半年以上かかりましたが、「徳川家康」全26巻を読み終えました。あまりに学んだことが多すぎて、とても一言で感想を書けません。
今度は塩野七生「ローマ人の物語」(文庫版で全34巻)を読み始めました。今まで敬遠していたのですが、実に読みやすい文章で、スラスラ読めます。
今、2巻目の途中なのですが、その中で「クライアント」の語源の話をしている箇所がとても興味深いのでご紹介します。
弁護士などの「依頼者」のことを英語でクライアント(client)といいますが、その語源はラテン語のクリエンテスという言葉なのだそうです。
クリエンテスというのは、古代ローマにおける、特定の貴族(パトローネス)の保護を受ける平民(被護民)のことを指します。(ちなみに「パトローネス」は「パトロン」の語源だそうです。)
パトローネスとクリエンテスの関係は、一方的にパトローネスがクリエンテスを保護するというのではなく、クリエンテスは兵役を提供するほか、例えば貴族が選挙に出るとなったら票集めをしてもらうとか、貴族が財政危機に陥れば平民が共同して援助する、貴族が海賊に捕らわれれば平民が八方駆け回って身代金を調達するといった、持ちつ持たれつ、助け合う関係でした。
弁護士と依頼者の関係は、もちろん貴族と被護民の関係とは違いますが、何となく参考になる話だと思いました。弁護士はクライアントに法的サービスを提供しますが、クライアントから学び、プロとして成長していくという面も見逃せません。また経済面においても、特に、継続的な強い関係のあるクライアントとは、クライアントの商売が成長することによってこちらも共に成長するという関係ができてきます。
「クライアント」は大事にしなければならないと、改めて感じた次第です。