サッカー審判TIPS(776) 主審にボールが当たる | サッカー審判KenKenのブログ

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サッカー3級審判KenKenの審判経験記

6月16日明治安田生命J1リーグ、名古屋vs湘南。

59分、湘南のキーパーがパントキックでパスを送る。これが名古屋のMF稲垣の方に飛ぶ。しかし、稲垣の前方にいた山下良美主審の背中にボールが当たり軌道が変わってしまった。

 稲垣はボールをはじいてしまい、それを湘南の選手に拾われた。そしてその後湘南のパスがつながり名古屋が失点してしまった。

 

名古屋は猛抗議。その根拠は第9条だ。

ボールが審判員に触れ、競技のフィールド内にあり、次のようになった場合、

・チームが大きなチャンスとなる攻撃を始める。または、

・ボールが直接ゴールに入る。または、

・ボールを保持するチームが替わる。

こうしたすべてのケースでは、プレーはドロップボールによって再開される。

 

ウェブで問題のシーンを検索し見てみた。

今回の場合、湘南のキーパーが蹴って主審に触れたボールが名古屋の選手に当たって湘南の選手に渡った。主審に当たってボールを保持するチームが替わったわけではない。

では、名古屋はどうして抗議したか。

1番目の理由だろうか。主審に触れたことにより(名古屋の選手がボールをカットできず)湘南が大きなチャンスとなる攻撃を始めたからか?

主審が触らなければ稲垣はボールをカットできたはず。それならばドロップボールとなり、あの失点は発生しなかった。

だからプレーを停止してほしかったということなのだろう。

 

ではそうなった(稲垣がカットして名古屋が攻撃に転じた)らどうだろうか。3番目の理由でプレーが止められるだろう。名古屋は何と言うだろうか。主審に軽く触っただけだから当たって方向が変わったというのは大げさだ。触っても触らなくてもカットできたので止めないでほしかった、ということが言えそうだ。

(この場合湘南が「止めてよ」って言うだろうな)

 

私はプレーを停止せずに流したというジャッジを支持する。

 

名古屋の気持ちもわかるが、審判に触れたから必ずドロップボールというように思考が固まっていると状況に追いつけなくなるのではないか。

主審にかすったからトラップミスしたというのはプロらしからぬ言い訳だなーとも思ってしまった。

(ちなみに私は湘南サポでもアンチ名古屋でもありません)