平成23年度税制改正案は、法案が2つに分割されて、そのうち一方の「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律」については6月22日に成立し、6月30日に公布・施行されました。

この法律は必要最小限の部分に限定しての改正です。


税制を大幅に変更する法案は、「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」とされました。相続税や贈与税の改正案も含まれています。

こちらの法案は、8月までの国会では成立しませんでした。


継続審議とされ、次回の国会で引き続き審議されることになりました。


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平成23年度税制改正大綱によると、贈与税の改正の概要は次の通りです。


①贈与税の税率構造

20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合とそれ以外の場合で、適用する税率が異なります。


「20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合」とは、「子や孫やひ孫等で20歳以上の者への贈与の場合」と言い換えることができます。


名古屋の税理士木村のブログ-贈与税の税率構造H23改正案


②相続時精算課税贈与の対象者要件の緩和
 受贈者の範囲は、従来は20歳以上の子(推定相続人を含む)でしたが、20歳以上の孫が追加になります。


 贈与者の年齢は、従来は「65歳以上」でしたが「60歳以上」に引き下げます。



(注)改正案が国会で可決されると、平成23年1月1日以後におこなわれた贈与にさかのぼって適用されます。


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平成23年度税制改正案によると相続税は増税になります。

その影響額を計算してみました。


【1】法定相続人が配偶者と子供2人の場合(法定相続人は3人)
        改正前     改正案   
基礎控除額  8,000万円    4,800万円


       相続税額   相続税額
相続財産額  改正前    改正案    増税額
5,000万円    0円    20万円   20万円
6,000万円    0円    120万円   120万円
7,000万円    0円    225万円   225万円
8,000万円    0円    350万円   350万円
9,000万円   100万円    480万円   380万円
1億円    200万円    630万円   430万円
1億5千円   925万円   1,495万円   570万円
2億円   1,900万円   2,700万円   800万円
3億円   4,600万円   5,720万円  1,120万円
5億円  1億1700万円  1億3100万円  1,410万円
10億円  3億3300万円  3億5620万円  2,320万円
(配偶者の税額軽減適用前の税額です)
(配偶者が50%相続する場合は上記の50%の税額になります)



【2】法定相続人が子供2人の場合(法定相続人は2人)
        改正前     改正案   
基礎控除額  7,000万円    4,200万円


       相続税額   相続税額
相続財産額  改正前    改正案    増税額
5,000万円    0円    80万円   80万円
6,000万円    0円    180万円   180万円
7,000万円    0円    320万円   320万円
8,000万円   100万円    470万円   370万円
9,000万円   200万円    620万円   420万円
1億円    350万円    770万円   420万円
1億5千円  1,200万円   1,840万円   640万円
2億円   2,500万円   3,340万円   840万円
3億円   5,800万円   6,920万円  1,120万円
5億円  1億3800万円  1億5210万円  1,410万円
10億円  3億7100万円  3億9500万円  2,400万円


相続税の影響が気になる方は、お気軽にお問い合わせください。


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平成23年は相続税等が改正される見込みです。


平成23年度税制改正大綱によると、改正の概要は次の通りです。


平成23年3月31日までに改正案が国会で可決されると、平成23年4月1日以後に亡くなられた方の相続等に適用されます。


①相続税の基礎控除額

 現行 :5千万円+1千万円×法定相続人の人数
 改正案:3千万円+6百万円×法定相続人の人数


②相続税の税率構造
名古屋の税理士木村のブログ-相続税税率構造改正案H23年


③死亡保険金の非課税限度額
 現行:法定相続人の数 × 500万円
 改正案:法定相続人(未成年者・障害者・被相続人の同一生計者に限る)の数 × 500万円


④未成年者控除(年6万円→年10万円)・障害者控除(障害者は年6万円→年10万円、
 特別障害者は年12万円→年20万円)の増額


(注) ①~④の改正は、平成23年4月1日以後の相続等に適用

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法定相続分の割合は、死亡時期の民法に規定されている割合によります。

