■コロナ禍がもたらす新時代の終の棲家とは - 高齢者が安心でき、生きがいを感じられる環境づくりを考える

 

皆さまこんにちは、
木村義雄です。

梅雨明けからグッと気温が上がり、
全国的に暑い日が続いています。
今年は残暑も長く、厳しい暑さが続くとの
予報も出ています。
外出時はもちろん、自宅にいても
水分補給や涼しい場所での休憩を怠らず、
体調に留意しながらこの夏を乗り切りましょう。

今回のメルマガは、
コロナ禍によって変わりつつある生活様式を
ベースにした、高齢者や要介護者が
安心して暮らせる終の棲家の必要性について
私なりの見解と意見をお伝えいたします。

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コロナによって変革を求められる
新時代の介護をどう考えるか
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新型コロナをきっかけにテレワークなどの
新しい働き方や暮らし方が広がりつつある中、
人々の住む都市また地域をICTの
新技術を活用し大都市過密地帯から離れて
新しく作り直そうという、
スマートシティー構想が注目されています。

また、最近ではそこに健康長寿や農業も
加味された「アナログスマートシティ」の
構想が追加されました。

さらにもう1歩進めてコロナ禍新時代の高齢者と
家族の暮らしやすさを考えた
終の棲家・終の村(=ビレッジ)の構想も
浮かび上がってきました。

現状の日本の高齢者介護施設は
単体の“ハコモノ主義”です。
介護保険法の成立時に介護施設の不足解消のために
ゴールドプラン・新ゴールドプランを作成し、
特別養護老人ホーム・老健施設・
サービス付き高齢者住宅(サ高住)等を
大量に建設させました。

相変わらずの質より量を取った政策であり、
昔ながらのハコモノ中心主義です。
本来であれば高齢になればなるほど
家族と共に暮らすのが理想ですが、
住居が狭いからといって、高齢者は割合安易に
老人ホームに追いやられるのが
現在の介護保険制度の負の側面です。

そうなるとどうしても日本の介護施設は
狭隘で姨捨山的な要素が強く、
入居したらここが『最後の場所か』として暗たんたる
気持ちになる人も多く見られます。

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家族や社会との繋がりを重視し、
健康的な暮らしが出来る環境作りを
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現在日本はコロナ禍で一極集中の是正、
地方移転・テレワーク・スマートシティ等、
働き方や暮らしに変化が生じてきました。

これを機会として要介護者を狭い空間に
閉じ込めておくのではなく、家族と共に
健康的に暮らすことのできる、広いビレッジを
作るべきではないかと考えています。

このビレッジ内では元気なうちはスポーツや
菜園、有償ボランティア活動などを通じて
生きがいある生活を続けることができますし、
また、若い人たちの為に、ビレッジには
テレワーク用のサテライトオフィスを完備し、
保育施設も整備され、子ども達も一緒に住むことができます。

そして、高齢者施設で絶対に欠かせないのは
医療のバックアップです。
ビレッジとしてそこそこの人数の利用があれば
診療所や保育所の開設や運営が
とてもスムーズに行なえますし、
医療関係者や保育関係者も、そのビレッジ内の
住居に住むかもしれません。
元気なうちに入居しておけば子育ての手伝いも
両親がしてくれます。

最近、閉鎖されたゴルフ場を活用して
18ホールのうち半分の9ホールはゴルフ場として使用し、
残り半分を住居地とする、という計画も出てきています。

フランスではコロナ禍の折、
中国武漢からの帰国者の隔離に
狭い施設ではなく広大なリゾートを借り上げ、
マスクの着用だけで自由に2週間過ごさせていた
という事例もあります。

このように、これまでの慣習や慣例を見直し、
スケール感の違う発想が我が国にも
必要ではないか、と私は考えています。

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要介護者へのサポートのみならず
共に暮らす人々への配慮も十分に
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もっとも、一緒に暮らすことになると要介護者は昼夜逆転、
あるいは真夜中でも頻繁にトイレに行くなど
様々な世話が必要で家族のほうも大変です。
そこで、真夜中でも訪問ヘルパーがサポートできるよう
要介護者の居室部には別に出入り口を用意し、
訪問ヘルパーは要介護者の居住部分のみ入ることができ、
家族との同居部分には訪問ヘルパーが入らなくて済むような、
新構造の2世帯分離住宅を検討したらどうでしょうか。

また中世のヨーロッパの村や城塞都市を参考に
地域全体を壁や塀などで囲っておけば、
認知症の高齢者が徘徊しても遠方には行けず、発見は容易です。
さらにビレッジでのゲートをしっかりしておけば
外部からのコロナウィルスの侵入を
未然に防ぐことも可能ですし、防犯上も有効です。

もちろん、地球温暖化による自然災害の多発に
対する防災も十分に考慮した構造や水害や
崖崩れの起こらない立地も重要です。

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コロナ禍の今だからこそ見直すべき
人々の繋がり・共存・共生の意識
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最近政府でも、米国の
CCRC(Continuing Care Retirement Community=
継続ケア付き定年退職者コミュニティー)
を模倣した日本版CCRCとして、
高齢者の共同生活ビレッジの構想を数年前に
発表しましたが、まだまだ進んでいません。

米国のCCRCは55歳から入居でき、
趣味やゴルフなどのスポーツも楽しめる
多様性あるビレッジですが、
日本ではあくまでも箱物に固執し
寝たきり老人対策として、
質ではなくとにかく量をこなすことを
重点にせざるをえなかったのです。

このコロナ禍を機会に上記のような新しい観点から
高齢者介護施設やコミュニティの質の
大転換・再設計を図り、老後団地ではなく
『歳をとる事は楽しいこと。百歳以上まで楽しく
生きるための村づくり』の必要が生じて来ていると思われます。

その際の最大のキャッチフレーズは
『健康寿命延伸を目的とした
高齢者若者共存の地域づくり』
と言えるでしょう。

平均寿命90歳近くになろうとする時代に、
リタイヤ後の貴重ではあるが有り余る充分な時間を
どうやって楽しみながら生きがいを持って過ごすことができるかの
終の棲家・終の村づくりの構築が重要です。

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