかに誰かが隠したUSBを狙う椅子取りゲーム。小説のスパイと現実のスパイのギャップが微笑をそそる。小説のスパイはスタイリッシュでカッコ良いのに、現実のスパイはなんか微妙だよね、みたいな。そこがたまらなく良い。気を抜くことなく、しかし適度に笑いを取りつつ最後まで飽きさせない巧みな構成がまた素晴らしい。

 

痛快アクション、英国風味

 

マシュー・ヴォーンが戻ってきた!それもキックアス、キングスマンあたりのノリが!前作のキングスマン ファーストエージェントでは少々シリアスなプロットで社会派に色気を出してきたかと思われたが、今作品にシリアスは皆無。荒唐無稽なポップさを前面にしてゴージャスでエキサイティング。あ、監督はいつだってゴージャスでエキサイティングだったわ。

スパイ小説のスパイ役にヘンリー・カヴィルを充てた監督に敬意を表したい。やっぱ監督は英国人だけあってポリコレにかぶれて内心の自由にまで踏み込み始めたハリウッドとは一線を画すわ。そこに英国人の矜持を感じるわ。クラウディア・シファーを嫁に持つだけあるわ。監督の全ての作品には監督の人柄が現れてる気がする。好き。

 

さてそろそろオッペンハイマーが公開される。前売りも買ったし準備はいつでもオッケーだ。あっ、その前にDUNE2も観ないとな。あっ、その前に前作のDUNEも見直しておいた方がいいかな。あとアフリカン・カンフーナチス2と温泉シャークも封切られたら観ないとな。映画館でやってくれるかな。