過去に死亡している人の相続では、法定相続分が異なることがあります。



現在の法定相続分は、次の通りです。


相続人が子と配偶者の場合:子(全員で)1/2・配偶者1/2
相続人が父母と配偶者の場合:父母(全員で)1/3・配偶者2/3
相続人が兄弟姉妹と配偶者の場合:兄弟姉妹(全員で)1/4・配偶者3/4



この割合は、しばらく改正されていないのですが、昭和55年12月31日以前に死亡している人の相続については、上記の割合と異なるので注意が必要です。



昭和55年12月31日以前に披相続人が死亡ている場合


相続人が子と配偶者の場合:子(全員で)2/3・配偶者1/3
相続人が父母と配偶者の場合:父母(全員で)1/2・配偶者1/2
相続人が兄弟姉妹と配偶者の場合:兄弟姉妹(全員で)1/3・配偶者2/3


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相続で農地を取得した場合には、地域の農業委員会へ「農地法第3条の3第1項の規定による届出書」の届出が必要になりました。


届出をしなかったり、虚偽の届出をした者は、10万円以下の過料に処せられます。


届出が必要なのは、相続(遺産分割及び包括遺贈を含む。)、法人の合併・分割、時効等による農地法の許可を経ないで農地に関する権利を取得した場合です。


この届出は、平成21年12月15日以降に権利者の変動があった際必要となります。

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相続税の基礎控除額は、バブル期の資産価値上昇を受けて、昭和63年~平成6年頃に大幅に引き上げられました。


昭和62年以前
2000万円+400万円×法定相続人の数
(法定相続人が3人の場合:3200万円)


昭和63年~平成3年
4000万円+800万円×法定相続人の数
(法定相続人が3人の場合:6400万円)


平成4年~平成5年
4800万円+950万円×法定相続人の数
(法定相続人が3人の場合:7650万円)


平成6年~平成22年
5000万円+1000万円×法定相続人の数
(法定相続人が3人の場合:8000万円)



土地価格は、平成3年にピークを付けてから、大幅に低下しています。
たとえば、三大圏住宅地の地価公示は、昭和58年を100とすると、平成3年に262まで上昇した後に下落に転じ、平成22年には104まで低下しています。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/142.htm


近年は資産価値が低下しているにもかかわらず相続税の基礎控除額は平成6年以降据え置かれています。
平成23年税制改正において基礎控除額の縮小が検討されています。


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源泉所得税の納期特例制度を選択している方は、1月から6月の源泉所得税の納付期限が7月12日です。
忘れないように納税してくださいね。


源泉所得税の納期特例制度とは、給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者(給与を支払う個人事業主や法人)が選択できる制度で、本来は給与支払日の翌月10日までが源泉所得税の納付期限であるものを、1月から6月の半年間分を7月10日、7月から12月の半年分を翌年1月10日までに納付期限を変更してもらう制度です。


「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出すると、提出の翌月から適用を受けることができます。


なお、さらに「納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」も提出すると、翌年1月10日の納付期限が翌年1月20日になります。

年末調整の作業が必要なので念のため提出しておいた方が安心です。


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贈与契約書には印紙を貼る必要があるかどうかのご質問を頂きました。


贈与する財産によって異なります。

現金や株式を贈与する場合は、印紙を貼る必要はありません。


土地建物などの場合は、印紙を貼る必要があります。


ただし、土地建物の価値が高額であったとしても、高額な印紙を貼る必要はありません。

「契約金額の記載がないもの」に該当するため、印紙の金額は200円になります。


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生命保険金は、相続税の課税対象になりますが、通常の遺産とは異なる扱いになっています。



被相続人の死亡により相続人が生命保険金を取得した場合には、法定相続人の人数×500万円までの金額は、相続税が非課税になります。


法定相続人が3名の場合は、500万円×3名=1500万円までが非課税になります。

(法定相続人とは相続の放棄が無かった場合の相続人です)



相続を放棄した場合であっても、生命保険金については、指定された受取人が受け取ることができます。

事業上の債務が多額にあった場合などには、相続放棄によって通常の遺産は受け取ることができなくなしますが、生命保険金は受け取ることができますから、ご遺族の生活維持のために役立ちます。


ただし、相続を放棄した場合には、受け取った生命保険金について、相続税の非課税制度の適用はできません。


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