サッカー審判TIPS(740) PK戦のルール再確認 | サッカー審判KenKenのブログ

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ワールドカップカタール大会、日本代表がPK戦の末敗退した。

今回はPK戦について書いてみる。

 

まず正式名称。「ペナルティマークからのキック」、英語では「Kicks From the Penalty Mark (KFPM)」という。

記録上試合は引き分けなのだが次のステージに進むチームを決める儀式であるため、競技規則上は

試合の一部ではないと規定。

それゆえ、試合中の警告は引き継がれない。つまり前後半、および延長(あれば)の前後半で1回

警告を受けている選手がKFPM中に警告を受けても退場にならない。

(どのような行為が警告になるかというと例えばキッカーによる不正なフェイント、キーパーの早い飛び出しの繰り返し等が対象)

 

手順を見ていこう。

KFPMの開始セレモニー。コイントスは2回行われる。1回目はどちらのゴールを使用するか、2回目

はどちらのチームが先攻かを決める。

コイントスに勝ったチームが先攻か後攻か選択できる。

ゴール裏にどちらのサポーターがいるかによって不公平が生じるので、使うコールはコイントスで偶然に委ねることになる。

今回のワールドカップクロアチア戦でも2回のトスが行われ、1回目で日本サポがいる側のゴールが

選ばれ、2回目に勝った吉田が先攻を選んだ。

 

あまり知られていないルールに、「KFPMに参加できる人数は両チーム同数」というものがある。

つまり片方のチームに退場者が出て人数がアンバランスになっている状態でKFPMを行うようなケー

ス。人数が多い方のチームが1人ベンチに下げて同数でKFPMを開始するのだ。理由は以下の通り。

 

もし全員が蹴っても決着がつかずもう一回りするような場合に、人数の多いチームの一番最後の選手

(たぶんPKが一番苦手)と人数の少ないチームの最初に蹴った選手(たぶんPKが得意)が対戦しな

ければならないという不公平を排除するためだ。

なお、2巡目に入った場合は蹴る順番を変えることができる。

 

助走時に細かい足踏みをしたり、助走スピードに緩急をつけたりするキッカーをよく目にする。

助走時にどのようなアクションをしようと(侮辱的なものなどでなければ)警告はされない。

警告になるのは、ボールを蹴ろうと軸足を着いたあとに蹴り足を止めてキーパーを動かしてからキッ

クをするようなフェイント。

どんなに変な助走でも、最後の一歩がスムーズであれば反則にならない。

 

キーパー側は、ボールが蹴られるまでどちらかの足がライン上にあること。

ということはどちらかの足のかかとが残っていれば前方に出ても違反にはならないということ。

それを副審が監視することになる。