2023年12月9日(土) 天皇杯の決勝戦が行われた。川崎フロンターレvs柏レイソル。
ご存じのように延長戦を含めて120分間で決着がつかず0-0でPK戦に突入した。
(今までは「(勝者を決めるための)ペナルティマークからのキック」という呼称であった。今度の競技規則改正でPK戦(ペナルティーシュートアウト)という表現に変更されることとなった)
競技規則には記載があっても通常のリーグ戦ではなかなかお目にかかれない事象が発生したので審判目線でメモしておく。
(1)延長戦の前にエンドを決めるコイントスを行う。
双方のキャプテンを呼び、試合前のコイントスと同様にトスを
行い、勝った方がボールまたはエンドを選択する。
(2)PK戦の進め方
(a)PK戦に使用するゴールを決める
双方のキャプテンを呼び、コインのどちら側をどちらの
ゴールに割り当てるかを決めトスを行う。
(b)先攻後攻を決める
さらにもう一度コイントスを行い、PK戦の先攻後攻を決め
る。トスに勝った方が先攻後攻を選ぶ。
(3)PK戦に参加する人数を確認
120分(延長が無い場合は90分)の試合が終了した時点でピッチ
上にいた競技者がPK戦に参加できる。
両チームの人数が同数でない場合は、同数になるまで多い方の
チームが人数を減らす。(減らした選手はベンチに下げる)
テレビ中継では上記の(1)(2)の場面が映っていた。
さらに、柏の選手が1人PK戦に参加しない(足の負傷のため)ということで川崎の選手を一人減らすという事象も発生した。
1人減らす場面の放送は無かったが10人目でゴールキーパーが登場し、1巡目の最後ということがコメントされたため事情が明らかになった。
(もちろんフィールドプレーヤーが全員蹴った後でなければゴールキーパーがPKを蹴れないということはないので、ゴールキーパーが必ずしも1巡目の最後というわけではない。最初に蹴ることもアリだ)
10人目まで順番が回ってくるということはあまり無いが、もし人数を同数にしないままでやると、2巡目を迎えて最初に蹴る選手が、対するチームの11人目の選手と対決することになる。
2巡目は蹴る順番を変えてもかまわない。だから1巡目に成功して自信を持った選手を持ってくることもできる。しかしもう一方の11人目の選手はPKに対する自信は11番目だろう。その2人が対戦するのはフェアではないからそれを避けるためのルールだ。
ここまでコイントスや人数の統一など試合のお膳立ての部分について書いた。
試合では双方のゴールキーパーがファインプレーを連発した。
また柏の細谷も縦に抜けだす際にファウルを受けながらも倒れずにゴールに向かった(ゴールキーパーに防がれたが)ことなどから「おお~っ」と盛り上がる場面となった。得点こそ入らなかったが天皇杯決勝に相応しい引き締まったゲームだったと言えよう。
柏の準優勝表彰の際の仏頂面はいただけないが、それは以下のことばがよく言われるからだ。
「優勝チームは記憶に残り負けたチームは忘れられる、だから優勝しなければ意味がないんだ」
その言葉も理解できる。
しかし残留を争ったチームがシーズン最後にここまで良い試合をしたのだから胸を張ってほしいと思う。負けたチームについてもしっかり記憶に残る決勝戦だった。