不正競争防止法とはどのような法律か | 知財弁護士の本棚

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企業法務を専門とする弁護士です(登録30年目)。特に、知的財産法と国際取引法(英文契約書)を得意としています。

ルネス総合法律事務所 弁護士 木村耕太郎

 昨日は家族で陣馬山に登ってきた。東京近辺で、高尾山の次に初心者がチャレンジするのがこの山である。上りは、ガイドブックに出ている標準的な時間(1時間40分)の倍以上かかった。頂上の眺望は360度大変すばらしい。連休を有意義に過ごしたという感じがする。

  

 高尾山から陣馬山へ縦走するコースがあるが、間に山や峠がいくつもあって全長18キロ以上あり、初心者には無理。これを日帰りで行けるようになるというのが当面の目標である。次は高尾山から城山を経て景信山(かげのぶやま)まで行ってみたい。

http://www.takaotozan.co.jp/cource/cource08.htm

 


 さて、今日のテーマは不正競争防止法について。


 不正競争防止法は雑多な内容を含む法律であり、外国公務員等に対する不正な利益の供与の禁止(同法18条)といった、明らかに知的財産法と関係のない条項も含まれている。しかしながら、不正競争防止法は一般に知的財産法の一部を構成するものと認識されているし、同一の事案について商標法、不正競争防止法、著作権法のすべてについて検討することを要するといったことも珍しくない。


 不正競争防止法は、「不正競争」行為の定義規定である2条が重要なのであるが、これを見ると内容があまりに広範であり、初学者はどこから手をつけてよいか戸惑うであろう。しかし、実務的に重要な条文は限られている。


 第一に、211号と2号が、「商品等表示」を保護する規定であり、3号が商品形態を保護する規定である。1号は、周知な(条文の言葉では「需要者の間に広く認識され」た)商品等表示を保護する規定であり、2号は「著名な」商品等表示を保護する規定である。この1号から3号が最も重要かつ基本的な条文である。1号から3号は、商標法や意匠法を補完する役割を有していると言うこともできる。


 裁判例が圧倒的に多いのは1号であり、次いで3号である。2号の裁判例は非常に少ないが、1号と2号の関係を理解することは極めて重要である。

現行の不正競争防止法(平成5年法律第47号)の基本的な条文は、既に旧法(昭和9年法律第14号「不正競争防止法」)に見られたものである。そのため、旧法下における判例は現行法のもとでも基本的に有効と考えられている。

しかしながら、現行法の212号(著名な商品等表示の保護)および213号(商品形態の模倣の禁止)の規定は、旧法には相当する規定がなかった。

 なお、不正競争防止法は頻繁に改正がなされており、条文番号、特に21項の不正競争行為の定義規定の10号以下は時期によって号数が現行法とずれているので、過去の裁判例や文献を読むときは注意が必要である。

 

 余談ながら、この「条文番号がずれる」というのは経済産業省所轄法令の悪しき伝統であり、法務省所轄法令では、条文番号がずれないように枝番を振る。どちらがよいかは言うまでもない。